(手前へ歩行)私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンじゃございません。私の取り扱う品物はこころ!人間の心でございます。ホーホッホッ…
音楽と嘲笑?テレレーッ!テッ!テレーーーーーッ!
(高層ビル群)この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかりそんな皆さんの心のスキマをお埋め致しますいいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。さて、今日のお客様は…
キン!33歳男性医師。勤務医。
(タイトル)お~っほっほっほ・・・ <朱に交われば>
33歳の男性勤務医は、今日もパチンコで負けた帰り道。
「くっそ~!病院の給料、上げてもらわなきゃな!」
次の日、院長室。
「十分な報酬は払ってるだろ君?」眉間にしわ寄せる院長。
「院長。自分はここで働いてもう30年。がむしゃらにやってきたのに昇給もない。なんでも退職金もないって話じゃないですか!」
事務員らがヒソヒソ話。
「あんなお金に固執しなかったのに。見損なったわ・・・」
勤務医の自宅。畳の上にラーメンの殻など残骸。
「くそーっ!なんとか楽して儲かる病院はねぇのかよ!」と、ドアがコンコン。
出るとそこにせぇるすまん。
「わたくし、こういうものでして」
「・・・セールスマン?」
「おおっほっほ。勤務医なのに、私生活は荒れ気味ですなぁ。生活が困窮しているのも仕方がない。ギャンブルに興じるあまり、身内にも見限られ・・」
「どっどっ。どうしてそんなことまで?」
「おおっほっほ」
(魔の巣。のび太みたいなバーテン)
「開業したくてもね。資金が必要でしょう?ローンも信用で組めないし」
「それはお任せくださひぃ。わたくしが開業先を用意してあげましょう」
「だからといって、セールスには騙されませんよ?」
「おおっほっほ。心配いりません。お金は一銭もいただきません。費用はタダ!」
「ええっ?本当に?でもそんな勇気は」
指差される。
「あなたは楽な生活を願ったそれをわたくしが手助けするのですもうこれまでのむなしい生活とはオサラバですあなたは明日から開業する一国の主なのです!」
だああああああーーーーーーーーっ!
ぎゃあああああーーーーーーーーー!
(次の日)
「そんな君!」院長が血相を変える。
「本日付けで辞めます」
「残した患者たちはどうする?」
バタン、と出ていく。
駅の近くのビル。
「このビル丸ごとなんて。信用していいのかなぁ・・・」
1Fに入ったとたん。
「(美女軍団)おめでとーございまーす!」
「ええっ?」
受付、ナース、リハビリいずれも若い美女たち。
「先生ン。お茶入りましたわよンン」「はは、はいっ!」
「先生ン。ここ診てくださるン?」「かかっ!患者さんまで!」
「先生ン。こっちで遊びましょうン?」「うわわっ!」
取り合いになる。
「うははっ!うははっ!はぁ~!」酒びたりになり、やがて視野がぼやけてくる。指で何か紙を押さえたような。
(次の日)
気がつくと、部屋はもぬけの殻。
「あれ?みんな・・・どこ行ったんだ?」
コンコン、とやってきた不動産屋。
「ちょっと!」
「あんだよ?ここは俺の病院だぞ!」
書類を渡される。
「あんたのオーナーが、今日でここを売り払うってよ。なので出てってもらおうか。昨日あんたんとこに持っていった3千万も返してよ!」
「しっ?しし、知らない!」
「あんたが昨日押したハンコだよ。増築のための。計画はパーになったから貸した金は返してもらう。さ、払え!」
「で、でもそんな金・・・」
「返せんなら、あれだぞ!」
ボオオー!と近くの海にやってくるマグロ漁船。
医師の脳裏に浮かぶ、美女軍団の札束室内ばらまき。
「きゃああっはっははは!」
朱肉のついた人差し指で腕を伸ばし、スカートを覗く医師。
「うへぇえええ・・・」
(回想終わり)
「ぎゃああああああああ!」
ビルの下、せぇるすまん。
「これからは医師という飾りも外され、1人の男としての真の価値が試されることでしょう。マグロ1匹1匹釣り上げることによって、1本釣りされたい医師の気持ちも分かることでしょうおお~っほっほ!」
(後姿)
計画倒産、の1症例です。
音楽と嘲笑?テレレーッ!テッ!テレーーーーーッ!
