に先日行ってきた(門真試験場)。少々違反があったため、少し講習あり(笑)。

 同僚はこの前に免停になり、数か月間車に乗れなくなった。しかしこの場合も講習を受けることで、免停期間を短期間にできるという。違反点数の蓄積は1年で帳消しになるわけだし、やはりこの国の違反への制裁は(偶発的な事故があるにしても)、やや甘いと言わざるを得ない。

 医者でもこういった点数制度ができて、更新に伴う講習などがあったとしたら・・、将来ありうる。

(講習)

白衣の教官、入る。

「あ、揃ったかな・・じゃ、みなさん今日は早めに帰られたい方もおられるようなので、はよ始めてはよ終わらしまひょか・・ではでは。後ろの人は、もっと前つめてえな!」

 ゆるい雰囲気の教室。

「ここにおられる方々は、少なくとも医療ミスとかやな、人間関係などでちょっと過去があるっちゅうわけや。そら言い分もあるとは思う。何が起こるか分からん職場やからな・・・みな数週間、仕事してないんよな。はよ復帰したいわな。医者は医者でしか、つぶしがきかんしな。ほないこか」

 黒板に、<医師⇔患者>と書く。

「はい。ここにお医者さんがおります。相手は患者さん。お医者さんは人間です。患者さんも人間です。人間と人間とのぶつかりあい。医師が提供するのは・・医療。そこでや。これには、患者さんの同意がいります。同意もないのに、勝手に医療行為してはいけまへん。わかるよな。で、医療行為ではい結果が出ました。成功つまり治癒・寛解、それと・・失敗つまり不幸な転帰。」

 カタカタ・・と書き込まれる。見入る出席者たち。

「どのような結果となろうとも、治療前の了解と治療後の説明で、たいていは納得する方向に持ってけるもんです・・・医者は神様ちゃうしな。はい、前見て。前」

 みな、前を直視。

「でも患者さん側から、訴えられた。医師を名指しで訴えた。治療のあとは納得しとったように見えたのに、あとで訴えてきた。なんでやと思います?それは・・これがなかったからです」

 <誠意>と大きく書く。

「2文字やけど、身につけてそれを伝えるのは難しいことやで。だってアンタ、これって医者になってから身に付くもんと違うもん。では今から身に着くか・・?そのために、こういう講習があるわけや。こうせいしょうが、決めた。みな医者の前になった気分で頼むわな。知識は知識は!そのままやで!わっはっは」

 一同、実技教室へ。教官がウロウロ回る。

「はい、みなさんの座ってるパソコンで、シミュレーション問題があります。各自、科を選択してやってください。○×方式です。結果は更新に関係ありません。操作で分からんとこがあったら・・はい?(早速、手を挙げた高齢医師のとこへ)」

 数人ずつ、模擬当直室へ。教官、現る。

「これから、唐突に救急患者さんが入ります。うちの教官が患者さんを演じます。それぞれの訴えに応じて対応してください。症例は、腹痛とか易しいものです。手際良さ、チームワークなどが採点されます。これは、今回の更新に大いに関係しますので!あ、それとこんな問い合わせがありましたが・・・小児は来ません!繰り返します!しょうにはきません!」

 胸をなで下ろす参加者たち。実習が何組もあちこちで終わり、身体検査・・・終了。

 ビデオ学習。厚生省、学会関連のもの。ビデオが終わり、灯りがつく。

「はい。これで、講習の大半が終わりました。ただいま、さきほどの実習や身体検査の結果をもとに、更新免許の検討が行われえてます・・・(内線電話)・・・できた?ああ、ホント。はいはい」

 ソワソワする、前列者。

「ではこれより、更新結果を封書で渡しますので、封筒を破らないまま速やかに退出してください。いいですか。その場で封筒を開けたりしないこと。えーそれと!本日はみなさん。医療行為は禁止ですたとえ合格でも!いいですか。バイトもダメ。当直も。せっかく更新した免許が、また取り直しになりますよ最初から!では、名前を呼びます・・・」

 ごくわずかの例外を除き、大半が無事更新。

 無事更新できた医師。試験場を出て、ふと立ち止まる。

「献血でも、して行くか・・・!」
 社会保険庁のボーナス返納額は、まさしくハア?である。手ぬるい。何よりも、上層部の奴らが表に出てない。そんな仕事をして、そこに居残るのが恥ずかしくないのか・・・。

