⑪ 心配、してますか?
2010年4月23日 連載いつものように、家から出発。
「じゃ、行ってきまーす!」シンゴが手を振った。運転は適当先輩。
「ぶつぶつ・・・」適当は試験勉強での暗唱を繰り返す。
「先輩。ちゃんと前見て運転してくださいよ」シンゴが後ろから。
「ハンドル使うな。フォースを使え」
「ちょっと!」
ブーン、と車はスムーズに施設へと向かった。
バカ井は一瞬、何か気付いた。
「あれ・・・」
「何?」助手席のサトミが振り向いた。
「じいさん、頬にアザ?」
「ちょっと赤いね」
「なんとなくだけど・・・あ、ここにも」
「体中?」
「でも発疹かもしれないよ?」
「服、脱いでもらう?」
「ここで?」
キキッ、と車は停車した。
「じゃ、降ろそう」適当は勢い良く運転席を外れた。
施設の外でタバコを吸っているイケメン医師。
「やあ。今日は臨時で?」
「ええ」と適当先輩。「家族の方が急に用事ができたって。それで」
「またか」
「またとは?」
「だから、またはまたなんだよ」
「忙しい事情でもあるんでしょう?」
「さあ・・・医療はサービスだから。提供している以上、僕らはその範囲でしてあげなければ」
じいさんは施設の中へ。いつものように、林檎たちは外で待ち続けた。
「見学とか、したかったな・・・」バカ井が残念そうに。
「でもよ。断られたんだよな」シンゴは諦め顔。
「いいじゃないか。将来のために、現場を見ることくらい」
「いろいろやらせるんだよ最近は。実習実習っていいながら。学生の分際なのに雑用やらされたりさ。だからいーんだよ。ここで夢でも語ろうぜ」
適当先輩はノートを拡げていた。
「ワンツーワンツー・・・オレな。無事進級できたら、専門課程に入るんだ。さっそく本買い込むぞ」
「先輩。医学書高いんですよね。どうします?」シンゴがからかった。
「そりゃこの前の3万と。あとバイトの給料と。今日もなんかもらえるかもしれんだろ」
「それが全部医学書に?もったいネー!」
「今までの勉強はな。全部仕事には直結しないものばかりだ。心理学など、何の役に立った?ドイツ語を誰が話す?」
「・・・・・・」
「今度からは、知識そのものが仕事だ。飯を食うための手段そのものだ」
「あー!オレも早く本当の勉強がしてぇ!」
サトミが歩いてきた。
「ねえ。なんかいつもより長くない?」
「そうだね」バカ井も時計を見た。
「昼になっても、音沙汰ないわよ」
「うーん・・・ちょっと行ってくるわ」
バカ井は受付へ。
「あの。送迎担当の学生なんですが」
「部外者は、入室禁止ですので。お約束は?」
「お約束・・・?」
向こうのほう、騒がしい声が聞こえる。
「じいちゃん!」バカ井はダッシュした。
「お客様ちょっと!」
「大丈夫かア!」
林檎たちも、次々と現れた。ダダダーッ!とリハビリ室へ。
ずささーっと横に時差でスライディング。
「(林檎)えーーーーーっ?」
リイイイイィーーーーーッ!
「じゃ、行ってきまーす!」シンゴが手を振った。運転は適当先輩。
「ぶつぶつ・・・」適当は試験勉強での暗唱を繰り返す。
「先輩。ちゃんと前見て運転してくださいよ」シンゴが後ろから。
「ハンドル使うな。フォースを使え」
「ちょっと!」
ブーン、と車はスムーズに施設へと向かった。
バカ井は一瞬、何か気付いた。
「あれ・・・」
「何?」助手席のサトミが振り向いた。
「じいさん、頬にアザ?」
「ちょっと赤いね」
「なんとなくだけど・・・あ、ここにも」
「体中?」
「でも発疹かもしれないよ?」
「服、脱いでもらう?」
「ここで?」
キキッ、と車は停車した。
「じゃ、降ろそう」適当は勢い良く運転席を外れた。
施設の外でタバコを吸っているイケメン医師。
「やあ。今日は臨時で?」
「ええ」と適当先輩。「家族の方が急に用事ができたって。それで」
「またか」
「またとは?」
「だから、またはまたなんだよ」
「忙しい事情でもあるんでしょう?」
「さあ・・・医療はサービスだから。提供している以上、僕らはその範囲でしてあげなければ」
じいさんは施設の中へ。いつものように、林檎たちは外で待ち続けた。
「見学とか、したかったな・・・」バカ井が残念そうに。
「でもよ。断られたんだよな」シンゴは諦め顔。
「いいじゃないか。将来のために、現場を見ることくらい」
「いろいろやらせるんだよ最近は。実習実習っていいながら。学生の分際なのに雑用やらされたりさ。だからいーんだよ。ここで夢でも語ろうぜ」
適当先輩はノートを拡げていた。
「ワンツーワンツー・・・オレな。無事進級できたら、専門課程に入るんだ。さっそく本買い込むぞ」
「先輩。医学書高いんですよね。どうします?」シンゴがからかった。
「そりゃこの前の3万と。あとバイトの給料と。今日もなんかもらえるかもしれんだろ」
「それが全部医学書に?もったいネー!」
「今までの勉強はな。全部仕事には直結しないものばかりだ。心理学など、何の役に立った?ドイツ語を誰が話す?」
「・・・・・・」
「今度からは、知識そのものが仕事だ。飯を食うための手段そのものだ」
「あー!オレも早く本当の勉強がしてぇ!」
サトミが歩いてきた。
「ねえ。なんかいつもより長くない?」
「そうだね」バカ井も時計を見た。
「昼になっても、音沙汰ないわよ」
「うーん・・・ちょっと行ってくるわ」
バカ井は受付へ。
「あの。送迎担当の学生なんですが」
「部外者は、入室禁止ですので。お約束は?」
「お約束・・・?」
向こうのほう、騒がしい声が聞こえる。
「じいちゃん!」バカ井はダッシュした。
「お客様ちょっと!」
「大丈夫かア!」
林檎たちも、次々と現れた。ダダダーッ!とリハビリ室へ。
ずささーっと横に時差でスライディング。
「(林檎)えーーーーーっ?」
リイイイイィーーーーーッ!
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