(高層ビル群)この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかりそんな皆さんの心のスキマをお埋め致しますいいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。さて、今日のお客様は…
キン!33歳男性医師。勤務医。
(タイトル)お~っほっほっほ・・・ <朱に交われば>
33歳の男性勤務医は、今日もパチンコで負けた帰り道。
「くっそ~!病院の給料、上げてもらわなきゃな!」
次の日、院長室。
「十分な報酬は払ってるだろ君?」眉間にしわ寄せる院長。
「院長。自分はここで働いてもう30年。がむしゃらにやってきたのに昇給もない。なんでも退職金もないって話じゃないですか!」
事務員らがヒソヒソ話。
「あんなお金に固執しなかったのに。見損なったわ・・・」
勤務医の自宅。畳の上にラーメンの殻など残骸。
「くそーっ!なんとか楽して儲かる病院はねぇのかよ!」と、ドアがコンコン。
出るとそこにせぇるすまん。
「わたくし、こういうものでして」
「・・・セールスマン?」
「おおっほっほ。勤務医なのに、私生活は荒れ気味ですなぁ。生活が困窮しているのも仕方がない。ギャンブルに興じるあまり、身内にも見限られ・・」
「どっどっ。どうしてそんなことまで?」
「おおっほっほ」
(魔の巣。のび太みたいなバーテン)
「開業したくてもね。資金が必要でしょう?ローンも信用で組めないし」
「それはお任せくださひぃ。わたくしが開業先を用意してあげましょう」
「だからといって、セールスには騙されませんよ?」
「おおっほっほ。心配いりません。お金は一銭もいただきません。費用はタダ!」
「ええっ?本当に?でもそんな勇気は」
指差される。
「あなたは楽な生活を願ったそれをわたくしが手助けするのですもうこれまでのむなしい生活とはオサラバですあなたは明日から開業する一国の主なのです!」
だああああああーーーーーーーーっ!
ぎゃあああああーーーーーーーーー!
(次の日)
「そんな君!」院長が血相を変える。
「本日付けで辞めます」
「残した患者たちはどうする?」
バタン、と出ていく。
駅の近くのビル。
「このビル丸ごとなんて。信用していいのかなぁ・・・」
1Fに入ったとたん。
「(美女軍団)おめでとーございまーす!」
「ええっ?」
受付、ナース、リハビリいずれも若い美女たち。
「先生ン。お茶入りましたわよンン」「はは、はいっ!」
「先生ン。ここ診てくださるン?」「かかっ!患者さんまで!」
「先生ン。こっちで遊びましょうン?」「うわわっ!」
取り合いになる。
「うははっ!うははっ!はぁ~!」酒びたりになり、やがて視野がぼやけてくる。指で何か紙を押さえたような。
(次の日)
気がつくと、部屋はもぬけの殻。
「あれ?みんな・・・どこ行ったんだ?」
コンコン、とやってきた不動産屋。
「ちょっと!」
「あんだよ?ここは俺の病院だぞ!」
書類を渡される。
「あんたのオーナーが、今日でここを売り払うってよ。なので出てってもらおうか。昨日あんたんとこに持っていった3千万も返してよ!」
「しっ?しし、知らない!」
「あんたが昨日押したハンコだよ。増築のための。計画はパーになったから貸した金は返してもらう。さ、払え!」
「で、でもそんな金・・・」
「返せんなら、あれだぞ!」
ボオオー!と近くの海にやってくるマグロ漁船。
医師の脳裏に浮かぶ、美女軍団の札束室内ばらまき。
「きゃああっはっははは!」
朱肉のついた人差し指で腕を伸ばし、スカートを覗く医師。
「うへぇえええ・・・」
(回想終わり)
「ぎゃああああああああ!」
ビルの下、せぇるすまん。
