ゆとり  ⑪

2013年6月23日 連載
 患者にいかに張り付くか、その経験の長さが医師の人間性を決めると思います。30代、40代にもなってくると個人的な事情も増えて、夕方はきちんと家に帰る傾向になってきます。すると、時間の物量を十分注げるのは20-30代のときしかないと思います。

 時間をたっぷり使うべきは、もちろん重症の入院患者さんです。重症は当然昼夜関係ありませんし、夜間にとかく急変しがちです。というか、見落とされがちです。夜間の病棟はスタッフが最小限しかいません。交代で寝ていたりもします。それでも人工呼吸器患者が多数いたりします。アラームだけで気づけるなら訴訟もあんなにないでしょう。でもこれが現状です。

 原発を見る通り、日本はいい加減な国ですが、それを支えているのが上下の較差と国民の無知・無関心さです。これが微妙なバランスを作っていて、マスコミや口コミでリーク、調節を行っています。だがここで話題が終わればただの共産党員です。

 せめて<仕方ないから>という理由から始めてあきらめるのではなく、<不安だから>と素直に考えればあるべき診療態度ができてきます。血管拡張術から病棟へ戻ってきた。しかし再狭窄するかもしれない。そういや心電図がちょっと変化あり。数時間後はどうだろう。あの呼吸不全の人はどうだろう。昼より呼吸が浅い。実は二酸化炭素が増えているのではないか・・・?

 そういった不安をまず感じれるかどうか。感じたらどう行動すべきか。技術が求められなくともできることは・・・?おのずと張り付くことになります。なので医師はちょっと臆病で、不安神経症的で、ちょっと大げさなほうがあるべき姿と考えます。



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