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2009年6月14日 連載

時間が過ぎ・・・12時。音楽がなり、受付が強制終了。待合室の近くの食堂、大広間がオープンした。いくつものリクライニング。広大なリハビリ室。みな歓声をあげ、散らばっていく。数十人の患者たちが午後診療に回され、さらに待機となる。

 スタッフも1人ずつ、休憩室へ。しかしそこに直立不動。みな院長を待っている。院長の診療が終わらなければ、席につくことも許されない。

 やがて院長はシローの診察室をのぞいた。
「ハロー!閑古鳥くん。これからそう呼ぼうっと!」
「あ。すみません。うつろうつろと」
「患者数少ない場合は、冷暖房禁止やで」
「あっ・・はい」
「げんじつげんじつ!」
「・・・・」

シローは馬鹿にされても、耐え続けていた。

さて、休憩室ではすでに20人ほどのスタッフが立っている。

<(一同)松田院長!お疲れ様でした!>

「すわれ」

ドドド、とみな上目遣いで座る。

「あー。ピザは?」
「スミマセン・・・」中国人らしき男性が謝る。
「ロンさん。また忘れたのか?注文」
「スミマセン、スミマセン・・・」
「ったく。スミマセン言えば許してくれるとでも思ってんのかボケ?」
「スミマセン、ソノスミマセン・・・」
「最近のジャップはな。ファーストファッキンフーズづくめで短気なんだぜ。新聞見てみい。殺人事件ばっかりや」

シローは気まずそうに腰掛けた。院長は食べ始め、みなそれに続いた。

「あ~あのな。この先生はみなご存知の。非常勤でうちに来ていたシロー先生。あの悪名高き真田病院の、もと常勤医!今回、俺の推薦でここの常勤に昇格した!ここで永久に重労働に励んでもらう!」
「え、ええ・・・?」

バン!とシローは肩を叩かれた。

「嘘やがな。ま、ここのほうが高給だしな。辞める理由もないだろ?シロー。でも俺にずっとおんぶにダッコじゃいかんよな。さっきの外来みたいに。へっぴり腰な医者がおってみ。患者さんは逃げる!そうだよなみんな!」
「(一同)・・・・・」
「モジモジした男に、女の子は近寄ってこんだろう?はは」

みな、無条件でうなずく。

「へっぴり・・・」
「そうだよ。お前のこと」老人の忘れた杖で、松田が頭頂部を叩く。
「いた」
「お前のこと!」
「たたっ!」
「はは!お前のこと!」
「いたた・・・・」
「結果を出さな!結果を!」

 何回も叩く。

 みな、ウンウンと過剰にうなずく。大半が外国人。みな顔色のみをうかがっている。

「診察室でこんな頭下げて、寝るようじゃあ・・・未来はないわな。で!ローンはあとどれくらい!」
「松田先生。そんな話はここでは・・・」
「だからどれくらい残ってるって!言うてんねや!」

沈黙が流れた。


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