○ 既婚者の場合
「先生。ご結婚は・・・」
『結婚・・ですか?ああ、してます』
「おお~!」またそれかよ。
「お子さんは?」
『小さなガキが2人』
「まだお小さいので?」
『8歳と4歳』
「小学校ですね・・・やはり私立?」
『まぁ一応』
「おお~!」
「じゃあ、お子さんもお医者さんに?」と女医。
『・・・・・・』
「いきなりそんな質問かい。先生、固まってしまったやないか!」と別の男性医師。
『どうですかね。昔はねぇ。医者の子は医者目指してましたけど。今はそうでもないですよね』
「ああ・・おおお!はいはいはい!」と一同。
『好きな道、進ませてやったらいいと思うんですよね。無理に私立の高い医学部行かせて、ひねくれた人生歩ませたくないし』
「・・・・・・・」みな、なぜか気まずい。
『そちらの先生は。お子さん、大きいってたしか』と高齢医師へ。
「え。あ。わたし。の、息子は・・医学部です」
『あっ!』
「私立のえー。はい、高い学費の放蕩息子です」
『いやいや!これは!』
「あははははは!あ~・・・」
女医が僕に肘を突く。
「てっ?なんやぁ?」
「ちょっと!なんか面白いことやってよ!」
「俺にふるなっての!」
高齢医師が、淡々と語る。一部は寝かかる。
「・・・でしてね。その松の木が樹齢何年か・・ああ、これこれ」
『へぇ~100年とかですか?曲がってますね?珍しい』
新人医師、無理に気を遣い見たくもない画像を見せられる。
「町民が無理やり植えた、その価値観で育った・・実に屈折した松の木でございまする」
『あっ!す、すんません・・』
じわじわと皮肉を言う高齢医師からそらすため、女医が助け舟。
「ねぇ先生先生!その<あっ>ていうの、クセですか?」
『はい?あっ、て言う癖?いいえ。別に。偶発的なものです。気になりますか?』
「あっ」
オメーも言うてんじゃねえよ!そこ出来上がった僕が立つ。
「あっ?おっ?あ、ジン、ジン、ジンギスカン~。俺たち医局じゃ上下も関係、ねぇ、ねぇ、仁義好かん~」
「おお~ああっはははは!」
『ジンギですね?ああ、な~るほどね~!はいはいはい!』
あぁなんとかサルベージできた・・・。僕の役はこうして果たせた。
コメント