「(見つかった・・・!)」

 しかし、3段目の引き出しには書類が上積みしているだけ。

「あれ?おいおい。目当てはないぜ?」
 適当先輩はガッカリ。

 そうか。どうやら、本は今の乱暴な引き出す動作で奥に落ちてしまったらしい。学習机、万歳!

「ふーん。つまんねぇの」
 適当先輩は、再びベッドに寝そべった。
「なぁ・・・電話しようや」
「電話?どこへです?」
「オ・ン・ナ。大学言うたら、スリーエスでしょうが」

 バカ井はろくに読めない医学書を手にした。
「聞いたことがあります。洞不全症候ぐ・・あたっ!いたぁ」
「ボアカ。スリーエスといったらあんた。スポーツ、スタディ・セッ●スでしょうが!」
「それ筑●大学でしょう?」

 適当先輩は手帳を取り出した。サークルの名簿だ。

「ほらおい。オレの同級。お前も知ってるだろ。憧れのサトミに電話しろ」
「ぼっ?僕が?なんで?」
「オレのことどう思うか、彼女に聞け」
「そんな・・・」

 言われるままに、電話する。

「こんな夜中に。知りませんよ。あっ・・・」
「!」受話器に近づく、適当先輩。

『はい?』
「あ!あ!あのですね!」
『バカ井くん?どうしたの?』
「あの!この夜中になんていうか!その悩みを聞いていただきたくて!」

 適当先輩、落ち着かずスーパーマリオを始める。

『いいわよ』
「あの!先輩は!適当さんのことをどう思われますか!その!とってもいい人だと思うし!」
『そうね・・・あたしもそう思う』

 マリオ、クッパを踏み潰しつつ進む。
「(おっしゃ!)」適当先輩、ボタンが弾む。

「でですね!そのいい人って言われてもですね!その色々あるじゃないですか!」
『?』
「男だとその、複雑なんですよね!今ファジーの時代というかそういうの、もううっとうしくて!」
『あたしが曖昧ってこと?ねぇそうなの?』

 適当、次々とクリアしていく。

「そうですよ!思ってる人のこと、よく考えてあげないと!」
『あたしを思ってる人が?』
「そうですよ!近くにいるんですよ!なぜ気付かないんですか!」
『うん・・・その通りね。さすがバカ井くん』
「えっ。そんな困るなあ!はは・・・」

 適当、敵なしで突き進む。
「もう一押し、頑張れ!」

『そう。近くにいたの。じ・つ・は!』
「はい?」
『声、聞かせるね』
「はい?」

(間)

 適当、コントローラー持ちつつ受話器に耳。
「何やってんだよ?」

「オウ。オレのオンナに何さらしとんねんお前」男の声。

 マリオは空いてる穴に、ヒュルルルと堕ちていった。

エーーーーーッ!リイイィーーーーーー!

(2回目)
エーーーーーッ!リイイィーーーーーー!





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