 日本人の特技の1つとして、<開き直り>がある。そして<保身><不変>。医療関係の仕事について、どういうわけか、むしろそういった人間の密度が(上層部ほど)いっそう濃くなってるような気がする。どうやらこれには「命令できる」という立場が背景にあるようだ。

 命令できる→命令されない→自分は正しい→強引政策→下層部より苦情あり→自分の生存危機を感知→地底隠れ→無関心による保身の徹底・時間任せ→(何かの拍子で)苦情冷める→生存危機なしを感知→再び地表へ→開き直って再び命令<以下繰り返し>

 
 これでは<ハゲタカ>に目を付けられても、仕方がない。人の痛みが分からない人間は、買い叩かれるがよい。

 ところでこのページの立花隆のコラムの数々を、読んでみて欲しい。いろいろ学べることがある。
 http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/

喫煙について

2007年7月5日 読書
 自分は吸わない。理由は、吸ってる人間の表情、その変わりようをよく知ってるからだ。これには正直、うんざり。

 職場でいったん休憩のとき。やや落ち着きのなかったと思われた人間が、どこか間の抜けた表情で戻ってくる。その落差で、喫煙したことはすぐわかる。

 問題なのは、そのいつもの休憩が思うように取れなかったときの、彼らの不満げな険しい表情。自由な休憩が取れない医療の現場では見かける機会が多い。患者側の観察だけでなく、スタッフの観察も何かと勉強になる。

 既にストレスを感じてる人間の医療行為は見てられない。いくら手技が上手いと豪語してる人間でも、思うようにいかない例外は、目の前で必ず起きる。冷静な対応のためにも、なるべく<補正可能な平常心>でありたい。

 絶えず五感を駆使したテンション(緊張感)が求められる職場だけに、喫煙でそれを鈍らすなど・・・もってのほかだ。

 
 先日、BSハイビジョンで初めて録画鑑賞。経済に疎い私でもそのインパクトは十分伝わった。

 医者も年長になると責任者役をいろいろやらされることが多くなり、その一方で組織の構造、経済的な仕組みを十分理解しておく必要がある。

 医療界でも外資の進出はすでに起こっているそうで、赤字で経営困難なあちこちの病院がターゲットにされていると聞く。

 外資でなくとも病院による病院乗っ取りの場合、生まれ変わるための改革がいろいろなされていく。まずは経営者、各部署の責任者の首切り。新規給与体系の提示。

 「ハゲタカ」は第一話しかまだ見てないが、外資なら以下のような交渉が行われるものと思われる。医療版。

「あなたは院長として年に、一千万もらってました。これを今後、五百に下げさせていただきます」
「なに!」
「入院患者数をある程度維持できない場合、さらに減額。慢性期患者を退院させ、急性期はとことん検査させる。売店のおばちゃんもクビ。診療科はこれまでの内科だけでなく複数の診療科にわたって・・・?問題でも?」
「うぬぬ・・・!」
「返事がありませんので、もういいです。院長先生は朝から夕方まで外来のみの割り切り診療。病棟は持ちません。比較的、気楽な診療といえます。しかも給料は据え置き。どうでしょうか」
「ま、まて!しかし楽そうだから、それ頼む!」
「(怪しい外人側近)ハンコクダサイ。タイムイズマネーデスノデ」

(調印)

再び説明する外資。

「平常診療は以上。それと書類の裏にあるように夜間専門外来のコール制にも協力していただきます。いかなる理由があろうと、コールがあった場合15分で病院にかけつけること。間に合わなければ1分あたり1万円の天引きとさせていただきます」
「ひいいしまった!お、お前は、はは・・ハゲタカだ!」
「ハゲタか?・・・ええ。もうすでに、禿げてます(カツラ脱)」
「す、すべて金か!患者を救うのが、わしらの仕事なのに!」

窓を見て、そっと振り返る外資。

「あなたの経営では患者さんは助かるでしょう、でも病院は死ぬ。私たちは違う。病院を患者さんごと救う。そういう違いです」

こんな世界が、医療にもやってくる!
 経営者の考えは革新的であったとは思うが、組織があまりに巨大になりすぎた。

 介護の仕事人たちは予期できるわけもないが、今の経営者というのは組織が巨大になると何故か<心が引退>してしまって、あとは金サイクルを転がすことに専念する。

 つまり他人任せで(つまり自身の手は汚さない)ブラックなシステムを構築してしまえば、黙ってても金が流れてくる仕組み。

 その強引な手段はまずかった。事務上の<テクニック>もある程度必要なときもあるのだが、いったん要領を得てしまえば、その欲のスケールは犯罪級にまで膨らむばかりである。

