やりがいを見出す前に
2010年3月25日 連載田舎の民間病院で長年勤務している医師は、知り合いに大勢いる。中には高い能力を持っている人間も多い。病院としては黒字につなげるべく、各種検査の件数を増やそうとつとめる。
たとえば循環器のドクターなら最初は超音波検査1日数件だったのが、週3回1日5件、やがてペースメーカー植え込み(非常勤つき)、血管造影へと・・希望すればやることはいくらでもある。確かに自分の専門をやれてるときは充実感・達成感があり、経営者ともいい関係なのだが、経営基盤がしっかりしてない(つまりほとんどのケース)と以下のスパイラルに陥りやすい。
検査随時可能→検査毎日可能→透視・胃カメラなどの依頼も増加→しまいに時間外受診・予定外受診増加→紹介先とのトラブル(紹介状と状態がちぐはぐ)→患者そのまま入院精査(別診断のための)→重症患者増加→他の常勤医師との能力格差上昇(なぜか変なのが入ってくる)→その医師の受け持ち患者増加→過労→検査・入院の自粛→患者側より「なんでや」のトラブル→経営側の理解なし→医師激怒→退職
何も田舎だけには限らないしよくあるパターンなのだが、教訓はある。それは・・・プロフィールぞ時点で、「これもあれもできます」というアピールは控えておいたほうがいいということ。患者側・経営側はもちろん良しとはしない。だが医師を守るのは自分自身1人でしかない。
なので自己紹介で「何件でもやります」とか「時間外でも大いに結構」「あれをビシバシやりたいんですが」とアピールするのはくれぐれも控えたい。今の時代。
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