68

2009年6月22日 連載

 お互いに頭を冷やすべく、ユウらはみな散会させられ、異なった時間帯で帰宅の途についた。

 シナジーは、おそらく皆が帰って確認するであろうメールの内容を打ちながら考えていた。

<医療のことはとやかく言えませんが・・・。病院としての存続も考えてもらいたい。いずれにしても諸君のチームワークが不可欠なのであり、それがなければこの病院は死んだも同然。リストラされた方々も浮かばれません>

 シナジーは両手で顔を覆った。
「そうだよそうだよ!その通りだ!」

 暗くなった事務から、サンサンと電気がついてる正面のクリニックを眺めた。

「はぁ・・・」

 シャン!とメールの入電。

「?これは・・・そうか!」

 シナジーは立ち上がった。

「これに・・・これに賭けよう!」

 まだ明日がある・・・!

 ユウは高速道路を異常なスピードで走っていた。いろいろ考えた。1人で考えれば、許せないこともだんだん許せるようになってきた。だがそのことがまた許せない。

 だがまたそれを許してそれを許せない、またそれを蒸し返して・・・

「うわっ!」

 急カーブ、もう少しで激突するところだった。以前ともに働いた循環器の医者が過労のせいか、並行していたバイクをそのまま巻き込み重傷を負わせた。医療ミスを乗り越え、立ち直った矢先の出来事だった。

 ユウは停車したまま、横を殺人的に通り過ぎる車の風圧に体を揺らされた。

「・・・・・・・疲れてる。疲れてるだけなんだ。俺も。お前らも・・・」

 そうだった。松田らとの違いを忘れていた。

 疑いもする。怒りもする。でも本当は仲間を信じている。だからこそ・・・

 疑いもする。怒りもする。

 車は闇へと消えていった。




 




コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索