1994年になって、HPは発癌遺伝子としてWHOより認定された。メカニズムとしては、HPが単に慢性胃炎を起こした過程で発癌するのではなく、別の微量の発癌物質(これ単独では発癌させない)とHPが共存してはじめて発癌する、というものとされている。つまりHPは発癌プロモーターとしての役割が主体と解釈されている。ともあれHPは今や胃癌の発生原因の大部分と認識されている。

 HPによる胃癌への主要ルートは慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃癌と表現され、この中での萎縮性胃炎の指標である血清ペプシノゲンを利用することで(HP血清抗体価とを組み合わせ)病期分類し、胃癌リスクを病期ごとに予測することができる。ただし軽度の委縮性胃炎から発癌する例も多く、またその病態を経由しないものもあり、上記の分類はあくまでハイリスク群の検出を意識したものである。

 除菌による胃癌抑制は動物実験では有用なデータがあるものの、ヒトではあまりみられていない。しかも胃癌切除後の除菌後でも胃癌の再発率は高く、結局のところ除菌後も再発有無のフォローは厳重にすべきである。

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