助手の島は腕をのばしてシナジーの胸をどかし、数歩下がらせた。車椅子の車輪もぶつける。
「どうすんだよ。なあおい!どうすんだよ!」
「きゅ、救急が来るんだったら。その・・・皆さんの出番ですよね。あとは頑張って・・」
「(一同)なにい!」
「だって僕、医者と違うし」
「(一同)ふざけんな!」
「やれやれ・・・これでは」
みな一歩引いた。品川の表情がいきなりクールになったからだ。
「これでは。たとえ患者さんらを引き受けたとしても、ぞんざいに扱われるだけだ」
「・・・・・なにぃ」島は思わずうつむいた。
「真珠会でしばらく診てもらってたほうが、マシですね」
我さきに、という者が1人もいないのもつらかった。みな上層部の機嫌を伺い、その一挙一動を吟味する。
品川はノナキーの座ってる机をたたいた。
「さ!どうしますか!」
「どうするって・・・」
「うちのスタッフはクリニックに足を取られ、まだここには来れない。現実的には、ここはあなた方で対処するしかない」
「・・・・・」
「黙ったままですか・・・足津氏なら<もういいです>で終わりでしょう。それとも・・・」
「?」
シナジーは指さした。
「あなた、そんな事も知らなかったんですか?」
「(一同)おい!」
品川はじっと見まわした。
「・・・なんですか?」
みな、ごくっと唾を飲み込んだだけだった。
シナジーは震えた。
「(こっこれが・・・関西の孔明とあだ名された男のカリスマか!)」
そのあだ名は、単にユウが考えただけだった。
ノナキーが叫ぶ。
「し、品川さん。大学の場合、統制を取るのに時間がかかるんだ!まだ誰が何係って決まってない!誰がどうやって動いたらいいか、今ここで教えてくださいよ!」
気がつくと、シナジーはもういない。
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