ドラッグ野郎

2015年3月13日 映画
 大御所が亡くなるたび、往年の名作がリリースされたりするなんとも皮肉。だが、特にリマスターされたものは当時の興奮、いやもしかしたら今の新作を凌ぐほどの強烈な印象をもたらす。

 特にビデオもなかった当時のムービーは映画館での1本勝負だから、画面に入れ込む絵が半端でない。特にスコープで作られたものはそれだけで劇画的。

 トラック野郎などのかつての元気ムービーに散見されるのは、その<気前の良さ>。ドライブインでの大騒ぎは損得など無視した、好景気そのもの。ハイウェイの下の若者らにこそ貧困があり、彼らがチャンスを与え、運ぶ。それを具体的な現物である、トラックがもたらす。しかもブンタがポケットから鷲づかみに差し出す紙幣。現金。

 若者がそこで言葉をもよおす。
「えっ?こんなに?」
「いいんだ。とっとけ!」
「あ・・ああ。ありがとう!」
「じゃな」

 そんなところに、かつての自分が重なる。

親に対して
「えっ?こんなに?」
「ほう多いんか?じゃ・・」
「ああっ待って!いるいるいる!」
「金もらときだけ、うれしそうやの!」

5分後。自転車を走らせながら。
「っしゃ!あの台!絶対出したる!誰も座ってんなよ!」

 セロトニンやドーパミンに支配されていたかつての私は、まるで<ドラッグ野郎>。

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