大学。
島がフラフラになったまま、医局へ戻ってきた。誰か助けて欲しかったが、ドラマのようにはいかない。みな、冷たいものだった。
「島!」ノナキーが立ち上がった。
「き、教授は・・・」
「もう帰った。やられたのか?」
「・・・・・」
ドサ、と彼は倒れた。背中に、7センチほどの出血跡。助手らが囲んだ。聴診など所見。
「き・・・気胸を起こしてます!」
「慌てるな!検査の上、処置しろ!」
ノナキーは動揺する隙も見せず対応した。
ダメージ自体はさほどでないのか、彼は起き上がり、冷蔵庫を開けた。
「ちきしょう・・・」
「島さん。誰かに突き落とされたって・・・顔は見たの?」医局員がこわごわ。
「わからん・・・」
みな震え上がった。どうやら、とんでもない敵に狙われているようだ。
ジリリリリリ!と非難ベル。
「きたか!」
島のことでビビっていた医局員らの心がかき乱された。
<胸部内科および消化器内科医局スタッフへ。出所不明の救急搬送の動きあり。15分以上の余裕あり。繰り返す・・・>とアナウンス。
「ばかな!そんな!急すぎる!」
ノナキーは結局のところ、ここにきて動揺した。
判断を求めるため、教授の携帯へ直接電話した。
「・・・・だめだ。出ない!」留守電に入れるほど余裕がない。
サイレンが空に、1つずつ呼応していく。
ノナキーを医局員が数十人、取り囲む。
右胸にドレーンの入った車椅子の島が、唾を飛ばした。
「先生。真田の奴らは!」
「呼んでいるんだが」
「だから!真田の奴らにさせたらいいんですよ!」
「まだ来てないんだから!しょうがないだろ!」
「やっぱり来るのは事務員なんですか?」
「そ、そうだ!そうだけど!」
ノナキーは初めての経験で、ビビっていた。もちろんシナジーは直接の戦力にはならない。彼はあだ名は<孔明>でも、医療技術は持ってない。
「じ、事務員が来たらそう命じる予定。予定にしてあるんだ!」
「先生。あいつら仲間と思ったら大間違いですよ?大学をいとも簡単に去った奴らですよ?」
「し、しかし。そこに俺たちの期待がある。どうしようも・・・」
「いてっ。俺までこのザマですよ?」
そこへ医局員が数人、品川の腕を引っ張ってきた。
「あいたたた!腕がちぎれる!」
みなの逃げ場視線が、到着したばかりの彼に注がれた。
「早速、招集命令出てましたね・・・?わ、私が何か・・・?」
円陣に囲まれた。
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