「これからは医師という飾りも外され、1人の男としての真の価値が試されることでしょう。マグロ1匹1匹釣り上げることによって、1本釣りされたい医師の気持ちも分かることでしょうおお~っほっほ!」
(後姿)
計画倒産、の1症例です。
今、楽をしている若者は・・・
2013年7月28日 連載社会の法則だと思うが、いま<楽>をしている人々は高齢者を除き、その後にツケをかぶる者ばかりだ。医療関係で働いていると、よく分かる。高見の見物をできる環境であれば、それがよく理解できる。いい人間は社会で良い貢献をすべきだが、まずはこの高見の環境に登れることが重要だ。そうでないと、社会そのものが分からない。やはり、学生のときは勉強していい点取っとくべきだろう。自分が無理だったとしても、子に伝えていくべきだ。
楽をしているタイプは、いろいろある。
・ 自分の<教祖>のイエスマン
つまり経営者側のイエスマンというわけだが、たしかに教祖に気に入られればかなりおいしい思いはできる。しかし、次の教祖はたいてい確執があった者が多く、それを機会に一気に追い詰められる可能性が高い。周囲に妬まれる立場だと、のちに内部告発される可能性も。
・ 給与以上に働かない
僕ら経営者側からすると、特に医師は年収以上を叩きだしているかどうかを重視する。というか、それさえ達成しない医師は居てもらう意味がない。代わりはいくらでもいますよ、なんてことを言われることになる。
・ 愛人に頼る者
女は金をくれる男性を頼り、男は若くて便利な女性を頼る。いずれにしても女の賞味期限が過ぎたり、男の収入が減ったときが全ての終焉だ。
・ 転々とする者
職場を転々とする者は、それ自体社会を見る目がないことの証拠だ。1回は<事故>であったとしても、2回目は自己責任だ。懲役として、長めに服すくらいの社会勉強が必要だ。
・自営に走る者
開業が悪いというわけではないが、動機はほとんど不純だ。いや、もちろん責められるものではないし僕にそんな資格はない。しかし、儲かると拡張事業や物件の買占めに走るのは例外がない。それらの価値は確実に下がり、その負債を必死で後の世代に残そうとするのが常だ。
・ 親の資産で食う者
そういった者の手元には通常<現金>がない。振る舞いが派手だからだ。いずれ相続のときに、税金と兄弟確執などで追い詰められるだろう。
・ 安易な職場へと変わる者
病院でも、楽なところはいくらでもある。偉そうにふんぞりかえれる。しかしこの社会、査定というものはされていて転職・開業などの際などは低く見積もられる。力がないと情報からも隔離されやすく騙されやすい、という1例だ。なのでこういう職場は最終章に位置したい。
・ フリーランスを謳う者
言葉はいいが、実は<完全非常勤>という内容だ。なのでそこには緩急(変化)もなく生活への考慮はしてくれない。そこでの存在は当たり前のもので、必然ですらない。まして体を害するなどした場合は割り切りで切られる。ミスが発生したときはかなり不利だ(詳しく言えんが)。30-40代が賞味期限だろう。
どうしても、描かなくてはいけない。
2013年7月28日 連載今年中に公開する作品は、きちんと最初から最後まで編集を終えたうえでのものとしたい。都会から田舎に戻ってどうなったか、そんな話だが・・・前述の山口の事件の背景のように、非情であり救いがない。救うのは、自分しかない。神をやたら祀り上げる<田舎>なのに、だ。
これまで描いたイジメや嫌がらせは些細なコメディーに過ぎず、<嫌なら逃げれる>ものばかりだ。現実は違う。追い詰められたところにも地獄があり、そこには戦う武器もない。では何を選択するのか・・・?山口の事件は<暴力>を選んでしまった。この対極が<自己破滅>だろう。
暴力か?破滅か?15年ほど前の自分・他医師の体験を参考に、淡々と描きたい。
