RAは慢性増殖性の滑膜炎により関節の軟骨・骨破壊が起こるか結果、関節変形・強直が生じる原因不明の炎症性疾患。以前は疼痛緩和が治療の主流だったのが、最近では完治までをも目指すようになってきた。こういった革新は、強力なDMARD=抗リウマチ薬(MTXなど)、生物学的製剤の登場によるものだ。ただし関節破壊の進行は発症後1~2年以内が速いことから、発病早期より積極的な治療を行うべき。

 Treat-to Target戦略=T2T戦略=目標達成に向けた治療、というのは、数値目標(良好な結果をもたらす)をまず設定し、期間ごとに治療を調整、最短で目標を達成するもの。

 従来のもの(DAS28など)に代わる新たな寛解基準としては、総合的疾患活動性指数(圧痛関節数や腫脹関節数、赤沈値などを代入した複雑な計算式によって出されるスコア)と、Bloolean法をもとに評価される試みもある。総合的疾患活動性指数ではSDAI3.3以下の場合、Bloolean法では圧痛関節数、腫脹関節数、CRP値、患者の全般的評価がすべて1以下の場合を寛解の基準とした。

 長らく使用されてきたACRのRA基準は特異度が97%あるも感度はわずか52.5%と、早期発見には問題ある基準だった。新基準は2010年に新たなアルゴリズムが作成され、1箇所以上の関節腫脹があり、RA以外の可能性が高い他疾患が除外されれば、スコア6点以上でRAと診断し、MTXを中心としたDMARD治療を開始すべきとした。スコアの内訳は腫脹・圧痛関節数、血清反応のRF、CCP抗体、炎症反応(CRP、ESR)、罹患期間にて評価する。これで特異度70%台だが感度は70%まで押し上げた。ただ、スコア偽陽性になりやすいものにMCTD、PMR、PsAがあり要注意。なお早期の検出には関節超音波も有用である。

○治療 ・・ 確かに優れた薬剤が次々に登場しているが、2次的な細菌・真菌感染症やB型ウイルスキャリアの劇症化、リンパ腫の発症など関連副作用のフォローも、また重要になる。

・MTX
 日本では最近まで使用しづらかったが、2011年より増量が可能、第一選択として使用が可能になった。EULARのガイドライン2013では第一選択であるほか、6か月以内に目標に達しなければanchorの位置に切り替えて生物学的製剤を併用するよう勧めている。

・新規抗リウマチ薬
イグラチモドはNFκBの活性を抑制し、マクロファージや滑膜細胞による炎症性サイトカインの産生・B細胞による抗体産生を抑制する。MTXとの併用が臨床試験で証明された唯一のDMARD。

・ヤヌスキナーゼ阻害薬
 トファシチニブはJAK-STAT経路を介したサイトカインシグナルを抑制する経口の分子標的薬である。効果発現が速く生物学的製剤と同等の有効性。

・生物学的製剤
7剤が承認を受けており、モノクローナル抗体製剤と融合蛋白製剤に分けられる。有効率・寛解率が高く、関節破壊抑制効果に優れる。またMTXとの併用でより効果が高まる。

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