お互いに頭を冷やすべく、ユウらはみな散会させられ、異なった時間帯で帰宅の途についた。
シナジーは、おそらく皆が帰って確認するであろうメールの内容を打ちながら考えていた。
<医療のことはとやかく言えませんが・・・。病院としての存続も考えてもらいたい。いずれにしても諸君のチームワークが不可欠なのであり、それがなければこの病院は死んだも同然。リストラされた方々も浮かばれません>
シナジーは両手で顔を覆った。
「そうだよそうだよ!その通りだ!」
暗くなった事務から、サンサンと電気がついてる正面のクリニックを眺めた。
「はぁ・・・」
シャン!とメールの入電。
「?これは・・・そうか!」
シナジーは立ち上がった。
「これに・・・これに賭けよう!」
まだ明日がある・・・!
ユウは高速道路を異常なスピードで走っていた。いろいろ考えた。1人で考えれば、許せないこともだんだん許せるようになってきた。だがそのことがまた許せない。
だがまたそれを許してそれを許せない、またそれを蒸し返して・・・
「うわっ!」
急カーブ、もう少しで激突するところだった。以前ともに働いた循環器の医者が過労のせいか、並行していたバイクをそのまま巻き込み重傷を負わせた。医療ミスを乗り越え、立ち直った矢先の出来事だった。
ユウは停車したまま、横を殺人的に通り過ぎる車の風圧に体を揺らされた。
「・・・・・・・疲れてる。疲れてるだけなんだ。俺も。お前らも・・・」
そうだった。松田らとの違いを忘れていた。
疑いもする。怒りもする。でも本当は仲間を信じている。だからこそ・・・
疑いもする。怒りもする。
車は闇へと消えていった。
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