 さて、非難はこれくらいにして、この会社の黄金律である<グッドウィル・グループ十訓>を見直してみよう。

一、お客様の立場にたて、究極の満足を与えよ
一、夢と志を持ち、常にチャレンジせよ
一、困難の先に栄光がある、逆境を乗り越えよ
一、物事の本質を見抜け、雑音に動じるな
一、原因があるから結果がある、公正に判断せよ
一、積極果敢に攻めよ、守りは負けの始まりなり
一、スピードは力なり、変化をチャンスと思え
一、自信を持て、謙虚さと思いやりを持て
一、笑顔と共に明るくあれ
一、正しくないことをするな、常に正しい方を選べ

なかなかいいことを言う。

自分は医学的に生かすため、次のように解釈した。

一、患者様・家族の立場にたて、あくまで完全寛解につとめよ!
一、夢と志を持ち、常に新しいテーマにチャレンジせよ(院生?)
一、困難の先に栄光がある、逆境を乗り越えよ(つまりあきらめるな!)
一、物事の本質を見抜け、雑音に動じるな(保険適応やガイドライン、偏見などに捉われない!)
一、原因があるから病気がある、公正に鑑別・除外診断せよ(不明熱などのとき特に)※ 原因がない病気もありますが
一、積極果敢に病気を攻めよ、守りは負けの始まりなり(やたら経過観察するな!)
一、スピードは力なり、変化をチャンスと思え(逆境こそ真価が試される!)
一、自信を持て、謙虚さと思いやりを持て(患者の前でおじけずくな!)
一、笑顔と共に明るくあれ(包容力ある主治医であれ!)
一、正しくないことをするな、常に正しい方を選べ(客観性から外れずオープンにいけ!)

「分かったら、全員整列!」

(一同)サー!イエッサー!

<マラソン>

「ホーチミイーズザサノバビーチ!」
「(一同)ホーチミイーズザサノバビーチ!」
「おれによし!」
「(一同)おれによし!」
「おまえによし!」
「(一同)おまえによし!」

前列を横目でなぞる軍曹。

「デブ!お前は今や奇跡的に生まれ変わった!」
「サー!イエッサー!」

 そういや今日、キューブリックの映画(2001年宇宙の旅)あったな・・・。
 縁起の悪い話で申し訳ないが、これからは<最後は自宅で迎える>ために向けての医療が進められてくる。リベラルな思想から、というものではない。もちろん背景には、(長期)入院したくてもできない状況が、今後やってくることが理由にある。

 療養病棟が廃止されて一般病棟になるので(2011年)、急性期発症であくまでも短期間の入院以外の採算は、もう取れなくなる。すると現在のように療養病棟で多数の長期管理している(されている?)患者は、ともすると行き場を失う。

 国はこの現実を見据え、早速往診診療の点数を上げてきた。特に診療報酬減でブーイングだった開業医は、いかにして外来→往診診療にメインをシフトすべきか、選択を迫られている(国は分かってやってます)。これから開業する医者は、これを念頭に置くこと。

 だからといって良いアドバイスができるわけではないが、マスコミと同じタイミングで情報を仕入れるよりはマシだろう(辛口)。

※ 病院によっては往診に、ポータブルの心電図・レントゲン・超音波など持ち込み可能なところもある。

自治体崩壊

2006年12月6日 読書
 http://iseki77.blog65.fc2.com/

 最近、このブログを時々読んでいる。

 こういう仕事をしてきて、自分の勤務する病院が<潰れるかもしれない>とか聞いたことはあっても、まさか<自治体>そのものが倒産するなんて考えたこともなかった。これは医療スタッフの力ではどうにもならない。

 一部の自治体は役人減らしを進めているが、医療の側にそのツケが回ってこないか心配だ。いや、確実に回ってくるだろう。

 先人の残したツケ=バブル三昧は宙に舞い、今度は雨となって降り注ぐ。降ってきてから傘をさすのでは遅いのだ。

 今できることは、なるべく1人でも多くの人(の病気)を早期発見して、早い段階で治療して、少しでも<入院いらず>にしていくことだ。

 それにしても。アホ医者のせいで病院送りになっている人の、なんと多いことか。これを暴くのが「サーガ」の使命である。

 そうなると、医者側にもある程度の改革が必要になるだろう。

 正直、厳しい。

※ 書き方、ちょっと影響されてます!

