「ヤン先生。未熟な僕が、脳梗塞の発見を見逃してしまい・・」
「ん?あーいや、これは・・・発症からずいぶんと経ってるな」
「以後の処置は問題ないのですが。脳外科のないうちの病院ではこれが精いっぱいで」
「うーん。広い梗塞だし出血の危険もか。よし。脳外科病院に転送しよう」
しゃしゃり出る、さっきの助手。
「ヤン先生!専門病院に送ったら、うちの病院のアラがばれる!家族にも分かったらそれこそ!」
「さきほど僕の言ったことを理解してないようだな。病態が複雑化しつつあり、僕らの経験を越えている。患者の利益を考えれば、よりよい施設に命を託すのは自然な流れでないかな」
「うぐぅ・・・!」
立ち去る助手。さっきの若い医師が歩み寄る。ヤン医師が口を開く。
「家族には僕が話しておく。気を落とすな。なぁに、次診る患者のための修行だと思うんだよ。修行に完成はない。なら今がそのときさ」
「自分が救急車に同乗します」
「まずは。そ、だな」
ユリアン、お茶!
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