ゆとり  ⑨

2013年6月23日 連載

 自然に待ってても、何も身に付きません。必要なのは最低限の技術と診療態度ですが、いずれも莫大な時間と無力感を要するものです。当然何度も怒られたり失敗するわけですが、その際のサポートが当分必要だという証明でもあります。

 いまの研修制度だと数年したら徒弟制度を離れるわけで、つまり<自由>に自己流を発揮することになります。技術をうまく習得できる者もいますが、しかしそういう医師は<もしものとき>の対応が全く分かりません。そういう意味では、たたき上げ的に習得したほうが将来のためにずっと有利です。

 お気づきだと思いますが、原発とかそうですが・・・利権や能力によって努力しなくていいスタッフは、いざというときの対応の訓練を受けていません。能力があったとしても、トラブルのときは動揺しますし、あるときは孤独なのです。冷蔵庫のコレッポチで料理を作る訓練が、できてなかったのです。

 つまり貧弱な能力を鍛えるほうが、何かを習得した時の感謝を身をもって知るわけです。技術がすぐ身についたのなら、むしろそれは危険で損なことだ、と思うべきでしょう。

 

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