 

 
 やがて時代は9.11の頃に突入し、安全神話が崩れていく。予想もしない、巨大な敵。自分を正義と思っている悪。涙なき経営者。平然と踏みにじられていく人権。届かぬ声。ウソの報道。民衆の画一化。

 これら真実の見抜き方を学ぶには、一握りの本に出会うしかない。

 「サーガ」も一役、買わせていただきます・・・!

 
 

 新地に久しぶりに医者仲間と出かけ、いろいろ聞いてきた。最近の傾向としては・・

○ ローテを終えて大学の呪縛から離れる医者は、都会派志向が圧倒的に多い。都会がいいからという理由もあろうが、実は彼らの故郷の大部分が実際都会であること(教育が充実→医学部受験)。

○ 2011年の療養病棟廃止に向けて、あちこちの病院が縮小に追い込まれている。ナースの転職は特に注意すべし。

○ 製薬会社は今後も合併を続け、最終的には2-3社になると言われている。

○ 一般内科の給与が徐々に下がってきている。

○ 大阪の開業医は3つに1つが失敗している。

○ 開業は駅前でなく団地の真っ只中がよい。

○ 結局のところ認定医・専門医・博士号の取得の効果発揮は、今の日本ではほとんど生かせない。

○ ゴミ収集車が<大阪市>など公的なものでない場合は、分別がズサンなため断られた証拠(病院の評価の1つ)。

○ SASでCPAPを導入して、長期継続している患者はごくまれ。余計眠れなくなるからだという。今後の課題。

○ 30代でマイホームを建て始めることが多いが、その場合三井ホーム>へーベルハウスが多い。震災での丈夫さを重視。

○ <警察病院>はヤー公組長らにとってむしろ治安の良い病院(隠れてるのがバれても襲われる心配↓)。

○ <クラッシャー>というあだ名の医者が存在する。人間関係などを引っ掻き回して病院構造を破壊するのだという(意図的なのかどうかは不明)。

○ 病院事務長は中年以上スタッフの履歴書を見る際、これまで<どこに勤めていたか>よりも<何年周期で転々としているか>に注意を置くという(次を予測)。

○ 病院受付嬢の面接は<顔>重視。《病院の顔だから》との事務長コメント。事実。

○ 「ガラの悪い患者を多く抱える病院は、それだけ弱み(借金とか)を持たれている病院である。つまり経営が不安定」。絶対的とは言えないが、名言。

○ 救急隊の<質>には地域差がある。ここでは書けないが、嘘つきと言われても仕方がない部署もある(たとえば<めまい>と称してアル中を運んできたり)。

○ 日本橋で出回っている<パイレーツオブカリビアン2>海賊盤DVDは画面前に<人影>が多数映っていて鑑賞に堪えられない。

○ 「透析のバイト」が一番楽(という意見は実際多い)。管理が技師任せになっているから。

○ あの「舞鶴市民病院」が近く<復活>するとの噂。ただし以前のイケイケ病院とは異なるようだ。療養病棟で開始するが、療養病棟自体が2011年にタイムリミットを迎える。一般病棟で生き残るとすれば市民への負担は相当なものになる。

○ 失礼なMRへの苦情は、支店長への報告ではそこ止まりで、ウチワでのもみ消しが多い。上の人間のに解決望むなら取締役まで報告する必要あり(何もそこまでせんでも・・)。

○ 子供がいて学校に入れるとして、勉強させるなら今の公立は<絶望的>。やはり私立が理想(今では中1の時点で、既にかなりの差がついているのが現実)。

○ 大阪の景気は間違いなく悪化している。世論が言ってる持ち直し論は、単なる数字の操作のせい。診察料への苦情なども以前より多くなってきた。

○ 開業医などの経営者の立場になると、みな月30-40万限度で以下を<経費>名目で落とすことができる→ガソリン、高速代、タクシー代、本、コンビニ代、贈答品、飲み会など。そのため領収書を丹念に集めている。

○ 東北ではフィリピン系出身などの外人医療関係者が、多数流入し従事している。

 思い出したら適宜追加します。
 
 かつて、実際に病院前のスーパーで、食事指導が行われたことがあった。院内の<栄養指導>が説教部屋のような閉鎖された雰囲気を持っているという意見が始まりだった。特に独身男性の場合、教育の内容と実際の買い物のギャップに悩むという意見が多かった。しかも食生活なんていきなり変えることなど不可能だ。

