教授回診。
「おや、あなたですか。頑張ってるようですな」老教授。
「はいっ!でもこれからも、もおっと頑張ります!」
さきほどの中年女性がほほ笑んでいる。
「点滴を明日にも終了します。全身精査とダイエットも」
「君。ダイエットは余計だろう」と准教授。しかし
「ふんふん。ま、大事なことですわな」と教授が庇う。
「ありがとうございます!」
准教授、舌打ち。
「この患者さんですが。心不全の悪化で尿量が減少していて」と優等生の野中。
「夜間はたしかにそうじゃが。で、どんな努力を?」
「いちおうラシックスは・・」
「いちおう!だと!」
病室の患者のベッド上をカルテが半開きのまま、スッ・・とそれは羽ばたくように飛んで行った。
「いちおうとは、なんですか!」杉下右京のようなキレっぷり。
「け、軽率でした」野中はヒートアップした顔。
「もうちょっと、必死にやりなさい!」
道理に合わぬような雰囲気がありつつも、マーチは進む。ゆかりは感情ペースを乱していた。
「こ、これが。かいしん・・・」
頬が震える。脈がとぶ。腹がしまる。吸う息が冷たい。いろんな医師とぶつかる視線。返す答えなどない。
「あ!あたしですこの患者さん!」
「ぼけっとすんなぁ!ふふふ・・・」准教授が笑む。
あわててカルテを開く。
「あ、アルコール性心筋症の患者さん。腎機能が悪く・・」
「ふうむ。DCMみたいで腎臓も悪い。たしかに治療がしにくいな・・」
「おうちでの治療を、希望されています」
准教授が助手にこそっと話す。
「在宅で?見放された老人だろ?」
「うーん。准教授。どうかね?この不安定な状態で」
「いやそのですね。そもそも1人暮らしで不安定だから入院としたのであってですね」
患者が、息苦しそうだが喋りだす。
「はぁ、はぁ。た、たしかに私には支えがなかったけども・・この研修医の先生に会って、考えが変わりました。はぁはぁ」
教授はゆかりを尋ねた。
「どんなことを君は?」
「はいっ。あたし、音信不通の家族に電話、しちゃいましたー!そしたら、話がうまくまとまっちゃって!なかなおり!」
「わたしは、病気よりも、大事なものをなおしてもらいました!」と患者。
「へへ!(両手で両目を囲み)メーイメーイ!」
教授は感動していた。
「それだけでか。ほぉ~・・・」
教授は、准教授に詰め寄った。
「医師は、患者のなんたるであるべきか、教えられた1例ですな。つまり潤滑油としての」
「えっ?そうですか?」
「わしに対してなんと?・・うりゃあ!」
「くわっ?」
ベッドの上、今度は白衣がブウン、と飛んで行った。
「うおおおっ?」
ゆかりが手で日光ごとかざした。
「たーまやー!」
そのまま外の巨大プールに、ズドーンと大きな水柱が巻き上がった。あたかも大きな花火のようだ。
准教授、地獄の黙示録のように顔の上半身出す。
「ぶぶぶ。ぼぼべべびやばべ(おぼえていやがれ)!」
(終)
最初の予定通りにはならなかった。だが進むにつれて話は進展させないといけないし、万人に向けた話でないといけない。伏線も回収しなくてはいけない。気を付けたのは、商品が売れて続編の話が出たとき、それとなく続ける最後にすることだった。女医のキャラがどうしても魔法少女なんちゃらみたいのになってしまったのが悔やまれる。
「おや、あなたですか。頑張ってるようですな」老教授。
「はいっ!でもこれからも、もおっと頑張ります!」
さきほどの中年女性がほほ笑んでいる。
「点滴を明日にも終了します。全身精査とダイエットも」
「君。ダイエットは余計だろう」と准教授。しかし
「ふんふん。ま、大事なことですわな」と教授が庇う。
「ありがとうございます!」
准教授、舌打ち。
「この患者さんですが。心不全の悪化で尿量が減少していて」と優等生の野中。
「夜間はたしかにそうじゃが。で、どんな努力を?」
「いちおうラシックスは・・」
「いちおう!だと!」
病室の患者のベッド上をカルテが半開きのまま、スッ・・とそれは羽ばたくように飛んで行った。
「いちおうとは、なんですか!」杉下右京のようなキレっぷり。
「け、軽率でした」野中はヒートアップした顔。
「もうちょっと、必死にやりなさい!」
道理に合わぬような雰囲気がありつつも、マーチは進む。ゆかりは感情ペースを乱していた。
「こ、これが。かいしん・・・」
頬が震える。脈がとぶ。腹がしまる。吸う息が冷たい。いろんな医師とぶつかる視線。返す答えなどない。
「あ!あたしですこの患者さん!」
「ぼけっとすんなぁ!ふふふ・・・」准教授が笑む。
あわててカルテを開く。
「あ、アルコール性心筋症の患者さん。腎機能が悪く・・」
「ふうむ。DCMみたいで腎臓も悪い。たしかに治療がしにくいな・・」
「おうちでの治療を、希望されています」
准教授が助手にこそっと話す。
「在宅で?見放された老人だろ?」
「うーん。准教授。どうかね?この不安定な状態で」
「いやそのですね。そもそも1人暮らしで不安定だから入院としたのであってですね」
患者が、息苦しそうだが喋りだす。
「はぁ、はぁ。た、たしかに私には支えがなかったけども・・この研修医の先生に会って、考えが変わりました。はぁはぁ」
教授はゆかりを尋ねた。
「どんなことを君は?」
「はいっ。あたし、音信不通の家族に電話、しちゃいましたー!そしたら、話がうまくまとまっちゃって!なかなおり!」
「わたしは、病気よりも、大事なものをなおしてもらいました!」と患者。
「へへ!(両手で両目を囲み)メーイメーイ!」
教授は感動していた。
「それだけでか。ほぉ~・・・」
教授は、准教授に詰め寄った。
「医師は、患者のなんたるであるべきか、教えられた1例ですな。つまり潤滑油としての」
「えっ?そうですか?」
「わしに対してなんと?・・うりゃあ!」
「くわっ?」
ベッドの上、今度は白衣がブウン、と飛んで行った。
「うおおおっ?」
ゆかりが手で日光ごとかざした。
「たーまやー!」
そのまま外の巨大プールに、ズドーンと大きな水柱が巻き上がった。あたかも大きな花火のようだ。
准教授、地獄の黙示録のように顔の上半身出す。
「ぶぶぶ。ぼぼべべびやばべ(おぼえていやがれ)!」
(終)
最初の予定通りにはならなかった。だが進むにつれて話は進展させないといけないし、万人に向けた話でないといけない。伏線も回収しなくてはいけない。気を付けたのは、商品が売れて続編の話が出たとき、それとなく続ける最後にすることだった。女医のキャラがどうしても魔法少女なんちゃらみたいのになってしまったのが悔やまれる。
コメント