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2009年6月11日 連載
ズドン!と点が大きく拡大。

ドクターカーは高速を降り、夕方の森の中に入った。いきなり薄暗い。

「おいおい!田中君!ライトライト!」
「まだ見えますって!」
「意地はるな!」

 ライトがつき、けもの道と確認。無数の羽虫が一斉に突っ込んでくる。だが目当ての僻地病院は、こういう道の先にある。

 後部の品川は平然と寝ている。都会っ子のザッキーは気分が悪そうだ。

「どうしたザッキー。俺はメリスロン飲んできたぜ!」

携帯を何度も押すのが疲れた。

「でも本当だ。真吾院長の直通内線も、留守電だよ。当直くらいはいるだろ?何度押しても・・・やっぱり病院自体が休診なのか?でも患者のケアは?」

この静寂。暗闇。ワイパーで次から次へと虫の死骸。今後の何かを予見させた。ときに映る、うっすらとした月だけが希望だった。

「おっ!待て着信あった!あっ何だよ真田病院・・トシ坊かよ!もしもし!」

<せい・・・・シロー・・・まつ・・・にく>

電波をつかまえるためユウは移動、2人が座る後部座席へ。

「はぁ?まつ・・にく。松坂にく・・松坂牛?三重までは行かんぞ?」

 電波が悪く、切れた。

「まあいい。トシ坊!留守電にでも入れとけや!」

田中君は興奮した様子でハンドルを左にきった。
「はいここで到着!」
「(その他)うあああ!」

後部の3人は、頭を揃えるように横に打った。

ユウは衝撃で涙が出た。みな耳が腫れあがった。

「うう、ダンボさんきょうだい・・・・ダンボ!」



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