真田は莫大な利益を上げ始め、もうあのクリニックは敵ではなかった。患者は以前よりもむしろ増えた。ユウらスタッフも連携が取れ、それがまた安心感へと結びついた。しかし、大学病院を救援しようとする意識があまりない証拠でもあった。
ユウは腰を落ち着け、医局で休憩していた。
「なんか、大学に向けて真珠会が殺到したらしいが・・・結局単なる脅しだったんだろ?」
「ええ」ザッキーが向こうでごそごそしている。
「品川の話によれば、大学は統制が全然取れてないって」
「ええ」
「シナジーは売店のおばさんに抱きつかれとか言ってるが。あいつ何しに行ったんだ?」
「さあ」
「聞いてんのか?」
「さあ」
「だる・・・」
「今回は運が良かった。だが、次はそうはいかんだろう。次の手を打ってくる・・・!」
「へえ」
「映画とかなら、そうなる筋書きだろう?ザッキー。見舞いに行こう!」
「よく喋るオオカミさんだ・・・」
一緒にそのまま大平の病室へ。鍵がまだかかってる。
「・・・・また女の声だ」
「ナースらの噂では、彼・・・桜田と」
「なるほど。こういうのがあると、業務にモロ支障を来すんだよ!」
「そっかな?」
「そのうち分かる」
大学の大会議室。
教授らの円形の長いすの周囲、さらに円形に椅子が取り囲む。つまり中心が教授陣。
その周辺が実質的な医療スタッフ。シナジーもそこにいた。末端らは立ち見か廊下。
教授陣の中、学長が読み上げる。
「今回は、相手の不意を突いた威嚇により、当院のキャパシティーを問う結果になった」
「(一同)・・・・・」
「だが結果的に野中医局長の的確な配慮により、学生らを前線に配置することで相手の戦意をそぐことに成功」
シナジーは恥ずかしかった。
「(そうじゃないだろ・・・!)」
ノナキーが照れてペコペコしている。それがいっそう情けない。
「これで分かった。真珠会は当院への莫大な奇襲計画は最初からもくろんでおらず、当院からの警告を真摯に受け止めた。しかも今回の先導は、あくまで一部の者の行動であったと真珠会のオーナーが述べている」
シナジーは挙手した。
「ですが。次は本気でくると思われます」
「本気?」
「これだけの人数がいて、今回は1人も機能しなかったと同じです。シミュレーションをやるべきです」
「もしもの訓練か?」
「はい」
「君は確か真田の・・・」
シナジーは改めて立ち上がり、礼をした。
「真田病院の事務長。品川です」
「オーナーではないのか?なら話にならんな」どこかの教授が声をかける。
「・・・・・」
「あ、ほれ。草波君・・・本命は真田か。彼はどこだ?」
「はっ。は、未だ堀の中でして」
「はっ?ああ、なるほどねぇ・・・そりゃ、そうなるだろうねぇ」
学長は仕切る。
「今回、真田病院からの救援も間に合わなかった。ここはきちんとしてくれるんだろうね」
「真田病院にも、それなりの業務というものがあります。業務をオフにしてまでこちらのヘルプに没頭はできません」シナジーは言い切る。
「数人、こちらに援助を送るのか?」
「はい。ですが大学にとっての数人とはわけが違いますので」
「むぅ・・」
「当院は今、崩壊しかけのクリニックからあぶれた、その患者さんらへの対応に追われてます」
いや、真田がもはや勝っていることは知っているのだ。だがここでそれを悟られると妙なことを押しつけられそうだ。
学長は不愉快だった。
「それでは今週末までに!野中医局長と品川事務長が計画を立てて、早急に提出すること!」
「あとお願いが」とシナジー。
「こっちも多忙なんだ!医療ミスに対するマニュアル作りのため、毎週東京へ行かんとならん!」
「・・・・・」
「厚生省へ!毎週だぞ?」
ガラガラ、とみな時計を見ながら解散した。
ユウは腰を落ち着け、医局で休憩していた。
「なんか、大学に向けて真珠会が殺到したらしいが・・・結局単なる脅しだったんだろ?」
「ええ」ザッキーが向こうでごそごそしている。
「品川の話によれば、大学は統制が全然取れてないって」
「ええ」
「シナジーは売店のおばさんに抱きつかれとか言ってるが。あいつ何しに行ったんだ?」
「さあ」
「聞いてんのか?」
「さあ」
「だる・・・」
「今回は運が良かった。だが、次はそうはいかんだろう。次の手を打ってくる・・・!」
「へえ」
「映画とかなら、そうなる筋書きだろう?ザッキー。見舞いに行こう!」
「よく喋るオオカミさんだ・・・」
一緒にそのまま大平の病室へ。鍵がまだかかってる。
「・・・・また女の声だ」
「ナースらの噂では、彼・・・桜田と」
「なるほど。こういうのがあると、業務にモロ支障を来すんだよ!」
「そっかな?」
「そのうち分かる」
大学の大会議室。
教授らの円形の長いすの周囲、さらに円形に椅子が取り囲む。つまり中心が教授陣。
その周辺が実質的な医療スタッフ。シナジーもそこにいた。末端らは立ち見か廊下。
教授陣の中、学長が読み上げる。
「今回は、相手の不意を突いた威嚇により、当院のキャパシティーを問う結果になった」
「(一同)・・・・・」
「だが結果的に野中医局長の的確な配慮により、学生らを前線に配置することで相手の戦意をそぐことに成功」
シナジーは恥ずかしかった。
「(そうじゃないだろ・・・!)」
ノナキーが照れてペコペコしている。それがいっそう情けない。
「これで分かった。真珠会は当院への莫大な奇襲計画は最初からもくろんでおらず、当院からの警告を真摯に受け止めた。しかも今回の先導は、あくまで一部の者の行動であったと真珠会のオーナーが述べている」
シナジーは挙手した。
「ですが。次は本気でくると思われます」
「本気?」
「これだけの人数がいて、今回は1人も機能しなかったと同じです。シミュレーションをやるべきです」
「もしもの訓練か?」
「はい」
「君は確か真田の・・・」
シナジーは改めて立ち上がり、礼をした。
「真田病院の事務長。品川です」
「オーナーではないのか?なら話にならんな」どこかの教授が声をかける。
「・・・・・」
「あ、ほれ。草波君・・・本命は真田か。彼はどこだ?」
「はっ。は、未だ堀の中でして」
「はっ?ああ、なるほどねぇ・・・そりゃ、そうなるだろうねぇ」
学長は仕切る。
「今回、真田病院からの救援も間に合わなかった。ここはきちんとしてくれるんだろうね」
「真田病院にも、それなりの業務というものがあります。業務をオフにしてまでこちらのヘルプに没頭はできません」シナジーは言い切る。
「数人、こちらに援助を送るのか?」
「はい。ですが大学にとっての数人とはわけが違いますので」
「むぅ・・」
「当院は今、崩壊しかけのクリニックからあぶれた、その患者さんらへの対応に追われてます」
いや、真田がもはや勝っていることは知っているのだ。だがここでそれを悟られると妙なことを押しつけられそうだ。
学長は不愉快だった。
「それでは今週末までに!野中医局長と品川事務長が計画を立てて、早急に提出すること!」
「あとお願いが」とシナジー。
「こっちも多忙なんだ!医療ミスに対するマニュアル作りのため、毎週東京へ行かんとならん!」
「・・・・・」
「厚生省へ!毎週だぞ?」
ガラガラ、とみな時計を見ながら解散した。
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