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2009年7月2日 連載
真田病院、待合室。

「あのな。これ噂やけどな」

ヌシと呼ばれるばあさんは、、巨体で思いっきりかがんだ。取り巻きの婆さんらも同様に。

「前のクリニックな。もう、あかんらしい」
「ええっ?」眼前の婆さんのシワが、より増える。

「何回か行ったがな。どうもあれや。取引先の大病院に、切られたらしい」
「宗教法人の病院にか?」
「おんなじ宗教みたいだが。分裂でもしたんかなぁ」
「どっちが。どっちが生き残る?」

(間)

「そっ、そりゃあ・・・大きいとこに決まっとろうが!いや、しかし・・・」

 あちこちでガヤガヤ、騒がしくなってきた。まだ朝の6時というのに。真田病院が患者を途方もなく増やしたとき、受付時間開始にパニックが起こることが多くなった。その対策として、シナジーは朝6時より順番待ちの記帳を事務当直に命じていた。

 セカンドオピニオンの張り紙もある。特別料金が発生しないのが魅力だが、もちろんその後に打算がある。相談用ポストには、その手軽さからかなりの数の投稿が入っていた。

「や、やっぱ・・・いつも診てくれるとこが、ええんと違うか?」

ヌシの一声で、皆の気持ちは決まった。

 ヌシがこうやって、外来患者の流れを変えていく。


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