ヤン医師4 義務と権利
2011年12月4日 連載 師長が根に持ち、仕返しをしてくる。
「ヤン先生。いつも苦情の患者さんが、先生に話を聞きたいと」
「異常がないのに、退院してくれないんだよ。保険が狙いさ」
「はぁ。ここにいらしてますが」
見るからに風体の悪い患者。
「おいヤン先生。これだけ検査をして分からないのに。だるさは変わらん」
「大学病院に紹介するか、通院で」
「バカ野郎!だるさのせいで自由が利かん俺の、この患者の権利を!」
「この前も、外泊してたじゃないですか。それも無断で」
「俺が・・仮病だとでも言うのか?あそこの助手先生はな!納得するまでここにいていいってな!」
「金でも渡したか・・いや何でもない」
「入院は延長だ!」
「わかった。ではこうしよう。1つお願いがあるんだが・・・」
「何だ?」
「あなたの所属する保険会社に面会しなくてはならない。それが条件だ」
「保険屋に?」
「ああそうだ。保険会社には、長期の入院になるその訳を説明しなくちゃいけない」
「そんな決まりが?」
「あるさ。だって主治医だからね」
「うぐ・・」
「主治医であるからにはまず本当のことを話さないとね。外泊歴や・・・」
すっと、白衣から携帯電話。
「すべての言動をね」
「なに?これまでの会話を・・・?」
「その上で、あちらが面倒見てくれるか協議しよう」
「わわ、わかった・・・!くそ!」
ヤン医師は立ち上がった。
「あなたにも患者の権利があるように、こちらにも医師としての権利がある。お互い人としての礼儀を忘れんことだ」
患者は帰っていく。師長が怒る。
「あ~らあの人。明日から働かなきゃいけないなんて。先生も厳しすぎること」
「働くこともまた、人の権利だ。人はいきなり砂漠へ放り出される。世の中そう甘くはないさ。で、そこでどう選択するかどうかが、その人間の価値でもある。そこからは、医師のテリトリーではない」
携帯をしまう。
「あいにく、録音の録音のしかたは知らんのでね」
カッコ過ぎるよ!ヤン先生!
「ヤン先生。いつも苦情の患者さんが、先生に話を聞きたいと」
「異常がないのに、退院してくれないんだよ。保険が狙いさ」
「はぁ。ここにいらしてますが」
見るからに風体の悪い患者。
「おいヤン先生。これだけ検査をして分からないのに。だるさは変わらん」
「大学病院に紹介するか、通院で」
「バカ野郎!だるさのせいで自由が利かん俺の、この患者の権利を!」
「この前も、外泊してたじゃないですか。それも無断で」
「俺が・・仮病だとでも言うのか?あそこの助手先生はな!納得するまでここにいていいってな!」
「金でも渡したか・・いや何でもない」
「入院は延長だ!」
「わかった。ではこうしよう。1つお願いがあるんだが・・・」
「何だ?」
「あなたの所属する保険会社に面会しなくてはならない。それが条件だ」
「保険屋に?」
「ああそうだ。保険会社には、長期の入院になるその訳を説明しなくちゃいけない」
「そんな決まりが?」
「あるさ。だって主治医だからね」
「うぐ・・」
「主治医であるからにはまず本当のことを話さないとね。外泊歴や・・・」
すっと、白衣から携帯電話。
「すべての言動をね」
「なに?これまでの会話を・・・?」
「その上で、あちらが面倒見てくれるか協議しよう」
「わわ、わかった・・・!くそ!」
ヤン医師は立ち上がった。
「あなたにも患者の権利があるように、こちらにも医師としての権利がある。お互い人としての礼儀を忘れんことだ」
患者は帰っていく。師長が怒る。
「あ~らあの人。明日から働かなきゃいけないなんて。先生も厳しすぎること」
「働くこともまた、人の権利だ。人はいきなり砂漠へ放り出される。世の中そう甘くはないさ。で、そこでどう選択するかどうかが、その人間の価値でもある。そこからは、医師のテリトリーではない」
携帯をしまう。
「あいにく、録音の録音のしかたは知らんのでね」
カッコ過ぎるよ!ヤン先生!
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