 そこで栄養士が事務員とともに、1群を率いてスーパー、コンビニ内をゲリラ的に回った。まず患者がいつも何を買ってるかを観察。そのうち「これとこれを減らしましょう」と栄養士が品物を戻す。患者も納得していった。店員には白い目で見られたこともあった。

 この栄養指導は長期間続いたが、病院事務側から「職員の労力の割にコスト(利益)上がらず」という理由で一時的なものに終わってしまった。

 <栄養指導は楽しい 実践する価値がある>

 後ろの句には賛成だ。

 

 
 
 ところどころにある<医師会>。その存在意義が揺らいでいる。確かに病院はこれに加入することでヨコの表向きな関係はつながるが、目に見えるメリットはあまりなく、むしろ「入らんヤツは村八分」的な雰囲気が強い。

 加入して実際フタを開けると・・・

○ 囲碁・ゴルフコンペなどのイベント←ほとんどジイの集まり
○ 予防接種・検診の依頼←通常業務を中断されてまう
○ 医療情報の公布←MRで十分

 あまりメリットは感じられない。

 散髪屋でもこういう集まりがあるという。やはりジイさんらの支配する世界で退屈だという。

 こういう組織を牛耳る高齢医師が退かない限り、この悪しき伝統は終わらないだろう。なんせここの職員の給料は、毎年支払われる会費によって賄われているのだから。生活水準はいまさら下げれないってことか。

 ここを通じてやってくる悪の刺客?とサンダル先生らは戦う。


 「医局に言いつけてやる!」

 というエピソードもシャレではない。バイト先病院での冷遇(常勤ドクター達からの不和、当直室内部・食事・風呂などの設備不十分、事務当直からの一方的な患者押し付けなど)があれば、発覚次第で大学医局にチクられてしまうケースも多い。

関連病院の頭の痛いところの1つである。 』

 実際、大学病院の関連病院の院長らと会話すると、よくこういう悩みを聞かされる。大学の権力は今でも強い。

 こういう<チクリ>は、小学生のときは確かによくあった。
「○○くんが悪いと思います!」
などと、いいカッコした子供が先生に言いつける図。

 中学以降そういう世界はなくなり各人勉強して仕事についていくが、社会に出るとなんとなく原始的で幼稚な習慣・雰囲気に出くわすことがある。

 医者の世界でもそういう幼稚な慣習があるわけだが、とかく周囲から一目置かれることが多いため、プライドの敷居が自然と高く出る傾向にある。

 よく考えると、美人にも同様の傾向がみられる。しかし医者で美人なら・・・こりゃあもっと大変だ!

 それはともかく、自分の実力などを知ることなく過大評価する人間が増えてしまい、不満があるとすぐに将軍様(大学教授)のお膝元でチクリまくる医者まで出てくる。今の日本流に評価すると・・・

 まことに、「イカン!」である。

 医者の人に限らず、今一度考え直してみよう。自分を買いかぶりすぎてないか?・・・で、今考え直してくれた人は、いい意味でニュータイプ医者である。センター試験当日のテレビ回答解説者流に言えば・・

「えー、まだ、大丈夫です」。

『「ニュータイプ医者」とはな・・・威張ったり人を傷つけたりせん医者のことだ』

 私は、そう信じたい。
 

 日本内科学会、今年は横浜で4/14〜/16までの3日間。日本の頭脳が結集する金土日。受付のコンパニオンが圧倒的。会場は近未来的で、見渡す限りスーツの軍団。会場の前で囲まれれば<リローデッド>そのままだ。

 詳細によれば・・

<1日目>

? シンポジウム:メタボリックシンドロームの臨床 ・・ しょっぱなから真打ち登場!しかし2時間もある。耐えられるか。終わった時点で11時。もう腹減った?

? 教育講演(20分):リポ蛋白糸球体症の病態 ・・ ?なんだこの病名は?知らん。せっかく来たのだから、聴く!グウ(SAS?)。

? 教育講演(20分):エイズ診療の進歩と今日的課題 ・・ エイズに関する講演はなかなかお目にかかれないので貴重だ。

? 教育講演(20分):再生不良性貧血の病態と治療 ・・ 昼も近くなり血液の分野となると、このあたりでゾロゾロうろつく輩が出てくる。『おぅ!』『久しぶり!』『昼行くか?』これこれ前のオッサン。うるさくて聞こえん。

? 一般演題プレナリーセッション(1時間)

? 通常総会(1時間):内科学会の収支や会員の加入状況などを報告。勤務医や開業医には全く興味が無い話が続く。大半の連中はメシに出かける。会場近くのサンドイッチはあまりにも寂しい。

2時より再び講演開始!