それ自体がそれ自体を追い詰める、<孤独>。
2013年7月28日 時事ニュース山口の殺害事件の背景には、もはや時代錯誤と思われそうな<差別>があった。都会から田舎に戻ってきたものの、そこは都会で描いていた将来像には程遠く・・・。そこは旧態依然とした戦後社会が恒久的に続いていた。
このテーマはまさに自分が準備していた内容に似ており、都会から田舎に来た医師がどうやって追い詰められるか、そういったテーマとも無関係ではない。いや、医師は田舎に溶け込めないわけではない。そこに投げかけた波紋がどのくらいのものか、それによって予後が決まる。
変化を望む者。望まない者。僕らの人生は、(自分の心の葛藤も含め)これらとの戦いの連続と言える。だが、多くはやがて来る<孤独>というものに押しつぶされているのが現状だ。
GIVE ME TOOLATE TO DIE HARD
2013年7月12日 映画
作品が進化するごとに主役がパワーアップするのは、シリーズものの宿命。でないと観客が満足しない。同じように描けとか、あれはマクレーンじゃないとか言われてしまうがそれは反作用の法則のようなもの。
しかし男は年輪ごとにパワーアップしていかねばならない。女性らは日々失っていく生き物だが、男はいざというとき誰も助けてくれない。ことが多い。草食が増えたので泣き言言う権利もできるかもしれないが、現状では困っている男性というのは(よほど身内が裕福・運がよくない限り)自分で打開するかしかない。
医師も仕事が慣れたからといって単調に身を任せるのではなく、未知の領域それも自分が(患者にとってより)便利になる領域に手を広げるべきだと思う。それなりのリターンあっての話だが。
「息子?お前、こっそり開業しやがって」
「あんたのせいで、計画していたマルチ開業がパーだ!」
「俺のせい?」
「ああ。あんたが開業してた頃のつたない成績が、銀行経由でバルサルタン、いやバラサレタんだ!」
「ちょっと待て!」
「おかげさまで俺の信用まで失墜!」
「ホワッ?」
「資産は差し押さえ!女房は逃げる!子供はソッポ!」
「オーマイ!」
「あげくのはてには(回転)、背中に手形を貼られる始末だ!」
「手に持ってるのは?」
「これか。株券だ残りをこれに変えた!おやじも持ってるじゃないか!」
「おい息子。ケツに火が!」
「おやじもだ!」
2人の後ろにC4爆弾の蓄積。
「(2人)うわーーーーーーっ!」
ズドオオオオン!
乱高下!(予告編をイメージしてください。笑えます)
しかし男は年輪ごとにパワーアップしていかねばならない。女性らは日々失っていく生き物だが、男はいざというとき誰も助けてくれない。ことが多い。草食が増えたので泣き言言う権利もできるかもしれないが、現状では困っている男性というのは(よほど身内が裕福・運がよくない限り)自分で打開するかしかない。
医師も仕事が慣れたからといって単調に身を任せるのではなく、未知の領域それも自分が(患者にとってより)便利になる領域に手を広げるべきだと思う。それなりのリターンあっての話だが。
「息子?お前、こっそり開業しやがって」
「あんたのせいで、計画していたマルチ開業がパーだ!」
「俺のせい?」
「ああ。あんたが開業してた頃のつたない成績が、銀行経由でバルサルタン、いやバラサレタんだ!」
「ちょっと待て!」
「おかげさまで俺の信用まで失墜!」
「ホワッ?」
「資産は差し押さえ!女房は逃げる!子供はソッポ!」
「オーマイ!」
「あげくのはてには(回転)、背中に手形を貼られる始末だ!」
「手に持ってるのは?」
「これか。株券だ残りをこれに変えた!おやじも持ってるじゃないか!」
「おい息子。ケツに火が!」
「おやじもだ!」
2人の後ろにC4爆弾の蓄積。
「(2人)うわーーーーーーっ!」
ズドオオオオン!
