③ ●本、隠してますか
2010年4月19日 連載 肩を落として寮に戻ると、いつもの適当先輩が待っている。
「おっ。遅くまでご苦労さん」
「こんばんはー」
「塾か」
「はい」
階段をついてくる。この人につかまったらどこまでも・・・。
「先輩。もう夜の10時ですよ」
「うん。今、起きたから」
「部屋、あまり広くないですけど」
カチャ、と開ける。適当先輩はベッドに転がる。
「あー。あー。なぁ。なんかないか」
「なんか・・ですか?」
「なんかだよー。なんか。エニィシング。あ、それはなんでもか」
適当先輩、そこらの引き出しという引き出しを開けていく。
「先輩。ちょっとせ・・」
「何だよ。やましいものでもあるのか?」
「じゃないですけど・・」
先輩の手が止まる。カセットテープを見つけた。
「あなたが私にくれたもの~フフフフフフフフフフフンフ~」
「それ、借り物なんで」
「大好きだったけど~フフフが~いた~なんて~」
「・・・・・」
先輩はカセットを放り、講義ノートをペラペラめくる。
「なんだよおい。授業聞いてないじゃねえかよ!」
「そのときは疲れてて・・」
適当先輩の目がギョロつく。
「何?またバイトでか?」
「え?ええ。よく分か・・」
「分かるよ。分かるんだよ。だってお前いつもバイトだろ?」
「は、はい」
拳を無意味にテーブルに叩きつける。
「はいじゃないよ!お前将来医者なんだろ・オレだってそうだ。専門課程(3年~)に入ったら、自由はないらしんだ。オレには最後のあがきだ。青春グッバイ、いやグッバイ青春なんだよ」
「はい」
「♪ジグゾーパズルのようさ・・・ようさ・・ようさ」
先輩、早く帰ってくれ・・・
すると今度は、先輩の手が机の引き出しに伸びた。
「あっ!」思い出した。そこには・・・
「ああっ?おっ!」ニヤついた適当の手首を思わずつかむ。
そこには確か、●本が・・・。いや、誰だって、誰だって買うだろう。だからといって宣言して買うものか!
「先輩!そこはちょっ!」
「エロ本。めしとったり~」
「ああっ!」
適当先輩の力は強かった。
「ふん1段目!・・・・おいおい。電気代払えよ~!」
請求書の山だった。
「先輩。そこは何もないんです。ないんです」
「はだしのゲンかよお前。中岡家には何もないって言い草だな」
「?」
2段目を開けられた。
「高校のアルバムやないか~!おお~!この娘かわいいメッチャ!どこ行った?」
「こ、神戸女子・・・」
「彼氏おったんか?え?」
「た、たぶん・・・」
「やっとったんやろなぁ~ブイブイ!」
「そんなはずは!」
一瞬止まる、適当先輩。
「いやいや~。やっとるってぇ~えへへ!」
「(帰ってシゴいてろ・・・!)」
「パンパカパーン!残るは運命の3段目!」
大声で、横の薄いドアがドカン!と蹴られる。さすがの適当先輩もひっそり声。しかし表情は懲りてない。
「(小声)今週の、メインイベント!」
「(小声)お願いです!お願いです!」
「おいおい。本気で怒んなよ~」
「どうか・・・」
適当先輩は、力をゆるめた。
「ま、これくらいにしといたろか・・・」
天の声を感じた。
「先輩。ホントにすみません」
「このままやったら俺ら、24時間、♪たたか・・えまっすか!」
「あっ!」
禁断の3段目がバッと手前に開けられた。適当先輩の瞳孔が見開いた。
「♪ビジネスマ-ン!ビジネスマ-ン!」
エーーーーーッ!リィイイイイーーーーオオウベイベェ!
(つづく)
「おっ。遅くまでご苦労さん」
「こんばんはー」
「塾か」
「はい」
階段をついてくる。この人につかまったらどこまでも・・・。
「先輩。もう夜の10時ですよ」
「うん。今、起きたから」
「部屋、あまり広くないですけど」
カチャ、と開ける。適当先輩はベッドに転がる。
「あー。あー。なぁ。なんかないか」
「なんか・・ですか?」
「なんかだよー。なんか。エニィシング。あ、それはなんでもか」
適当先輩、そこらの引き出しという引き出しを開けていく。
「先輩。ちょっとせ・・」
「何だよ。やましいものでもあるのか?」
「じゃないですけど・・」
先輩の手が止まる。カセットテープを見つけた。
「あなたが私にくれたもの~フフフフフフフフフフフンフ~」
「それ、借り物なんで」
「大好きだったけど~フフフが~いた~なんて~」
「・・・・・」
先輩はカセットを放り、講義ノートをペラペラめくる。
「なんだよおい。授業聞いてないじゃねえかよ!」
「そのときは疲れてて・・」
適当先輩の目がギョロつく。
「何?またバイトでか?」
「え?ええ。よく分か・・」
「分かるよ。分かるんだよ。だってお前いつもバイトだろ?」
「は、はい」
拳を無意味にテーブルに叩きつける。
「はいじゃないよ!お前将来医者なんだろ・オレだってそうだ。専門課程(3年~)に入ったら、自由はないらしんだ。オレには最後のあがきだ。青春グッバイ、いやグッバイ青春なんだよ」
「はい」
「♪ジグゾーパズルのようさ・・・ようさ・・ようさ」
先輩、早く帰ってくれ・・・
すると今度は、先輩の手が机の引き出しに伸びた。
「あっ!」思い出した。そこには・・・
「ああっ?おっ!」ニヤついた適当の手首を思わずつかむ。
そこには確か、●本が・・・。いや、誰だって、誰だって買うだろう。だからといって宣言して買うものか!
「先輩!そこはちょっ!」
「エロ本。めしとったり~」
「ああっ!」
適当先輩の力は強かった。
「ふん1段目!・・・・おいおい。電気代払えよ~!」
請求書の山だった。
「先輩。そこは何もないんです。ないんです」
「はだしのゲンかよお前。中岡家には何もないって言い草だな」
「?」
2段目を開けられた。
「高校のアルバムやないか~!おお~!この娘かわいいメッチャ!どこ行った?」
「こ、神戸女子・・・」
「彼氏おったんか?え?」
「た、たぶん・・・」
「やっとったんやろなぁ~ブイブイ!」
「そんなはずは!」
一瞬止まる、適当先輩。
「いやいや~。やっとるってぇ~えへへ!」
「(帰ってシゴいてろ・・・!)」
「パンパカパーン!残るは運命の3段目!」
大声で、横の薄いドアがドカン!と蹴られる。さすがの適当先輩もひっそり声。しかし表情は懲りてない。
「(小声)今週の、メインイベント!」
「(小声)お願いです!お願いです!」
「おいおい。本気で怒んなよ~」
「どうか・・・」
適当先輩は、力をゆるめた。
「ま、これくらいにしといたろか・・・」
天の声を感じた。
「先輩。ホントにすみません」
「このままやったら俺ら、24時間、♪たたか・・えまっすか!」
「あっ!」
禁断の3段目がバッと手前に開けられた。適当先輩の瞳孔が見開いた。
「♪ビジネスマ-ン!ビジネスマ-ン!」
エーーーーーッ!リィイイイイーーーーオオウベイベェ!
(つづく)
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