要望書

2009年8月24日 時事ニュース
 日本小児科学会http://www.jpeds.or.jp/がHPで公開している通り、厚生省に対して、国民への伝達を呼びかけを促す要望書を提出した。

(以下、それのコピー)


厚生労働省
新型インフルエンザ対策推進本部御中

社団法人 日本小児科学会
会長 横田 俊平

謹啓
 現在、新型インフルエンザは、静かに感染を拡大させています。夏季に入ったにもかかわらず、インフルエンザ定点からの報告数が増加し、また病原体定点からは現在の流行の大半は新型インフルエンザウイルスによるものであることも明らかになっております。そのようななか、国内において小児のインフルエンザ脳症の報告例もこのところ続いています。平成21年8月13日現在、インフルエンザ脳症は国内で5例報告されており、うち1例は重症例です。私ども日本小児科学会としては、今後、罹患年齢層の低下に伴い、幼児を中心とした小児のインフルエンザ脳症の増加や、海外で報告されているARDSを含む重症肺炎の国内発生を危惧し、地域診療体制の整備を始めたところです。
 以上の状況に鑑み、厚生労働省におかれましては、以下の点について、国民への情報伝達と知識の普及の推進にご協力いただけますようお願い申し上げます。

1 今まで国内に重症例が殆ど報告されなかったことから、国内社会においては「新型インフルエンザは軽症である」との認識が拡がっているが、今回、新型インフルエンザに伴う脳症重症例が発生したこと。

2 夏季であるにもかかわらず、国内や米国などの北半球において、小児の脳症例の報告が続いていること。

3 今後、秋・冬の感染拡大の中、幼児における新型インフルエンザの流行は避けられないものと考えられ、この年齢層を中心とした小児のインフルエンザ脳症の発症数の増加が危惧されること。

4 以下の症状は、インフルエンザ脳症の早期の症状として、保護者等一般の方が注意すべき点であり、これらの症状がみられたら医療機関(小児科であることが望ましい)を受診すること:

インフルエンザ様症状(発熱、気道症状)に加え
A.「呼びかけに答えない」など意識レベルの低下がみられる
B.痙攣重積および痙攣後の意識障害が持続する
C.意味不明の言動がみられる

5 強い解熱剤(例:ボルタレン、ポンタールおよびこれらと同様の成分の入っているもの)はインフルエンザ脳症の予後を悪化させるので、必ず解熱剤はかかりつけの医師に相談して用いること。

 以上の5点を国民へ確実に伝達できますよう、厚生労働省に早急な対応をお願いする次第です。
 なお、インフルエンザ脳症は、5類全数届出疾患「急性脳炎」に含まれるものとして届けることになっております。合わせて臨床医への再喚起をよろしくお願いいたします。

謹白

(コピー、ここまで)

以下、私見。

1 ・・ 脳症が増加しているのは明らか。緊急性を要するわけだから、その(脳症が疑われた段階)場合受診する病院の受け入れ状況、脳症の早期判断の目安が必要になる(4へと通じる)。当然、家族への責任の比重は大きくなる。

2 ・・ 参考のため、海外での蓄積データを公開する必要がある。少なくとも今後負担が増えるであろう内科医にも詳細を知らせるべき。

3 ・・ ワクチンの具体的接種プランを早く教えてくれ、ともとれる。夏休みが終わったとはいえ連休は数々あるので、せめて国は内需拡大(旅行とか)の姿勢を控えるべき。

4 ・・ 痙攣時、また様子がおかしいときの両親の対応法などを具体的にすべき(携帯受信を含めたパンフ配布)。大流行の前段階の今でこそ、CPRについての関心も含め徐々に浸透させるべき。

5 ・・ 内科医にとって判断しづらい場合の窓口が欲しい(医者vs医者)。

 正直、内科医をどれだけ<巻き込んでおく>かで小児科医の負担も変わってくると思う。若年の脳症の経験が、日頃そんなにないだけに(脳外科にすぐ紹介してしまう傾向があるためでもある)。


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