乱高下!(予告編をイメージしてください。笑えます)
こんな開業医は要注意だ
2013年7月12日 連載・ 患者の都合で来れないと怒る
・ 検査係がやたら検査をすすめる
・ 患者の見た目で検査内容を勧めてくる
・ ナースが紹介病院・ドクターを指定する
・ 検査が正常でも1剤投与でつなぐ医師
・ 息子・娘の病院にやたらと紹介
・ 新薬にやたら変更を迫る
・ 2~3か月処方
・ 情報提供書をしぶる・手抜き
・ 病因救命よりも在宅酸素などアイテムをすすめる医師
・ リハビリ機器購入をすすめるスタッフ
・ ものをくれる患者を優先する(順番など)スタッフ
こういったのは危険だ。金やノルマ、見栄がからんでいる。
向き合わずとも、付き合え。
2013年7月12日 連載そもそも高血圧や糖尿病など市場が大きい割に、病気そのものが減ってない背景がある。医学の進歩で病気を早期発見できている、という言い訳もあるだろうがとにかく大きな市場だ。製薬会社が目をつけないわけがない。成人病は開業医レベルで発見がしやすく、医師会も健診で囲いこむことができる。
その一方で、ガン関係の健診はおざなりだ。通常の健診ではガンの早期発見方法はお粗末だ。民間病院の僕からすると、何やってんだと言いたい内容だ。反面、金・時間のある一部の人々はこっそり人間ドックなど精密検査を受ける。多忙なサラリーマンは見過ごされやすくなるし、なにより日常での機会がない。
健康への関心が青天井の高齢者世代、その対極にある若者に負担が全部くる。医者らは決して、そんな国策に便乗することのないように。己の利益のために囲い込まず、責任もって生活ごと支えるつもりで付き合え。
ニュースというものがマスメディアから発せられるものということを踏まえれば、どのニュースも加工・フィルターがかかっている。つまりこの形で世に出してもいい、という許可が出たものだ。
意図的な操作は珍しいものではなく、正直内部で何をやってるかは部外者には分からない。医学部でも毎年多くの学位が誕生するが、ああも都合よく立派なデータが生まれるわけがない。有意差という妥協点と、巧妙な取捨選択、それと・・・とにかくいいデータを出す、という執着から導き出されるマジックのようなものが(論文には)ある。
学会などで発表される統計を見せられても、それはすでに<世に出していい>と上層部から許可をもらったものであり、その大元を追及することは通常できない。というかしてない。まさかそこまで疑うはずはないからだ。原発の話題でもそれがよく分かった。
で、いまさらこんなニュースを?と思ったわけだが、その背景には製薬会社の淘汰、医療業界の鎖国制度など・・・日本そのものを思わせる体臭のようなものが、見て取れる。
ディオバンといえば、以前からこれを推奨してきた高血圧の権威の<お猿さん>だ。この強力なバックアップは、スポンサー的な立場に近い。こういったことから、製薬会社に次々とメスが入るんじゃないだろうか。誰かが得するために。
意図的な操作は珍しいものではなく、正直内部で何をやってるかは部外者には分からない。医学部でも毎年多くの学位が誕生するが、ああも都合よく立派なデータが生まれるわけがない。有意差という妥協点と、巧妙な取捨選択、それと・・・とにかくいいデータを出す、という執着から導き出されるマジックのようなものが(論文には)ある。
学会などで発表される統計を見せられても、それはすでに<世に出していい>と上層部から許可をもらったものであり、その大元を追及することは通常できない。というかしてない。まさかそこまで疑うはずはないからだ。原発の話題でもそれがよく分かった。
で、いまさらこんなニュースを?と思ったわけだが、その背景には製薬会社の淘汰、医療業界の鎖国制度など・・・日本そのものを思わせる体臭のようなものが、見て取れる。
ディオバンといえば、以前からこれを推奨してきた高血圧の権威の<お猿さん>だ。この強力なバックアップは、スポンサー的な立場に近い。こういったことから、製薬会社に次々とメスが入るんじゃないだろうか。誰かが得するために。
職場が忙しくなると、敬語は邪魔だ。そりゃ目上との仕事は気を遣うが、それでも砕けた会話で進めたい。遠慮があると、そのプライドで言い直しがしにくい。
