「ふぅ・・・」
「先生。こっちへ」
シナジーが廊下へといざなった。
「ユウ先生・・・どうしたんです?」
「変か?」
「今は当院の生き残りが優先です。ヘタしたら潰れるんですよ?」
「お前の金の力で何とかしたらいいだろ?」
シナジーは呆れ、コンコンと応接室を叩いた。
「入りますよ」
開けると、若い白衣・・・おそらく女医・・が座っていた。推定20台後半。
「あっ・・・こ、こんにちは」
やや膝を曲げたかと思うと彼女はそのまま座った。
ユウは1歩たじろぎ、正面に座りに行った。
「?この人は?シナジー」
「正式採用が決まったところです」
シナジーはユウに耳打ち。
「(さきほどのエピソードは知らせてませんので)」
シナジーは引き続き、彼女の履歴書をサッと両手でシワ伸ばしした。
「では本日から」
「はい」彼女の目線はユウにある。
「検査はまずセカンドから。サポートで十分ですので」
「はい。何でも・・・できることは何でも」
珍しく、腰の低い女医だな・・・。
だがユウにいろんな疑念が浮かんだ。
「(このタイミングで入ってくるということは、ああつまり経営の悪化している病院に志願してくるってことだ。ということは、よほど金に困ってるのかどこかを追い出されたのか・・・はたまた送られてきた新たな刺客か・・・)」
女ほど、信用できん・・・。
「聞いてますか先生?」シナジーの声で我にかえった。
「ああ聞いてる」
「彼女はあの、例の僻地病院で真吾先生と勤務してました」
「なに?そうなのか!」
ユウは身を乗り出した。
「真吾はどうなった?おい。どこへ行った?生きてるのか?」
「それは私にも・・・」
「どうして1人で悩んでた?何か言ってたんだろ?」
「す、すみません・・・」
彼女はいたく困っていた。
「すみません。私たちにも突然のことで。何が何だか分からないうちに」
「なんで君ら。逃げたんだ?」
シナジーが足を足でけった。
「て!」
「逃げたんでなく。追いだされたんです。怖い人たちが・・・怖い人たちが!ああぁ!」
彼女は目を覆った。
「くやしい・・あたし、くやしい!」
「だが、ここで余計つらい思いするんじゃないのか?」ユウは指摘した。
「いえ・・それは絶対に」
「・・・あっ」
ユウは何か思い出した。
「その連中の中に・・・スタンガンみたいなの持ってる女がいたか?」
「あ。ああいました!あれはもっと・・・」
「?」
「もっと特殊なものだと思います。ベルトの両側にこうかけていて・・・」
「すると、さっきのもそうか・・・」
患者の上に落ちた雷もそうだ。心停止が治まったとはいえ、攻撃的な行為だ。
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