テストOVA②

2015年3月11日 連載
 ゆかりが初担当した患者、アルコール性肝障害・心筋症の68歳。

「ひっ・・・!」なかなか病室に入れないゆかり。
「まあまあ、さ、こちらへ来てくだされ先生」
「せっ、先生?あたし、そんな柄じゃないですっ。まともな人と、あまりつきあいないし」
「大丈夫。わしはもともじゃないよ。だったらこんな病気にならないさ」

 偏見と違って、人格者のような男性。悟りの境地のような。

「カンファレンスで、薬や検査のこと、検討してきますっ」
「わしはもう、いいんだよ。十分生きた。酒のせいで迷惑かけて」
「あ、あたしは」
「自分のせいでないのに病気になっている人に、申し訳ないよ。先生。このとおりだ。もう、退院させてほしい。げほげほ」
「まま、まだ治療中です!」
「げほ・・いいんだよ。もう誰も心配しとらん。わたしは罰を。これまでの罰を受けねばならんのだ・・」
 会えない孫の写真が立ててある。

 涙ぐんだゆかりは、拳を握りしめる。

「あ、ああ、あたしがいるじゃないですかっ!」
「なに・・」
「あたしがあなたを守るからっ!お孫さんや、仲の悪かった人たちやみんな!あたしが病気をなおして、みんなに会わせてあげるからっ!」

(前回のプレゼンにもどる)

「びょ、病気だけじゃないんですっ!なおすのは!」
「病気をまず治すのが、我らの使命だ!」准教授、怒る。
「生きる希望を大事にしてあげてはじめて、病気はなおるんですっ!」
「なんだとおい・・」
「心にも免疫はあると思いますっ!グロブリン大量投与ですっ!」

(バタン!と反省部屋のドアが閉まる。出ていく助手)

「そこで、ドタマ冷やしてろ。ブス」去っていく助手。
「医者が病気だけ治そうとするから、よけい人の心がすさんでいくんですっ!平均寿命だけのびて、不必要な人生を延命しているだけですっ!光を与えてあげないといけないんですっ!」

 医局で、准教授がみんなへ。

「あの研修医は壊れてる。アルバイト勤務のみさせろ。じじばばの健診のみのな」
「はっ!」と助手ら。
「くくく。平均寿命か。ならお前の平和主義とやらで、それを有効化してみよ」(富野的独り言)

 郵便受けの小さな穴から、差し入れ。
「ゆかり。差し入れだ。研修医一同から」
「野中くん。あたし、どうしてあんなこと・・」
「心配するな。君の患者は僕らが受け持つ」
そんなとき、ポケベル。

「いけない。行かなきゃ!」
「きんきゅう?」
「呼吸困難が来たんだ。副直の僕が診なきゃ。当直医は休んでもらわないといけないからねごほっ」
「かぜ?」
「インフルさ。みな移し合って医局員は全滅状態さうげっ。いってくる」

 数時間後。寝ていたが飛び起きる。
(人手が足りない救命室を妄想)
「みんな・・・みんな!患者さんが。かんじゃさんが危ない!」

 部屋にある古いDC。ドアに当てる。
「あっけろー!」
 ドーン!とドアが吹き飛ぶ。

 救急室では、案の定研修医らがのたうちまわりつつ、患者の処置にかかる。野中は患者のベッド横にうずくまる。
「ダメだ。インフルのせいで力が出ない・・・」

 そこへ、ゆかりが登場。
「あんぱんまーん!新しい顔だよ!いや医者だよ!なんちゃって!」

「ジャムおじ・・?がくっ」倒れるほかの研修医ら。

 無責任に、続く。



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