スタッフとだんだん慣れてきて日常会話するようになれば、会話の速度を速めていく。必要最小限の語彙で、日本的文章は多少無視。いろんなスタッフで練習だ。
「さっき60歳男性が来て。胸痛で心電図レントゲンや採血一通り異常なし。エコーするけど呼んでいい?じゃCTもとっとくわ。そんとき呼ぶわ」
(呼ぶわ、が2回ある。そのとき絶対来いよという強制力がある)
「先生、今日は当直違うよな。こんな人がいてね。DIC寸前ってとこ。こういう点滴いってんやけど。検査結果これよ。また見といてくれる?」
(こうやって、急がせ気味に宿題を出す。1人で考えさせた方が別のいい考えが出る。そのあと2人で閲覧)
「この前はありがと先生。やっぱ消化器がいて助かるわ。実は腹痛が来てね。これは一応やった。ここからが分からんのよー。今回も頼んでいい?」
(感謝→実は→本題→自分の無力さ表示→相手に使命感)
悪気は一切、ない。
自分はちょっと変わっていて、平穏無事な日々で済まさない。家庭はそうではないが、仕事ではそんなところがある。
たとえば、今日予定の検査がほとんどないとする。ほとんどの医師は医局にこもってしまうが、自分は別の仕事を掘り起こして周囲を忙しくさせる。突然のオーダー指示に周囲はヒンシュクだが、客観的にはアリだろう。もちろんその業務が自分を追い詰めることもあるだろうが、あくまで自分のキャパぎりぎりの選択だったかどうかの証明にもなる。
いや、確かにそれが一番難しい。自分のこれからすることがキャパ内なのか。それを越えそうならそこまで可能か。自分は「倒れるまでやった」と自慢する医師は信用してない。自分を知ってれば、研修時代でも患者にミスることはない(軽いのはのぞく)。
なんせ時間は限られている。時間いっぱいやって、その後は余力で片づける。料理とデザートの時間帯とでも言おうか。
前にも書いたが、ゴルフ場は医師のたまり場だ。もちろん弁護士なども来る。しかし、やはり医師の人口密度が高い。言い直すと、医師らとそれに群がるハイエナ共が実に多い。
でも、人との交流は刺激になることは間違いない。自分の知らないことをよく知ってる連中が集まるわけだから。それに頭脳明晰が多いのか、会話が楽しいし鈍くない。力関係はすぐにわかる。だらしないのが上で、気の利くのは下だ。
そこでは、ゴルフの出来自体は全く問題にならない。自分は違った文化に触れるために稀に出かけるが、みな罠にかかってしまう。巧みな言葉などではない。彼らの服、車、資産話・・・羨みよりも、一種悔しさのようなものに囚われる。本当の幸せとは何か。ここで見る、その反対側がそれだ。
さすがに全ての知識を頭には詰め込めない。アイパッドにご丁寧に知識の集大成という技もあるだろうが、そもそもいざというとき手は塞がる。知識の詰め込みは安心感があるからこそで、その引き出しはベツクチからだ。なので、デキない者はいざというときデキなくて、やたら<反省会>だけしっかりしている。
ここはなるべく便利な端末を利用したい。その端末とは、自分の字引となるような人間そのものだ。いやいや、百科事典のような医師ではなく、特定の専門が自分よりも早く引き出せる、しかもマメにアップデートな人材だ。自分の専門外領域の医師、薬局関係、検査関係。ここは、過去のつながりを大いに利用したい。
会う人、会う人を大事にしていれば、こういったネットワークがすぐにも呼び起こせる(相手は迷惑かもしれないが、そこは何かで返すということで)。
ゆとりの医師も含め、本当にインパクトある臨床経験をしたいなら1時間は残るゆとりを持っておきたい。コトは割と終了時間のそのあとに起こっていることが多い。始業開始の1時間前にも同じ意味を持たせたい。
なぜなら、始業と終了は病院はどこも共通しており、その時間帯が最も患者を断っている時間だからだ。病棟でも、引継ぎで盲目的になりやすい時間帯だ。もう帰るスタッフが、その直前に新患を診ようという態度になることは少ない。
患者側にもそんな心理があるのか、いざタイムリミットがあるとなぜかその時間にギリギリ間に合わない。朝だと始業前にすでに体調が悪かったり、終業後に悪化が始まったりする。で、双方とも放置によりいっそう病態が悪化する。
