信念が作るもの

2013年6月4日 連載

 これも何度も繰り返してきた話だが・・・今では雇う側の僕らからすると、医師のやる気はそこそこ重要ではない。いや、あるにこしたことはないのだが。不思議と、血気盛んな医師ほどすぐ辞めてしまう傾向にあると思われる。

 僕が<信念>という言葉を嫌っている理由はそこにある。自分が描く話にはそれぞれの人間がそれぞれの信念を持って仕事をしている。ハイソな人ほどそれを譲らない。それが動かないもとで行動するわけだが、いざそれが揺らぎそうになると原点回帰もせず保身に走る。それが自滅を呼ぶ。

 これは現実社会でもみられることで、いくら「こういった検査を充実させたい」「こういう治療を取り入れたい」「欧米のシステムを取り入れたい」といっても、その観念といつか正面から向き合うことになる。うまく機能しない。周囲が分かってくれない。こいつらはダメだ。もうイヤだ。そんな具合になり職場を放棄してしまう。

 1人での決心だけで周囲が変えようとする考えそのものが、やがて怒涛の物量となって自分を押し潰す。信念の行きつく先はシステム化であり、そのシステムは暴れ馬のように扱いにくくなる。

 マイケル・クライトンの映画でも、あったろう。

 

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