新玄関近くの、大部屋。講演などを行う会議室を、そのまま救急部屋として使用。
「病棟へ、どんどん上げればいいだろ!」消化器の中堅ドクター。
「看護部長から許可が出てない!」責任者のノナキーが叫び返す。
その周囲、ベッドが21台。残ったスタッフは彼ら入れて8人。真田のスタッフは品川事務長のみ。
「私も掛け合いましたが、ダメでした」とシナジー。
「でしょう?」ノナキーは同調した。
「助手の先生方も、病棟にこもって。なぜ・・」
「彼らの言い分は、まず1つ。入院させた患者のしりぬぐい」
「なっ・・・そんな」
「言い方はともかく。もう1つ。先ほど救援に滑走台に向かった方々への電撃攻撃」
消化器の中堅は内視鏡を覗いていた。
「ふん!腰抜け!俺だってちょっと浴びたぞ!」
「・・・・・」ノナキーは次々と診療にあたった。
男性の研修医。倒れかけている。
「あっあの。心筋梗塞で」
「なぜ、そうわかるんだ!安易に言うな!」ノナキーがイライラしている。
「これ・・・」
患者のベッドの上。心電図やデータ。
「・・・ま、そうなんだろうな!」
自分の胸をつかんだと思うと、板が・・いや、モニター画面が傾いた。
「超音波で見る!」
隅にいるシナジーに、今度は別の医者から声がかかる。ノナキーの手下、島助手だ。車いすで診療。
「品川さん。刺すから、持ってて」
「さす?」
「この角度で。ずれて、下手したら死ぬから」
管の先、患者のみぞおち部。
「・・・・し!」
同時に、数センチ奥へ。やがて黄色い液体。
シナジーはこわばったように管を支え続けた。
「あの、もう」
「まだだ!はなすな!」
「・・・・」1分。
島はマスクを外した。
「よし。もういい。フー・・・」
うつむき、声もない。
「フー、フー・・・よし!」
次の処置にとりかかる。
ノナキーは心筋梗塞と確認。
「研修医。カテーテル室の準備を!」
「ぼ、僕は違いますから」近くの消化器研修医が答えた。
「うちの同門はいるか?」
「(2人)はい・・・」覇気がない。
「カテーテル室、近くにあるので準備してこい。技師も捕まえて」
中堅の消化器医が、心臓マッサージにかかる。
「おい循環器!人手を勝手に向かわすな!」
「逃げるみたいなこと言うな!心筋梗塞の急性期だぞ!」
「こっちだって出血性ショックの処置で人手がいるんだ!」
だが、どうやらその患者は絶望的のようだ・・・。
シナジーは周囲を見回した。
「半数は病棟に上げれますね!こうなったらかまいません!連れて行きましょう!」
「看護部長が!」ノナキーがまた止めに入った。
「ええいもう!あなたは看護部長が死ねと言ったら死にますか!」
ノナキーは妙に戸惑った。
「う・・・いや」
「じゃ、行きますよ!行きましょう!」シナジーは1台ずつ、研修医らと搬送を開始した。
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