時間に余裕があればなるべく(口実作ってでも)居残り、そういった症例を<捕まえる>機会があるかもしれない、ということだ。
僕が思うに、少年の心は童心とは思ってない。なぜならそんな心は大人になったら日常的でないし、それだけでは危ういからだ。いや、確かに情熱的な人もいる。採算度外視で芸術に身を捧げる者もいるが、大衆に向けるとなるとビジネスが必要になる。そこはもう、業者のシステムができているので負債を背負うことが条件になる。
大人が持つべき少年の心はそんな利用されやすいものではなくて、いや好奇心でもなくて<従わない心>だと思われる。反抗期的な意味で、誰の追随もしないという頑固な心だ。しかし、どんなものかは新鮮に触れはする。魂に自分という引力があるかどうか。
大人になると、大半の者にその引力が失われてしまう。これは、楽になるために自らを任せてしまうのが発端だと思われる。仕方なく、というのもあるだろうが、代償は存在する。診療でも病態の解明などに疲れてきて、実際どこかで手を打ってしまうことも多いだろう。だとしても、流れに従ってしまったらそれは妥協にすぎない。
そうなると自分に自信が持てないと言われるが、自信があるからミスが起こるのだ。現に僕の周囲医師のトラブルは、みな自信に満ちていた結果引き起こされたものだ。なぜか・・・?自信に満ちると、(予想しうるはずの)全くの想定外が、全くの想定外(起こっても気づかない)になってしまうからだ。
あんまり<あれは詐欺だ、嘘だ>とか言ってると人間不信とか言われるが、正直いって不信は多いにこしたことはない。不信は必ずしも否定ではないからだ。それに、言葉で常に出さなければいいだけのことだ。
実は診療でもそうで、診断や治療で悩むときは何もかもを疑うことが重要になる。病態が1つでなくいくつかの集合体かもしれないし、医原性であったり情報ミスである可能性も。薬剤のロット問題、相互作用も。自分のすることに自信を持ちつつ、しかし改善まで疑いを緩めない。いや改善でも、その後の問題があるかもしれぬ。これができるかどうか。言葉にすると心ないが、正しい心があれば許可だろう。
自分は信念というものを持たないが、これがその理由でもある。
実は診療でもそうで、診断や治療で悩むときは何もかもを疑うことが重要になる。病態が1つでなくいくつかの集合体かもしれないし、医原性であったり情報ミスである可能性も。薬剤のロット問題、相互作用も。自分のすることに自信を持ちつつ、しかし改善まで疑いを緩めない。いや改善でも、その後の問題があるかもしれぬ。これができるかどうか。言葉にすると心ないが、正しい心があれば許可だろう。
自分は信念というものを持たないが、これがその理由でもある。
最近は<NISA>みたいなパッケージ商品が暗躍し始めている。素人に投資させて手数料をたくさん取られる、いつものシステムだ。不思議なことに、日本人は損しても割と平気だったりして複雑に揉めたりしない。そこを利用されている。
難しいことは自分も苦手だが、世の中の<頭がいい人間>というのは人を利用する人種らだ。十分練られた専門知識によって、素人を錬金術で騙す。騙されないためには、末端の位置に身を置かないことだろう。複雑さを理解する、そうすれば裏を見抜ける。これは、感覚的なものでもいい。
いや、まずは<他人に任せない>ことだろう。任せるというのは非常に楽だ。しかし、そもそも<任せてください>という名乗りが不自然だ。ボランティアじゃあるまいし。
医師ならなおさら分かるが、初対面の笑顔は必ず詐欺師、とでも覚えておけ。
カモにされないように。
2013年7月4日 連載現状ではあまり聞かない話だが、相続のときに最も困るのは・・・親の土地を引き継ぐにあたり、それにかかる相続税の支払いに関することだ。相続税は現金として振り込まねばならないから、子の実際の貯蓄額に依存することになる。もちろん親からの現金もあろうが、実際それは土地・物件という<一応>資産が主体であることが多いという。つまり、現金が<将来価値を増やすはず>のものとして物件に代えられているわけだ。