? 招請講演(40分):幹細胞による肝再生とその臨床応用 ・・ 難解そうだな。昼食後の眠りの誘惑に負けるな。

? 会頭講演(40分)

? 招請講演(20分):動脈硬化のハイリスク病態とその分子基盤 ・・ これもマニアックそうだなあ。メモにサイトカインの流れ一生懸命写しても、後で見たら『なんじゃこりゃあ?』。夜、漫画喫茶などを利用して再整理しよう。

4時。会場端のスクリーンに<○○先生。そろそろ出番です>とか<寝たら単位引きます>とか出たら面白いのだが。

? 教育講演(20分):臨床におけるKL-6の使い方 ・・ リウマチ内科・膠原病内科の先生もよく聞いておいて。開業医も。

? 教育講演(20分):家族性アミロイド−シスの肝移植治療 ・・ 予習してないとついていけそうにない。

? 教育講演(20分):炎症と酸化ストレス ・・ オマケ的な内容か?というかこの時点で燃え尽きてしまって『参加ストレス』な人もいるのでは?『終了5時って建前だがもう6時近いぜガッ!デメ!(よくあるよくある)』

 → 大衆的に使えそうな話題はあまりなく、昼で引き上げる人間も多いのではないか?しかも金曜日やし。

 さて。1日目は終わり各自それぞれ合流し、とりあえず<みなとみらい駅>へ戻る。『遊覧船で逃げる手もあるぜ!あばよ、ラオ・チェー!』

 ホテルへと向かうレジデント。
「平日、休ませてもらってなんだか悪いな。今日はホテルでディナーといくか!」

 フロントへ。
「キー、お願いします」
「かしこまりました。お客様。職場より伝言が。<スグカエレ>」
「キー!(ショッカー?)」

<2日目>

 土曜日でもあり、客足が増える。

? シンポジウム?:レニン・アンジオテンシン系の病態と治療(2時間) ・・ 医療費抑制の立場からすると、高価なRAA系抑制薬をはたして推奨するのかどうか・・・?

? 招請講演:肺高血圧症の分子病態解明と治療の最前線(40分) ・・ <治療の最前線>か。これはぜひ聞きたい!

? 教育講演:NASHの診断と治療(20分) ・・ 昼飯前に暴飲暴食への警告とはな。

? 一般演題プレナリーセッション(1時間) ・・ さ、昼メシ。ステーキステーキ!ナッシュになってもいいのかって?そうさ。オレはナッシャー(そんな言葉は無い)だ!

 リフレッシュし、昼1時より講演再開。このあたりから講演会場でなく≪テレビ会場(?)≫でアットホームに鑑賞する人間が増えてくる。

? 教育講演:MCTDの病態と治療−最近の進歩(20分) ・・ <最近の進歩>より<治療の最前線>のほうがキマッてるなあ。

? 教育講演:最近のインスリン治療(20分) 

? 教育講演:ボツリヌス毒素治療の今後の展望(20分) ・・ 顔面神経麻痺の話か?

? 特別企画 ・・ なんだこれは?

? 教育講演:糖尿病性腎症の病態と治療(20分)

? 教育講演:過敏性肺炎−急性と慢性の対比(20分)

? 教育講演:不整脈の非薬物療法の現状と展望(20分) ・・ しがない民間病院の僕は、ただ指をくわえて聴くだけ。不整脈CD-ROMは今年も売店にあるよ!多分。

? 教育講演:多発性骨髄腫の診断と治療−最近の進歩−(20分)・・ これもぜひ聞きたいなあ。となると最後まで出席か。

 これで4時。

? パネルディスカッション:医療の安全を考える(2時間) ・・ 体力的に限界だ。ハードディスクに保存して後日鑑賞したいところ。

6時。終了。

とぼとぼと帰途につく。
「僕の自由も、今日までか・・明日はホテルをチェキラウトして重い荷物背負って行かなきゃ。午後には新幹線乗り場だ・・・」

ホテルのフロント。

「お客様。病棟詰所より。<アスハイツカエッテクルノカ。チナミニ、テンキハカイセイ>」
「アイルビーバック!」

<3日目>

 日曜日。かなりの混雑が予測される。

? シンポジウム:炎症性免疫疾患の治療(2時間):面白そうだ。

? 招請講演:言語の脳機能(40分):実践的なリハビリの話を聞きたい。

? 教育講演:高脂血症診療のすすめ方(20分):頼むからLDL-Cの目標値を統一してくれ。

昼12時。たぶんここあたりで客がドッと減るのではないか?

