ちょっと気付いた非常識 ⑤ 自分より弱いもの・・・
2010年4月7日 連載ドクターになると、自分より弱いものがいきなり激減する。なぜかというと、皆がそのドクターから恩恵を受けるかもしれないからだ。そのドクターの評価ではない。
するとドクターを頭から小突く奴は・・いやいや、詰所に上司、いろいろいる。研修医なら到底かなわない相手だ。理不尽でも、白も黒。黒も白。ストレスは増える。
そんなとき愚痴を聞いてくれる仲間の存在は貴重だが、中には人に話せない事情も出てきて塞ぎこむこともある。そういう経験が浅いとその処理に明け暮れる。
最悪なのは、その力がE=mc2の法則にのっとり思わぬ方向へ向かうこと。今の世の犯罪のように、明らかに自分より弱いものへの圧力だ。
たとえば研修医なら学生に威張ったり、水商売に威勢良く入れ込んだり、業者を見下したり・・・。いや実は最悪なのは、自分がうまくトリートできなかった症例の患者を投げ出す場合だ。
そうだ。これが一番貴重なことだ。どんなに勉強しても患者にはりついても、それまでの苦労を現実が簡単に裏切り否定してくることがある。それでも自分のプライドに屈せずにまっすぐものを見れるか・・?ということだ。投げ出し、という短絡的な行為に及ばぬかどうか。
つまり一番弱い存在である「単純」というものに向かうな、ということ。
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