50代中年女性、肥満型。呼吸困難でベッドに横たわる。
「ひゃっ!すごい汗・・・」ゆかりはマンシェットを巻くが、腕が太すぎて巻けず。そのままスイッチを押してしまい。
ドン!
「きゃああっ?」
近くで優等生の野中が、ゾンビのようにふらつく。
「酸素、足りない・・ささ。酸素が」
「えっ?モニターでは88?マスクでけっこう流してんのに?よほど悪いってこと?」
目が合ったのは、家族の老人。
「は?しし、知らん知らん」
「ひゃ!ごめんなさい!既往は?」
「きおう?大丈夫かこの看護婦さん!」
「看護婦じゃありません!これでもドクターです!」
酸素増やすが、酸素濃度は増えず。超音波を引っ張り出す。画面に食い入る。
「皮下脂肪が厚すぎて、見えない。まだ下手だし」
「いたた・・そこ痛い?」
「心電図はこれ?揺れすぎで意味不明・・・レントゲンも心臓大きいとしかわかんないし。CT運びます!」
清潔そうな白衣の放射線技師が登場。
「おおっと待ちな。研修医のぶんざいで、やすやすとCTなど!じゃなに?さっきわざわざレントゲンここで撮ってやった、俺の立場は?え?」
「ここ。こわ~でもどいてっ!」
「わっ!」
ドカン、とベッドごと廊下へ飛び出す。
「ほほ、ほうしゃせんの場所へ!」
「やめろって~」引きずられる技師。
「胸を調べるんだから!百聞は一見に」
「し・・・ぎゃあ!」技師が驚く。
カンファレンス中の部屋。10人ほどが食事中。そこの入口に・・・
バーン、とベッドがぶつかる。10人ともひっくり返る。
「おお、お願いします!」
「こんな夜中に?」技師長が腰を押さえつつ立つ。
「ごめんなさい。ついハイで高速で来ちゃって。すみませんあ。クスリはやってません!」
技師長は顔をしかめた。
「ハイで高速・・?はいでこうそく。そうか!全員!スタンバイ!」
みな、一斉に近くのドアに突入していく。1人ずつ防護服、ゴーグルを着て両手挙げて戻ってきた。
「ええ?なちす?」
彼らはそのまま彼女の両側を通り抜け、ベッドごと別室へ。数10分後、画面に血管の画像が造影。技師長が操作室へ招く。
「肺動脈に塞栓!」
「えっ?すごい!」
「すごいって。君の方だよそれは!血栓溶解剤!ようそろう!」
ゆかりはバン!と撮影中の部屋へ。
「(大勢の技師・医師)おい!」
「状態が!かんじゃさんの状態がみるみるよくなってく!」
「すみませんが、撮影がまだこれから・・」と放射線科の医師。
「あ!ごめん出ます!技師さん!医師さん!あはは!どっちでもいいや!」
「なっ・・?」
廊下へ出て、知らせに走り回るゆかり。
「おーい!みんなー!」
朝日が差し込み、スローでフラッシュバック。続く。
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