? 特別企画。1時間20分。何だ?

? 教育講演:GISTの成因と治療(20分)

? 教育講演:病院感染症の制御とその経済効果(20分) ・・ それよりも、この学会の経済効果が甚大だ!

? 教育講演:CTによる冠動脈疾患の診断(20分)

? 招請講演:感染症治療の新たなる展開(40分)・・ ぜひ聞きたいが、帰りの便と明日の仕事への影響を考えると・・・。

? 内科専門医によるCPC(90分):西日本の医者には時間的に苦しい。

 4時半終了。新幹線に乗る。

「やれやれ。終わった終わった。今回は胃腸関係、癌関係がおとなしかった気もするが。ちょっと寝るとするか・・」

 新大阪に到着。

「しまった!キー!詰所へのおみやげ忘れた!カスタード!いや、バスタード!」

 しばし考える。

「フ。ま、あやつらにはミンミン餃子で十分だ。すまんが4箱くれ!」
「お客様。詰所より伝言。<カエリニツメショ、オミヤゲサゲツツ、タチヨレ>」
「ほお。はやく土産をくれってか?」

夜空を見上げ、タクシーに片足突っ込む。

「よっしゃ。なら聞かしたるわ!みやげ話をとことん!すまんが病院へ」
「お客さん。病気でっか」
「ああ。ブルーマンデーかな。あれ?参加証は?さんかしょうさんかしょう!」
「残念賞ですかいな」
「キー!それは参加賞だろうが!」

 学会が終わって参加証つけたままになるのがイヤで、内ポケットにしまったつもりが・・。

「キー!これがないと、病院から金が出んのだ!マオ!」

 紛失に気をつけよう。
 ホリエモンによる経営第一コスト主義、日本のセキュリティのズサンさ(赤ちゃん泥棒事件)、格差社会、闇社会・・・。これらは僕にとってはすでに『どこかで見た』世界だ。

 これまでサーガが描いた病院のコスト主義、草波氏など独裁経営者の台頭、病院内の格差社会、病院買収、いとも簡単に出入りされ、情報まで盗まれていた病院。株屋みたいなドクターバンク・MRなどの胡散臭い業者。これらはすべて、現在の日本の姿をそのまま予見していたかのようだ。

 ということは、僕らは今の日本の<縮図>をすでに生きてきたことになる。

 みなさんは「ネガティブな内容ばっかりだなあ」と思うことなく、うまいことポジティブに生かしてほしい。臨機応変に。あとはオーベンに聞いといて。
 
 昨年準備していて、企画倒れになりつつあった原稿を再編集しました。今後、これを小出しにしていく形で公開します。

 ヒマな外来での話なので、小耳にはさむ程度でお願いします。日頃の話題などに少しでもプラスになるのなら幸いです。

 大筋では、午前中はヒマな一般外来、午後は平和な療養病棟の回診を軸としています。週1回のバイト先病院での勤務もあります。ここには僕に多大な影響を与えた「ヨーダ的」人物がいます。

 途中である<臆病>キャラが出てきますが、タイトルはそれに関連しています。
 
 ペーパー・面接テクでないとまず始まらない就職試験は仕方ないとして。就職するとベトナムさながらの第一線へ送られる。この「第一線」というのは高度なという意味ではなく、自分の能力をはるかに超えた、の意。
 これと戦うためには、能力以前のものを日ごろから養っておく必要がある。

? 読書 ・・ 新聞でもいい。活字を多く読み、ちゃんと理解したか。さらにそれを人に説明できるかどうか。

? 多趣味のふり ・・ 趣味として持たずとも、かじるくらいは一折り知っておこう。スポーツ、パソコンなど。「自分は興味がなくて・・」という人間は敬遠される。

? 土地に強くなる・地図が書ける ・・ これに詳しいと、脳内が立体化して会話がスムーズになる。

? 早起き ・・ 社会人では通例、原則。めざましテレビ以前のニュースで情報を吸収し、先手に出るのだ!

? 体力 ・・ 鍛えるほどつくものとはいえない。どちらかというと精神力のほうが重要。山を登ったり徒歩で長距離を歩くなど、自分の限界と戦う機会を多くもつこと。ただし断食は勧められない。

? 歌にも詳しく ・・ つきあいはもちろん、会社専用カーでの営業回りの楽しみのため。

? 恋愛 ・・ 純粋な恋愛は、社会人ではなかなか難しい!
 
