ユウは、思いついた通りで喋っていった。
<キーン!助手以下のスタッフ!助手以外!で手が空いてる者は!こっちに来てくれ!>
「こっち、じゃ分からんだろ!」大平が背中を押さえつつ横に来る。
<すまん!そうだった!キーン!これからテントを回る!>
拡声器からいったん退く。
「桜田は!ザッキーとベッドを1台ずつ!」
「(2人)はい!」
「重症を見つけ、最重症からあたってくれ!」
2人は散開。桜田は大平を何度も振り返った。愛の信号らしきものが交わされたかどうかは知らない。
テントを回る。意外と、1つのテントの中には大人数。
<キーン!おいそこで何もしてない奴!お前ら!>
マジックで、白衣の表と裏に数字を書く。
「な、何するんですか?」
<俺が番号をつけた奴らは!後ろの丸いスペースへ退場!>
「ったく・・・」
<早く行けよ!丸いスペース!>
シナジーがマジックで速効作ったサークルの中へ、追いやる。
<ウルトラクイズじゃねえぞ!次!お前!>
次々と、円内に白衣がたまっていく。
<消化器部長は!消化器部長はどこだ!>
「病棟です!」とヒラ。
<入院したのか?>
「痔からの出血です!」
大平が耳打ちする。
「出血して止まらなかったんだ。他にも出血者が多数。野中医局長がほれ、さっき・・・」
<クマリン?ワーファリンでも飲んだのか!キーン!>
「わ!うるさいよ!」
ユウは次の指示を出す。
<今、班長を指名したから。各班長は、診療データを1分でサマライズしてくれ!>
診療の電子板が学生らに渡され、医師の言う通り打ち込まれる。
<俺らが見て、分かるように!>
ノナキーが自転車のハンドル上に抱えたパソコンに、次々とデータが飛び込んでくる。
「・・・・・よし!よしよし!」
ユウは声がかれて、拡声器の声もかすんだ。
「はあはあ。声が・・・飲むもん、ないか?」
大平は腰からジュースのコップを取りだした。
「ほら!俺の!」
「いいのか?」
「俺のはあるから!」
「そっか?すまんな・・・」
一気に飲み干す。大平は興味深そうに、一部始終を見る。
「ぐぶ・・・見るなよ。気持ち悪・・・ありがと!はあ!」
また、声が出るように。
円の中、おしくらまんじゅうのように人が密集する。
<あのベッドの集合体が見えるか?>
ベッドの集塊の中を縫うように、医師ら数人がせっせと救護に当たっている。
<ここで、3つに分ける!>
無理矢理、チョップの形の腕で3つに切り分ける。
「(一同)おいおいおいおい!」
<エー!ビー!シー!シナジー!マジックで書け!>
「すみません!」シナジーが、マジックで白衣に書き込む。みな戸惑う。
<皆、もういっぺんベッド見ろ!あそこがA!B!C!>
みな、仰ぐが境界がハッキリしない。
<ま、だいたいどういうことで!>
ユウはダッと走り、振り向いた。
「早く来んかあ!お前らああ!」
「(一同)うわあああああ!」
二十名ほどが一気に駆け出した。
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