⑥ しょせん、金ですか
2010年4月21日 連載 バカ井が勤める塾。塾長室に呼ばれる。
「参りました!」
「そこ、すわんなさい」
水槽や無駄な家具が並ぶ。脂の乗り切った経営者はパンフを出した。
「介護施設のパンフだ。我々は塾だけでなく、他の事業にも手を出している。不動産のビジネスの一環として、介護施設も立ち上げるつもりだ」
「ええ、そこでのサポートをして欲しいっていう話ですよね。それで来たわけですが・・・」
適当はのめりこんだ。
「それがこの塾より、バイトの条件がいいわけですか」
塾長はタバコにむせつつ頷いた。
「うん・・・そうだ。だが君らに頼みたいのは。我々のフレンド会社が経営する介護施設の・・・職員としてでない。顧客の送り迎えだ」
適当は胸をなでおろした。
「なぁんだ。そんなことでしたら、僕らいつでもオッケーですよ」
バカ井は気にかけた。
「適当先輩。留年に待ったかけて追試験の要望出してきたとこじゃないっすか」
「追試験?」塾長は眉をしかめた。
「あ。この先輩。いったん留年は決まったんすけど。どうしてもそれがイヤってことで。近々試験があるんです。その勉強で」
適当は遮った。
「いや・・やります。僕ら教養学部で、医師の卵として扱われてないんです。医師の素質としての教養をみがきたいんです」
話が終わり、3人は出た。バカ井は背伸びした。
「ようやく、僕らもこれで医師に近づけるな~!さっそく明日から、授業も代返にして頑張るぞ!」
廊下、コナン坊が立っている。
「さっきの話。全部聞いたよ先生」
「あっ。皆、行っといて。もうすぐ授業だろ。教室に戻りなさい!」
「やだね。さっき先生のカバンが開いてて覗いたら、介護に関係する本があった。それと分厚い冊子」
「それが何だ?本を読んで悪いか?」
コナン坊は窓の外を見た。
「つまりこういうことさ。先生は介護に関するビジネスに関わるため勉強を始めようとしている。貧乏な医学生が割高なハードカバー本を買うくらいだ。アルバイトのためだろう」
「うっ・・・」
「図星だね。君はその本を読むためにこの授業時間を利用したい。生徒も減ってるしここへの未練はない。ならば抜き打ちテスト。その冊子がそうだ。ポッケのチャリチャリ音はコンビニのコピーで余ったコピー代」
「そんなお前に・・関係ないだろ」
「おかしいと思わないかい?」
バカ井は赤くなった。
「おいしい話にとびついて、何が悪い!介護の仕事をもらえたんだ!医者になる上で重要なんだ!」
「へーそうかな。ま、その意味はこれから分かると思うぜ」
コナン坊を押し付けるように、バカ井は教室に入った。
「えーみなさん!これから抜き打ちテストをします!」
「(一同)ええええ~っ?」
「先生は読書してるから!」
コナン坊は手を挙げた。
「ねぇ先生。試験監督が下向いてたら、それはカンニング認めたことになるようなもんだよ。ねえカイバラさん」
近くの冷淡な女生徒が、また釘を刺す。
「あたし今日でやめるから。どうでもいいけど」
エエーーーーーーッ!リイイイーーーッ!
※ 女生徒がやめるのは男子生徒の倍つらい。あっさり笑顔でやってのけるだけに。
「参りました!」
「そこ、すわんなさい」
水槽や無駄な家具が並ぶ。脂の乗り切った経営者はパンフを出した。
「介護施設のパンフだ。我々は塾だけでなく、他の事業にも手を出している。不動産のビジネスの一環として、介護施設も立ち上げるつもりだ」
「ええ、そこでのサポートをして欲しいっていう話ですよね。それで来たわけですが・・・」
適当はのめりこんだ。
「それがこの塾より、バイトの条件がいいわけですか」
塾長はタバコにむせつつ頷いた。
「うん・・・そうだ。だが君らに頼みたいのは。我々のフレンド会社が経営する介護施設の・・・職員としてでない。顧客の送り迎えだ」
適当は胸をなでおろした。
「なぁんだ。そんなことでしたら、僕らいつでもオッケーですよ」
バカ井は気にかけた。
「適当先輩。留年に待ったかけて追試験の要望出してきたとこじゃないっすか」
「追試験?」塾長は眉をしかめた。
「あ。この先輩。いったん留年は決まったんすけど。どうしてもそれがイヤってことで。近々試験があるんです。その勉強で」
適当は遮った。
「いや・・やります。僕ら教養学部で、医師の卵として扱われてないんです。医師の素質としての教養をみがきたいんです」
話が終わり、3人は出た。バカ井は背伸びした。
「ようやく、僕らもこれで医師に近づけるな~!さっそく明日から、授業も代返にして頑張るぞ!」
廊下、コナン坊が立っている。
「さっきの話。全部聞いたよ先生」
「あっ。皆、行っといて。もうすぐ授業だろ。教室に戻りなさい!」
「やだね。さっき先生のカバンが開いてて覗いたら、介護に関係する本があった。それと分厚い冊子」
「それが何だ?本を読んで悪いか?」
コナン坊は窓の外を見た。
「つまりこういうことさ。先生は介護に関するビジネスに関わるため勉強を始めようとしている。貧乏な医学生が割高なハードカバー本を買うくらいだ。アルバイトのためだろう」
「うっ・・・」
「図星だね。君はその本を読むためにこの授業時間を利用したい。生徒も減ってるしここへの未練はない。ならば抜き打ちテスト。その冊子がそうだ。ポッケのチャリチャリ音はコンビニのコピーで余ったコピー代」
「そんなお前に・・関係ないだろ」
「おかしいと思わないかい?」
バカ井は赤くなった。
「おいしい話にとびついて、何が悪い!介護の仕事をもらえたんだ!医者になる上で重要なんだ!」
「へーそうかな。ま、その意味はこれから分かると思うぜ」
コナン坊を押し付けるように、バカ井は教室に入った。
「えーみなさん!これから抜き打ちテストをします!」
「(一同)ええええ~っ?」
「先生は読書してるから!」
コナン坊は手を挙げた。
「ねぇ先生。試験監督が下向いてたら、それはカンニング認めたことになるようなもんだよ。ねえカイバラさん」
近くの冷淡な女生徒が、また釘を刺す。
「あたし今日でやめるから。どうでもいいけど」
エエーーーーーーッ!リイイイーーーッ!
※ 女生徒がやめるのは男子生徒の倍つらい。あっさり笑顔でやってのけるだけに。
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