ドクターカーが1台、外で待機している。田中が、外で中腰。みなの姿を見て立ち上がった。
「あ!みなさん!」
綺麗に片付いた新玄関を出て、ユウとシナジーは先頭を歩いた。ユウの両側にはチューブが巻きついたまま。後ろでザッキーが車いすを漕ぐ。彼には元気が戻りつつある。
「3人・・・」
田中は不思議がったが、そういえば内訳は聞いていた。
「品川さん」田中は思い出した。
「なんだ」
「さっき、シロー先生が歩いてましたよ?」
「シロー先生が?」
「あとで知ったんですが。警察が捜してるようですね・・・」
ユウは、ドクターカーに乗り込んだ。
「あいつのことは、もう知らん」
ザッキーは車いすごと後部ハッチから。
「結局、奴らの目的も分からずじまいだねー!」
シナジーはハッチを閉めた。
「いや。大阪の警察が明らかにするでしょう」
「重要参考人が、何人か死んだんだぜ?」
「・・・・」
田中は運転席でシートベルトし、姿勢を直した。
「出ますよ・・・あれは・・・?」
「(一同)・・・?」
気がつくと、ドクターカーの周囲。数百人が黙祷を捧げている。みなこっちに捧げているのか、でもよそを向いている者も。誰かの指示なのか。
車は誰も起さないような気遣いで、ゆっくりとタイヤを滑らせた。
みな1人1人、眠りに落ちて行った。
大平らしき人間を乗せたパトカーが、あとを追うように赤いランプをともす。
(♪)
もう少し傍にいて・・・
幾つもの夜を・・・
ひとりきり過ごしてきた・・・
ぬくもり・・・
ほほえみ・・・
頬にかかる甘い吐息・・・
愛はいつも 悲しみだけを・・・
君のもとに残してきたけど・・・・
もう泣かないで
僕は君だけのもの・・・
別れたあの時と
同じように今夜
窓の外 静かな雨
いつでもポケットに
君の写真 抱いて寝たよ
人はいつも失くしたものの
重さだけを背負ってゆくけど
もう離さない
君は僕だけのもの
戦い疲れた兵士が今
帰って来たよ 帰って来たよ
愛はいつも 悲しみだけを
君のもとに残してきたけど・・・
人はいつも失くしたものの
重さだけを背負ってゆくけど・・・
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