では、なぜその<親>たちはそこまで無計画な<資産>を残したのか・・?をたどると、継続すべき業務(開業存続の資金調達など)上で発生する追加融資のためだという。いや、必要でなくとも銀行は融資する。融資を断る実業家などいない。
なんでまた、こういったシステムが・・・?どうやら、大昔の<地租改正>がその始まりらしい。
驚くべきことに、こんな単純なことが知れ渡ってない。確実に価値の落ちる物件を銀行が与え、ワインのように持たせている。その事実はともかく、マスコミなどでは報じない。まあつまり、メディアを見る・読む人々が<カモ>だからなんだが。
こういったニュースからはいろいろ感じることはあるが、もちろんこういう内容は氷山の一角にすぎない。最も多いのはやはり製薬・医療機器関係で、身近なものなら新薬の納入に際し、会社が特定の医師・薬剤師に支払われる謝礼がポピュラーだ。あまりにも平然と行われている部分だが、こうして明るみに出たのは額が相当大きかったか、その業者がどこかに疎まれていたかだろう。
日本は業者大国だ。1つの事業にも多くの業者がからんでいる。天神祭ではヤーさんつながりのテキヤが全国から押しかける。素人商売の入る余地はない。商売するのは末端であり危険性はそれほどないと思うが、そういった独占的な商売がある中で目立ったものから・邪魔なものから順番に摘発されるのがこの世界のルールと思われる。
特に医療業界のニュースを解釈するときは、そういった考え方が必要になる。
日本は業者大国だ。1つの事業にも多くの業者がからんでいる。天神祭ではヤーさんつながりのテキヤが全国から押しかける。素人商売の入る余地はない。商売するのは末端であり危険性はそれほどないと思うが、そういった独占的な商売がある中で目立ったものから・邪魔なものから順番に摘発されるのがこの世界のルールと思われる。
特に医療業界のニュースを解釈するときは、そういった考え方が必要になる。
地域に根差すとかいう言葉より以前に、その病院の周辺土地に詳しくなるのが有用です。ゆとりの方々がむしろ特異な分野だと思います。上司ら世代の医師らは雲の上みたいな存在が多く、病院・診療以外は知らなくても可みたいな考えが多いですが、君らはそこは柔軟なのではないでしょうか。
ネットに慣れ親しんだのなら自分もネット並みに便利であるべきで、病院周囲の環境を知ることで一般市民の生活観などを学ぶこともできます。単刀直入に言いますが、多くの医師は病気を治したいあまり、患者の都合を無視してよいと考えています。しかし、今はそんな時代ではないと思います。国がこんなですから、富を握る高齢者世代がこんなですから、僕らは人の日常まで考慮する必要があります。
さて病院周囲の土地ですが、基本的に近所の方が来ることになります。その近所を散策してみてください。すると患者さんに会ったりもします。仕事する人がいます。3人乗りの親子もいます。豪勢な家もあれば、ひしめく団地もあります。高層なのに階段がなかったりもする。スーパーが近くにない。などなど、生活の大変さや通院困難な理由なども分かってきます。
そう考えると、なんでこんな時間になって来た?とかガキみたいに思わないんですよ。
ゆとりの方々のしゃべり方で気になるのは、それが水道垂れ流しのようだというものです。ダラダラ、ダラダラ。こういう患者さんがいて~、こうやったら~こうなって~。どうしたんかな~と。
接続詞が乏しいと思います。文は切るべき運命のものですが、切るたびに舵を取らねばなりません。会話を、相手をある方向にもっていくためです。
僕が現場で宗教的と言われる理由に、あるいは小説で多用している効果にこの<接続詞>があります。「ですが」「すると」「というのは」など、何の変哲もない言葉でもって相手の頭を相手の予感した方へ持っていきます。
僕は外来で患者さんを説得するとき、「今回・・・です」と導入、「つまり・・・」と要約、「すると・・・」と思考過程と問題点を納得させ、「ひょっとしたら」と長期問題点を予測させ、「そこで・・」と治療の選択性を提示、「しかし・・」と副作用的な話をし、「なので」と結論へ持っていきます。
山を登らせ、いっしょに下山する。そんなやり方です。