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2009年6月11日 連載
3階。医局。ここも真っ暗。電気もつかない。月の明かりとペンライトに頼るしかない。

 椅子が4つ互いに向かい合っている。

白板にいかがわしい絵?と思ったらマジック手書きのダーツの図。中心ほど穴がいくつか開いている。相当の腕と圧力だ。

「暇つぶししてたのか・・・?」

院長室もあけっぱなし。

「真吾・・・」

 医師として、ユウにとって心を打ち明けられたのは彼ぐらいだった。その彼の部屋はまるで泥棒に荒らされたように汚い。ルーズな者でもここまでは・・・。

「古い本だけ残ってるような気がするんだけど・・・」

 そういや、半年前に電話したときどこか、彼暗かったような。それもやはり、<先生が知らないだけ>なのか・・・。

「(半年前からお前。電話にも出なくなって・・・俺が何かしたっていうのかよ。友達じゃなかったのかよ・・・)」

いきなり背中を押された。
「ぎゃあああ!」

「しっ!」事務長だ。ノートを持っている。
「バカヤロウ!なんだそれ?」
「当直日誌ですよ!」

 ズズーン、と1階はどうやらとんでもない事になってそうだ。数センチ、背が縮む思いだ。

事務長は携帯をライト代わりに、当直日誌をパラパラめくった。

「1週間前までは記録があります。救急もふつうにとってる」
「経営がヤバい状況だったわけではないな」
「とも限りませんが。はい」
「まて!そこ!」

最終行。

「<目標額にはほど遠く・・・>とまで書いてるが。あとは破れて読めん」
「目標額・・・」品川は頭をひねった。
「思いつめて、思わず書いた文章のようにも思えるな」

品川と話しても埒があかず、階段で下りた。しかし・・・


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