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2009年6月11日 連載
田中君はおびえた。

「なんか、いま運転席が光ったような・・・」
「片頭痛だろ?」ユウは相手にしなかった。
「変な頭痛?」
「どある!もう帰ろ!帰ろ帰ろ!おいザッキー!どこだ?小腸あたりか?黄門様か?」

グルルン!といきなり3台の真ん中のトラックのみ、エンジンが始動した。ウズズン、と雄たけんだ。

「えっ?」向かい合うドクターカーの前方、3人は凝視した。まぶしいハイビームを正視できない。
グルン、グルン・・・音は大きくなる。

「というより・・近づいてるんだ!こっちに!」
ユウは真っ先に逃げ出した。開きもしない玄関へと走る。

「くそ!開かないぞ!ってさっきそうだったよなこれって!」
しかしみな、玄関にへばりつく。なんやら押している。

「こら!トラックを動かしてるのはザッキーお前か?いつ免許取ったんだ!内視鏡専門医も取らずに!」
もちろん、トラックは答えない。

「そりゃお前のわけ、ないよな!」

 ユウら3人は、一斉にしゃがんだ。間横、かすめたトラック本体が玄関へ斜めから突っ込んだ。

「(3人)うわああ!」

 ガラスが閉じた目の前を飛散した。

トラックは、そのまま受付まで入っていった。その壁も突き破った。
ユウは腰を引きずった。
「しゃしゃしゃ、借金取りか?あれは?品川!」なかなかブラックな指摘だった。
「はいっ!」
「保証人はお前か?」
「経営は自治体が!」
「そっか!」

音は消え・・・ユウはそのまま玄関内へ入った。カルテ類がちぎれて散乱。

「ひでえ・・・でもそんなに時間はたってないよな」
机のホコリも・・・指にはついてない。
「みんなホント。どこ行ったんだ。真吾・・・」

ガラガラガラ・・と、不気味な崩壊音が向こうから聞こえてきた。
「やべ!また来るぞ!」

玄関に戻らず、とっさに階段へ。どうしても病棟内部が気になったせいもあった。
今の衝撃で、滑り台は下半分がなくなっている。

ドカン!と今上がったばかりの階段が破られ、数段下にトラックの頭が現れた。

「あぶねえこら!死ぬぞ!」

 階段を見捨て、2階へ。


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