足津理事より携帯を受ける、点滴中の<患者>。
「もしもし・・・今、クリニックです」
「それはいいとして。ナースの行動は見ましたか?」
「風邪で点滴してくれといったら、あの院長は診察もろくにせずで。かなり参ってる様子というか」
「ナースの行動は?」
「えっ・・ああ」
私服警官のような男は、ベッドに座った。よく観察する。
「違法行為など、今のところは見受けられませんが・・・・・ああぁ!」
他のナースがその私服を再び寝かせようとしたが、彼は反動のように跳び上がった。
「うりゃあ!」
「(ナースら)ぎゃああ!何!」
指差したその前方には、レントゲンスイッチを押したばかりのナースがまだスイッチを持っていた。珍しいことではないが、このクリニックでは伝統でやっていた。
「診療中止!診療中止!」
「えええっ?」ナースはパニクった。
「すべての診療行為を中止せよ!繰り返す!」
すると同時に、背広が何人も箱を持って突撃してきた。待合の患者の間をぬって。
「診療中止!診療中止!」
真珠会病院でも、ハッカーがケラケラとウケていた。
「診療チューシ!診療チューシ!ケエッケケ!」
クリニック内。1人の背広が事務室の電源を落とし、また1人がテレビを消す。また1人・・・
次々と病院の機能が<停止>していく。
「な、何をするんだああ!」
松田院長が診察室から泣きかけで飛び出した。
「けけ!警察呼べっ!警察!」
点滴中の患者は強制的に点滴中止。高齢であろうが、無差別にさっさと起こされた。
「きさま~!患者のふりして点滴希望とは!」松田は私服の襟をつかんだ。
「ここはもう、病院ではない!」
「何さまのつもりだ!」
私服は名刺を出した。
「私は医療対策課!ここの実情を調べにきた!」
「ぬぅう?なにぃ」
「なんだこれは!どういうことだ!このクリニックには目をつけてきたが・・・」
足津の声一つでやってきたことなど、言うはずもない。
周囲、泣きだす病院スタッフ。患者らは次々と病院を追い出されていく。
「わ、悪いことはしてねぇ」院長は戸惑った。
「本来、レントゲン技師と医師にしか許されてないエックス線撮影を、ナースにさせた!これは重大問題だ!」
「どど、どうなるんだ?その場合?」
サ―ッと血の気が引き、尿が同心円状に拡がった。
私服は、額縁を持ち上げた。博士号取得の賞状だ。
「こうなるんだよ!」
バリーン!と振り下ろされた。
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