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2009年6月25日 連載

 真夜中。事務室では田中と・・・ムンテラを0時に終えたユウが白衣のままテントの中で眠っている。省エネ対策のため、明かりはパソコンのディスプレイのみ。

 向かいの松田クリニックは依然として輝いている。

「・・・む!これは!」

 田中はマウスを動かし、ちょっと前の時間の音声記録。

<俺ってラッキー!>院長の声。
<乾杯ですね>あの女の声。

<早速、行動開始や!>
<出発は午後?>
<他の病院に知れたらどうすんねん。朝一や!アサイチ!>

 何の話をしてるんだ・・・・。

<院長。明日の午前診を休まれては困ります>
<でもやな。こいこいこい>
<あっ。ちょっと。ダメ。ダメだから>

 何をしているんだ・・・?

<ええやないけ!ええやないけ!>
<明日。明日だったら・・>
<えっ?ホンマ?>院長は弾んだ調子。
<明日、ひと仕事終わったら、ね・・・>

 田中はイライラし始めた。
「院長の奴・・・!」
 うらやましいと言ってしまえば、男として負けだった。

<なので、明日はあたしが行きますね>藤堂ナースは会話でリードしてきた。
<そっか?いけるか?>
<現場で直接交渉なら、相手の信用も得られます>
<へへ。じゃ、よろしく頼むで>
<当院のベッド。空けといてください>
<慢性期っぽいのは全部転院や。カラにして待ってるで!>

 どうやら・・どこかの病院から、患者を調達してくる話らしい。

 院長はしつこく迫る。

<なあなあ、そしたらええんやな。ええんやな?>
<ええ>
<よしゃあ!>

 田中はどこか、鬱になった。



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