品川は何かを感じ、青空を仰いだ。
「あっ?あれは・・・」
「えっ?」ちょうどお金をポッケに入れたタイミングでもあり、学生はかなり驚いた。
ゥ~・・・とかすかに天に響く音。
「さては!」シナジーが空をにらんだ。
「えっ?早速ですか?」学生らは後ずさりし、散り始めた。シナジーは受付に電話。会話して切る。
「やはり、通常の搬送ではないな・・・!」
自転車に飛び乗って突っ走り、一目散に新玄関を目指す。
「ふっ!はっ!ひっ!」
ガシャーン!と倒しながら、新玄関へ。自動ドアをくぐる。
「来た!きた!」
滑り台の横、階段を上る。
滑走の練習を半ば遊びでしている学生ら、気まずくとりやめる。
事務室では、少し訓練された事務員がパソコンナビを見ている。
「来ます!第一陣!」
「ちょっと待て!」シナジー、駆けつける。
「待てません!正門開けます!」
「僕がやる!マニュアル通りで!」
品川の押したスイッチで、ゲートが右にゆっくりオープンしていく。
早くも診察目的で来た乗用車が、割り込もうとうする。
朝8時。
医局からノナキーが脱げかけの白衣で。
「品川さん!外来患者さん向けの注意書きはちゃんと貼ったのかい?」とノナキー。
「しましたよ!でも読んだのかどうかは」
「彼らは、救急の入口とかも関係なしで入ってきますよ!」
しかし、乗用車の入る隙はなかった。黒い救急車がいきなりサイレンを回し始めたからだ。
両側の車数十台はおののくように急停車した。
黒い救急車は、サイレンではありながらゆっくりと侵入してくる。
「とりあえずの、挨拶かな・・・」
「でしょうね」とノナキー。
「スタッフは?」
「まずは7人。滑走台の上です」
「足りんでしょうが」
「追加の7人が5分ごとに来ます」
「さすがですね・・」
「遅いですよ。褒めるのは」
大平が桜田とやってきた。
「おうシナジー!」
「大平先生に桜田先・・・ほかは?」シナジーは慌てた。
「あとの2台とははぐれた・・もうちょっとかかるらしい」
「スタンバイのヘルプを!」
「あんだけいりゃ大丈夫だろ!」
彼はいつでも降りれるように、改めて滑走台の長椅子の後ろへ。行こうとしたが、気を使ってか席を譲られた。
座ると、目の前にディスプレイ。品川の顔。
「なんだよ。あんたかいな!」
「出撃はまだですからね!焦らないで!」
「そう願う!」腰からジュースを取り出し、ストロー。
消化器科の丸眼鏡をドクターがいやらしそうに見る。
「真田の奴か・・・やっと来やがって」
「こ!こいつ!いやこの方は!」さらに向こうの消化器科。
「あん?どうしたあ?」
「近畿の医学雑誌の!僻地病院の将来に光を投げかけたという!」
「なに!」
みな、尊敬の眼差しで見る。大平は注目は慣れていた。
「これが終わったら、また僻地に戻ろうかってな・・」
後ろから伸びた手を握った。みなその女医に注目したが、すぐさま又大平に注がれた。
みな、握手を求めてくる。
「尊敬してました」「ぜひうちに」「なぜ真田に?」
シナジーは工学部の用意した望遠鏡で観察。
救急車が遠すぎて、しかも目隠しシールドで詳細が分からない。
駐車場の入口で止まっている。サイレンはまだ鳴っている様子。
「こっちに来る?」ノナキーはたじろいだ。
「もう、行きますか」シナジーは望遠鏡から離れた。
「分からん。判断してほしい」
「で、でも・・・」
「品川さん。ど、どうだろう。交渉してみては」
「ええっ?交渉?あっちの交渉ならともかく。はっ?」
気がつくと、医局員が数名取り囲んでいる。
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