ユウは揺り動かされた。テントの外に出るとまだ真夜中のようだが・・・
田中だけでなく、シナジーも薄着で立っている。大平も来ている。
「もうすぐ夜明けだ!ユウ!」大平が仕切っている。そういう男だと雑誌で読んだが。
「何かあったのか?」
「田中に礼を言わなきゃいかんぞ!」
「えっ?ああ、ありがとう」
「理由を聞かないのか?」
田中は先ほどの音声の内容を伝えた。
「つまり、今日の午前中・・・朝一番っていうのがいつかは知りませんが。とある病院まで女医が直接出かけるそうなんです」
「病院へ?受診しに行くのか?」
「おい!真面目に聞け!」大平が怒った。
「すまへん・・」
トシ坊が隅に座っている。
「その病院がどこか分かれば、僕らも一足先に駆け付けたいところですね」
「患者を他院に紹介でなく、むしろ手放すことになる状況といえば・・・」
シナジーは考えた。
「倒産しそうな、ブラックリスト病院のチェックを!」
朝5時だが、活気がみなぎった。大平は白板に計画を立て始めた。
「まず、松田クリニックからの車庫の出入れを確認!事務員2名!」
「朝からうるせえな、お前・・・」ユウは頭をかいた。
トン、と大平はステップした。
「<お前>はやめてください!」
腰からジュースを取り出しストローで吸い・・・
「ブーッ!」
「うわあああ!」
「目が覚めたろ?」
ユウの見えないところで、桜田がせせら笑った。嘲笑ではない。
大平は次々と指令を出した。
「地下にあるトレーラーを時間差で出発させて!おいおいガソリンは満タンなんだろな?」
トシ坊はザッキーの肩をたたいた。
「僕たちは、物品を用意しよう」
「イエッサー!」
2人、物品倉庫へと向かう。
ユウは、すんなりいく計画とは予感しなかった。
「でも、ついていくのなら・・・良くても同時到着じゃないのか?うちには優位にならないぞ?」
「大丈夫」シナジーは笑顔だった。
「なに?」
「交渉は任せてください。信用度は当院のほうが上です」
「松田クリニックが空床にしたのに、入院が入らないとなると・・・そうか。あいつら困るな」
ユウは今さらのように納得した。
「よし!で!誰が行く?」
みな静まった。どうやら皆の目線は・・・
「お・・・おれ?」
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