 製薬会社の友人から聞いたが、製薬会社どうしの合併はギリギリまで社員に知らされないそうだ。新聞・テレビでの発表と同じくらいの時期に、各自メールで知らされるそう。それだけ極秘に水面下で進められてる話なのだ。
 「明日は我が身」と肩を落とす友人。合併した場合は担当の人間が余るので、より業績を上げている者が残るといわれている。

 だが僕ら「1本釣り」の人間も厳しい。どれだけ厳しいかは・・年末まで待ってて。MRの方々は参考にするといい。

脱線? 職員検診

2004年12月3日 読書
 職員検診の判定を任され、一通り目を通してみた。

君ら、患者のことあれこれ言ってる場合じゃないぞ・・。

じゃあランキングしてみましょう。昔の「全国歌謡ベストテン」ふうに。

動く!動く!検診異常値ベスト3!

※ 検診内容は血液検査、尿検査、胸部レントゲン、心電図など。

はい。まず第3位は?

? 尿検査異常。内訳は蛋白、糖など。尿潜血強陽性も。
 ただし尿潜血は女性の場合・・・ですので。

はいどうも。それでは第2位!

? 肝機能異常。血液検査ですね。γ(ガンマ)-GTPの高値が目立ちました。酒か食べ過ぎによるものでしょう。

それではお待たせしました。第1位!
    
? 高脂血症(コレステロールや中性脂肪)
 20代後半でも高い人がけっこう多い!高齢でコレステロールだけ高い人はまあ代謝の低下の面があるので仕方ないとして。

 やっぱり酒、飲みすぎだと思うよ。

 それでは伊○ツヨシさんより寸評をいただきましょう。

「えー、第3位。尿検査での糖・蛋白ですね。忙しくてバタバタ走るような職場ですから、それだと激しい運動後ということで蛋白が出た可能性はありますね。糖は血糖も合わせてみないとどうとも言えません」
「そうですか、すると尿・・」
「第2位の肝機能ですが、おそらく脂肪肝なんでしょうね、大半が。でもHBs抗原陽性やHCV抗体陽性例ではもっと詳しく調べる必要ありですね」
「なるほど、すると肝・・」
「第1位は半数以上の方が高値をとっている。職員全員がそれを知ってるのに、治そうとしない。結局酒が好きなんですね。でも患者には言う。その矛盾は知ってのことです。こういう職員の方々は今後もジレンマに悩まされるのでしょう。以上です」
「はい、どうもー」
 先日うちの病院の薬局から、「抗生剤注射の皮内テストはもうしなくていいそうです」と知らされました。これまでは投与の前の皮内テストはルーチンで、判定に15分ほど要してました。ところが薬事・食品衛生審議会専門委員が「実施する意義が乏しい」と結論。さらに財団法人日本抗生物質学術協議会(長い名前だなあ・・)からも、「今後継続する意義はない」とする要望書が出されたということです。何でしかし今さら・・。
 
 皮内テストは薬物によるアナフィラキシーショックなどの<アレルギー対策>としてこれまでされてきました。というかそう思ってたんですが。ところが実際皮内テストがそれを予知するという確証がないのだそうです。これが理由?え?そうやったんか?確証がなかった?お前らなあ!役人!

ニュースの続き。

 これらを踏まえ、薬事・食品衛生審議会専門委員は、添付文書の「使用上の注意」を改訂。以下のように改めた。
(1)事前に既往歴などについて十分な問診を行うこと。なお、抗生物質などによるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)投与に際しては、必ずショックなどに対する救急処置をとれる準備をしておくこと。
(3)投与開始から投与終了まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

 なんだ?結局「万一の事態が生じた場合は、当局は感知しない」ってことか?もし4項目目があるとすれば

(4)なおこのテープは自動的に消滅する。

といったところか。

 「確証がなければ・・テスト自体、意味ない!」

 ガシャーーーン! ← 『MI−2』
 ・・だそうです。花粉症のある人(春になると鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみ)は前もって1月くらいから病院の内服を始めることをオススメします。実は自分も花粉症で、ジルテックを眠前に(眠気が強いので)使用。眠気を避けるならアレグラ2錠を朝・夕方で内服がいいでしょう。

 強力なステロイド剤を外来で筋注している開業医もいますが、副腎への作用を考えると自分はすべきでないと思います、と思うのは私だけであろうか。

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