トレーラーのコンテナ車両内では、うだるような暑さの中<作業>が続けられる。
マーブルはシャツ1枚で、各患者を支配するパソコンキーを解除中。電子板から、車内の頭脳パソコンに転送した形だ。
「28番、切り離しいきまーす。続いて29番・・・」
「・・・・・」シローは震えてみているだけだった。
「シロー!お前は後部車両担当だろ!軽症だからやりやすいはずだ!」
「ま、まさかこんな・・・」
「いいから戻れ!軽症なんだから、罪の意識も軽いだろ!」
「・・・・・・・・」
「大金を手にしようならな!クソの海にでも突っ込む覚悟がいるんだよ!」
マーブルは血眼になって静止した。
「家族に、会いたくないのか?」
で、また動き出す。
「34番。でまーす!」
シローは今ので、かなりこたえた。
次々と、サイドのハッチが開いていく。
マーブルにも多少、罪の意識はあった。
「ごめんなぁ・・・。みんな。でもよ、でもよ。あいつらなら何とかしてくれると思うんだ!末端の俺たちはさ。やれということをやるしかない。へへ・・」
しかし、大学スタッフはほとんどが逃げに回った。
いざという時は、人の本性が出る。心の準備を理由にして、みな逃げ出している。
ノナキーが頼れるのは、結局は同医局のイエスマンたちだった。それと・・・
「ユウ、お前らどこで何やってんだ!ていうか、知らないか・・・」
電話しようとしても、むしろかかってくる電話に謀殺される。
「処置車、来ました!」島から電話。
「そうか!島!お前いまどこだ!」
「うしろです!」
島は電話を切りしまいながら車椅子回しつつやってきた。両側に処置物品。
「第一陣のテント集落に、各1名患者を振り分けます!テントは学生が組み立てを!」
「テントは今のところ7つしか機能してない!稼働を早くするしか!」とノナキー。
「自分も行きます!あいつらに負けませんよ!」
島はテントの方へ向かった。
「男だな・・島」一瞬、ノナキーは感動した。
そこへ、シナジーがゴミ袋をサンタのように持って走ってきた。
「はぁ!はぁ!」
「品川さん!」ノナキーは携帯を2つ耳に当てていた。
「はは!は!ここ、これを!」
袋をばらっと開くと、様々な医療器具。
シナジーは処置車の物品と合わせ、確認。
「よし、ではここを物品配布の基地にしよう!処置車はここ、新玄関前から発進!」
処置台をかかえた車は6台に達した。
「集まったな。あと4台はあるはずだ」
「もう5分でここへきます!」と学生。
「よし。君は将来有望だ!」
「ありがとうございます!」
そんな褒めてる場合ではなかった。
コメント