大学病院では、夜遅くまで教授陣以外のスタッフがカンファレンスしている。
だがシナジーにとって、話は思わしくない方向に行きつつあった。
クリニック閉鎖の情報もあり、いよいよ真田病院が本格的にヘルプする方針に。
「真田からは、ユウキ先生。これが第一陣隊長。トシキ先生が第二陣隊長。第一陣はまずプライマリケア的に振り分けを行い、重症への第一次的な処置を行う」
各隊長は、それぞれマネージメントを行う。
などなど、黒板に分かりやすく書く。
「第二陣は、緊急以外だが入院までの全範囲。ここでは速効性より知識・内容が問われる」
ノナキーは別のペンで描き足す。
「したがって・・・第一陣にはよく動く、研修医らを主体に置きます。各患者1人、指導医の資格のある者を」
「資格よりも、能力を先生」シナジーがはさむ。
「そ。その評価は。各教室の勤務評定で用いて判断します」
「なんでまた・・」
「いちいち、口を挟まないでもらえますか?」
みな、賛同した。
シナジーは納得できない壁に何度もぶつかっている。
「いいでしょう。2陣には検査担当医師を中心とし、中堅医師を配備。方針が決まったら2次的処置をして、入院手続きを」
「・・・・・」ノナキーもすぐにハイとは返事しない。
「この1・2陣でたいていのカタはつきます。で、病棟への搬入方法は・・・」
工学部生の作った模型が置かれる。
「これは?」超合金のような模型・・・サイドカーのような形。
「これはベッドサイドカー。バイクの横に、ベッドをくっつけたものです」
「(一同)おぉ~」
「搬送されたベッドの真横めがけ、ベッド柵とバイクがパイプで接続されます。バイクの横に棒磁石が2本」
「2本とも伸ばすと、柵にひっかかるわけですか」と助手。
「ええ。なので1・2陣であとは入院と決まれば、バイク便がお迎えにおおっと。お出迎えになるわけです」
「これも学生らにさせればいいな・・・」とノナキー。
「しかし転倒などのリスクがあります」
「医療スタッフで診療から離れてるとなると、基礎系の人間たちだな。使いようだ」
「・・・・・」シナジーは口を挟まず。
「よし。教授通して、頼んでみる」
ノナキーは、あくまで病院スタッフ全員を使う頭だった。しかしこの計算は甘すぎた。
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