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2009年8月11日 連載

 ドクターカーが1台、外で待機している。田中が、外で中腰。みなの姿を見て立ち上がった。

「あ!みなさん!」

 綺麗に片付いた新玄関を出て、ユウとシナジーは先頭を歩いた。ユウの両側にはチューブが巻きついたまま。後ろでザッキーが車いすを漕ぐ。彼には元気が戻りつつある。

「3人・・・」

 田中は不思議がったが、そういえば内訳は聞いていた。

「品川さん」田中は思い出した。
「なんだ」
「さっき、シロー先生が歩いてましたよ?」
「シロー先生が?」
「あとで知ったんですが。警察が捜してるようですね・・・」

 ユウは、ドクターカーに乗り込んだ。
「あいつのことは、もう知らん」

 ザッキーは車いすごと後部ハッチから。
「結局、奴らの目的も分からずじまいだねー!」

 シナジーはハッチを閉めた。
「いや。大阪の警察が明らかにするでしょう」
「重要参考人が、何人か死んだんだぜ?」
「・・・・」

 田中は運転席でシートベルトし、姿勢を直した。

「出ますよ・・・あれは・・・?」
「(一同)・・・?」

 気がつくと、ドクターカーの周囲。数百人が黙祷を捧げている。みなこっちに捧げているのか、でもよそを向いている者も。誰かの指示なのか。

 車は誰も起さないような気遣いで、ゆっくりとタイヤを滑らせた。

 みな1人1人、眠りに落ちて行った。

 大平らしき人間を乗せたパトカーが、あとを追うように赤いランプをともす。

(♪)

もう少し傍にいて・・・
幾つもの夜を・・・
ひとりきり過ごしてきた・・・
ぬくもり・・・
ほほえみ・・・
頬にかかる甘い吐息・・・


愛はいつも 悲しみだけを・・・
君のもとに残してきたけど・・・・
もう泣かないで
僕は君だけのもの・・・


別れたあの時と
同じように今夜
窓の外 静かな雨
いつでもポケットに
君の写真 抱いて寝たよ


人はいつも失くしたものの
重さだけを背負ってゆくけど
もう離さない
君は僕だけのもの


戦い疲れた兵士が今
帰って来たよ 帰って来たよ


愛はいつも 悲しみだけを
君のもとに残してきたけど・・・


人はいつも失くしたものの
重さだけを背負ってゆくけど・・・



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