いつものように、家から出発。

「じゃ、行ってきまーす!」シンゴが手を振った。運転は適当先輩。
「ぶつぶつ・・・」適当は試験勉強での暗唱を繰り返す。
「先輩。ちゃんと前見て運転してくださいよ」シンゴが後ろから。
「ハンドル使うな。フォースを使え」
「ちょっと!」

ブーン、と車はスムーズに施設へと向かった。

バカ井は一瞬、何か気付いた。
「あれ・・・」
「何?」助手席のサトミが振り向いた。
「じいさん、頬にアザ?」
「ちょっと赤いね」
「なんとなくだけど・・・あ、ここにも」
「体中?」
「でも発疹かもしれないよ?」
「服、脱いでもらう?」
「ここで?」

キキッ、と車は停車した。
「じゃ、降ろそう」適当は勢い良く運転席を外れた。

施設の外でタバコを吸っているイケメン医師。
「やあ。今日は臨時で?」
「ええ」と適当先輩。「家族の方が急に用事ができたって。それで」
「またか」
「またとは?」
「だから、またはまたなんだよ」
「忙しい事情でもあるんでしょう?」
「さあ・・・医療はサービスだから。提供している以上、僕らはその範囲でしてあげなければ」

じいさんは施設の中へ。いつものように、林檎たちは外で待ち続けた。

「見学とか、したかったな・・・」バカ井が残念そうに。
「でもよ。断られたんだよな」シンゴは諦め顔。
「いいじゃないか。将来のために、現場を見ることくらい」
「いろいろやらせるんだよ最近は。実習実習っていいながら。学生の分際なのに雑用やらされたりさ。だからいーんだよ。ここで夢でも語ろうぜ」

適当先輩はノートを拡げていた。
「ワンツーワンツー・・・オレな。無事進級できたら、専門課程に入るんだ。さっそく本買い込むぞ」
「先輩。医学書高いんですよね。どうします?」シンゴがからかった。
「そりゃこの前の3万と。あとバイトの給料と。今日もなんかもらえるかもしれんだろ」
「それが全部医学書に?もったいネー!」
「今までの勉強はな。全部仕事には直結しないものばかりだ。心理学など、何の役に立った?ドイツ語を誰が話す?」
「・・・・・・」
「今度からは、知識そのものが仕事だ。飯を食うための手段そのものだ」
「あー!オレも早く本当の勉強がしてぇ!」

サトミが歩いてきた。
「ねえ。なんかいつもより長くない?」
「そうだね」バカ井も時計を見た。
「昼になっても、音沙汰ないわよ」
「うーん・・・ちょっと行ってくるわ」

バカ井は受付へ。
「あの。送迎担当の学生なんですが」
「部外者は、入室禁止ですので。お約束は?」
「お約束・・・?」

向こうのほう、騒がしい声が聞こえる。

「じいちゃん!」バカ井はダッシュした。
「お客様ちょっと!」
「大丈夫かア!」

林檎たちも、次々と現れた。ダダダーッ!とリハビリ室へ。
ずささーっと横に時差でスライディング。

「(林檎)えーーーーーっ?」

リイイイイィーーーーーッ!


コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索