ボオオオ・・・と燃え上がる、よく出来ていた人型のハリボテ・・ガタン、ガタンと1枚ずつ落ちてくる板。
ときに、ガシャン!と飛び散っていくガラス。風の向きにより、煙の向きもいろいろ変わる。
その前方で、シローは背中をこづかれていた。
「さ、早く終わらせろ」
「ま、待ってください。まだ・・まだ!」
シローは胸腔チューブをユウの両胸に入れ終えて・・・・そのチューブの両端を一手につかんだ。
後ろの藤堂ナースは、さきほど地面の油に叩き込んだDCベルトパッドを、シローの背中数センチに近づけていた。
「だが、あんたがここを通りかかって良かったよ」
「・・・・・」
「かつての先輩が心配で、探しに来てたんだろ?」
「・・・・・」Y字管に2本をつなぐ。両肺からの空気を一本にまとめ・・・圧を用いて外へ持続的に漏れる空気を引っ張る。
「甘いねえ男は。だから、こんな世になる。さ、まだか!」
シローはヒイヒイ言いながら、気を失いかけのユウの横でセッティングを続けた。
「吸引、開始・・・!」
ボタンを押し、ボコッ!ボコボコ・・・と液体の下から上に湧き上がる空気。
ユウは眼をやや見開いた。
「し・・・・しろ・・・シロー・・・?え?」
「先生。動かないでください!動かないで!」
線路の向こう、白衣が満杯に乗ったトロッコがゆっくり近づく。
シローは背中をつかまれ、立ちあがった。
「どこへ案内しろと?」
「場所は知ってる。中に入ってからが問題だ」
白衣らがこちらへ走ってくる。やっと駆けつけにきた助手クラスだ。
シローは引っ張られながら、思いっきり叫んだ。
「りょ・・・両側気胸です!うわ!」
膝の後ろを何度も突かれながら、彼は前のめりに小走った。
後ろの大きな模型は蜃気楼を立てながらズズズ、と崩れていき・・・
そのまま地へと還るように地鳴りを轟かせた。
シローは何度も転倒しながら、<目的>の場所まで向かった。
「僕は、もう目が覚めたんです!協力はしませんよ!」
「家族を捨ててもか・・・」
「法的にやります!」
「その<法>によってこれから捕まろうとしている、お前の言うセリフか・・・?」
頭をよぎった。確かに、警察の介入することにはなろう・・・。おびえていたとはいえ、何かに加担したことに間違いはない。
「ここか・・・!」
シローは見上げて分かった。
「ここは。ここはカルテ庫じゃないか・・・」
ときに、ガシャン!と飛び散っていくガラス。風の向きにより、煙の向きもいろいろ変わる。
その前方で、シローは背中をこづかれていた。
「さ、早く終わらせろ」
「ま、待ってください。まだ・・まだ!」
シローは胸腔チューブをユウの両胸に入れ終えて・・・・そのチューブの両端を一手につかんだ。
後ろの藤堂ナースは、さきほど地面の油に叩き込んだDCベルトパッドを、シローの背中数センチに近づけていた。
「だが、あんたがここを通りかかって良かったよ」
「・・・・・」
「かつての先輩が心配で、探しに来てたんだろ?」
「・・・・・」Y字管に2本をつなぐ。両肺からの空気を一本にまとめ・・・圧を用いて外へ持続的に漏れる空気を引っ張る。
「甘いねえ男は。だから、こんな世になる。さ、まだか!」
シローはヒイヒイ言いながら、気を失いかけのユウの横でセッティングを続けた。
「吸引、開始・・・!」
ボタンを押し、ボコッ!ボコボコ・・・と液体の下から上に湧き上がる空気。
ユウは眼をやや見開いた。
「し・・・・しろ・・・シロー・・・?え?」
「先生。動かないでください!動かないで!」
線路の向こう、白衣が満杯に乗ったトロッコがゆっくり近づく。
シローは背中をつかまれ、立ちあがった。
「どこへ案内しろと?」
「場所は知ってる。中に入ってからが問題だ」
白衣らがこちらへ走ってくる。やっと駆けつけにきた助手クラスだ。
シローは引っ張られながら、思いっきり叫んだ。
「りょ・・・両側気胸です!うわ!」
膝の後ろを何度も突かれながら、彼は前のめりに小走った。
後ろの大きな模型は蜃気楼を立てながらズズズ、と崩れていき・・・
そのまま地へと還るように地鳴りを轟かせた。
シローは何度も転倒しながら、<目的>の場所まで向かった。
「僕は、もう目が覚めたんです!協力はしませんよ!」
「家族を捨ててもか・・・」
「法的にやります!」
「その<法>によってこれから捕まろうとしている、お前の言うセリフか・・・?」
頭をよぎった。確かに、警察の介入することにはなろう・・・。おびえていたとはいえ、何かに加担したことに間違いはない。
「ここか・・・!」
シローは見上げて分かった。
「ここは。ここはカルテ庫じゃないか・・・」
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