相互過保護

2012年1月21日 連載

 大阪の都会で勤務しているが、都会の賃貸でも高齢者は多い。実際は、青年~中年で住み始めそのまま子供が巣立って自分は高齢者のままその土地に・・・という時を経ている。持ち家の人々もそこを動くことなく、子供らは別で所帯を作る。

 歴然としたことだが、子は親とは住みたがらない。地元を離れて夫婦生活が始まったら、自分の好きなようにしたいのが本音だ。金に困った場合を除いて、高齢者との同居は正直苦痛だろう。

 このため、高齢者の方が入院するとキーパーソンはその配偶者または近隣の親戚。これもまた高齢者。説明しても、やはり理解が今一つ。いや理解できたとしても、決断に関しては全く権限を持たないケースが増えてきた。

 権限はわりと遠隔の<長男>がもつ。明らかに時代が変わってきたと思われる。以前は地元のキーパーソンは地元民が決めてきたふしがある。

 遠隔の長男はたいてい仕事が忙しいので、日曜日くらいしか来れない。無理して平日でも月1回で日帰りとか。ネットでいろいろ調べてきて、偏った考えにも影響されていることが多い。

 説明が終わっても病態はまた変化するため、また説明の余地が生じるが駆けつけて説明を聞くのは、また理解力の今一つの家族。家族からの長男への連絡も曖昧で独りよがりになっていく。医療スタッフとの解離が生じやすくなる。

 これからますますこの解離が進むと思われる。これは、両親が・・・長男なり自分なりを立てすぎてしまうために、悪く言えばお互いを過保護にしていった結果、家族の遠い精神的距離そのものを露呈してしまうことが背景にある。

 物理的距離が、そのまま精神的距離へと反映される・・・現代日本の精神病巣の1つと考える。


 





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