2階の詰所。
床が、電気を帯びたように振動している。ここもやはり暗闇だ。詰所の中・・・いやに広々としてる。モニター類などがそういや、ない。小さな台だけが無造作に倒れたまま。
「引っ越し・・俺たちに黙って?病院が丸ごと?中村マサトシでも来たのかな・・・」
破れたカーテンの向こうは休憩室・・・壁に冷蔵庫の背の跡。傾いたカレンダー。数日前の日に赤い印。
「院長の誕生日・・・やっぱり。ここはあの病院なんだ。あの・・・」
地面の下はどこか不安定で浮足立つ。まるで豪華客船に乗ってるようだ。安定しているようで、そうでない。靴を持ち上げ、ひっついたガムをそこらの割りばしで丁寧に除く。
・・・だがとりあえず、トラックのエンジンは窓を開けても聞こえない。誰かの酒酔い運転だったのか。泥棒だったのか。
カーテンを開けて、奥に続く重症部屋もカラなのが分かる。患者もどこかに連れていかれたとすると、いったいどこへ・・・。安全な病院に転院させてくれたのだろうか。
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