熱血VS冷血漢という組み合わせは、仕事でうまくいきやすい。ただし冷血漢は命令側、熱血漢は動く末端側であるべき(医療で逆のパターンは失敗する)。

 ディカプリオとクロウの一見横暴なやり取りは、僕らの仕事に通じるものがある。しのぎを削りながらも現場が達成していく、そんな職場は活気を失わない。

「こんなに患者が診れるか!現場をちっとも知らん役人どもが!」
『さぁこれからもっと来るぞ。外傷に呼吸不全。小児も何でもござれだ』
「ああもう何人も診たこれで充分だろ!外へ出る暇もないおかげで太陽を何日も見ていないまるで!バンパイアの生活だよ!貴様を呪ってやる!」
『ただし血を吸ったら輸血してもらうぞ。君からの天引きで保険適応外だな。外で出れない君におめでとうと言いたい。つまり外へ出ずして億万長者へまっしぐらだ』
「ふざけるなおい!聞いてるのか!」

 そこらのゴミで遊ぶクロウ。

『だってそうじゃないか。君はもう何か月も口座を開いてないその間我々がどれだけの給料を振りこんだか知る由もないだろう?開けてビックリの浦島太郎だ』

 クロウの目が光る。

『仕事が嫌ならすぐ銀行に向かってその金持っていくんだな。外車に美女。ワイン・・・ああ、何でもいい。だが君はなあ。よく聞いとけよここからが本番だ』
「シェッ!シェッ!」

パニクるディカプリオ。

『まあそう慌てなさんな。それでもおヒサマは昇るんだ。考えても見ろ太陽は愚痴を言わんぞン?』
「自分を失うよりか、よっぽどマシだろ!だから俺は降りる!もう降りるぞ!」

『まあ好きにするがいい。だが私は君から目を離したことがない、なぜならな。いつでも君を辞めさせることはできただが常に評価してる。君なら絶対やるそうしてる間も手が動いてるじゃないか!こらジム。あっちで遊びなさい!』

「俺の手!俺の手が黙ってないっていうのか!」単純なディアプリオキャラ。


『君を待ってる患者はどうなる?この先?君の手にかからずにそれがどんなに不運なことか?君が断念したその1分いや1秒だ。その後、人生を断たれる人間だっているんだぞ?』
「くっ・・・!」

 クロウの輝く目。

『助けろ。次の瞬間も。患者は君を待っている』

「わかった。わかったよ!」

 ディカプリオキャラは、そしてまた、働く。


 大学受験に失敗したことはあるが、何が一番つらかったというと、やはり予備校生活が始まるまでの2カ月ほど。今思えば予備校生活自体が贅沢でわがままなものだったかもしれない。それはおいといて、とにかくこの予備校が始まるまでが、地獄のように長い。だが落ちたばかりでやる気がおきない。驚いたのは、さっそく選抜クラスの振り分け試験、寮の適性試験(面接)まであったことだ。

 しかしこの時期はある意味頭を冷やした時期でもあって、その後のやる気という反動へと結びついた。国立大学の初期にかつてあった教養学部もそうだ。

 では、医師になってそういう期間があるか?といわれると・・・転勤前の有給消化期間(数日~1週間が多い)、といったところか。なんか自分だけ置き去りにされた感覚になる。ある意味、試験に落ちた後のような感覚だ。

 そう、この置き去り感覚がかえって次の(やる気という)反動を呼ぶのだ(その反対という話もあるが)。

 

子供

2010年3月23日 連載

 医師らも、お互いの子供の話をよくする。子供の年齢によってお決まりのレスポンスが異なる。

0歳:「わ!奥さん大変やな!」「はよ帰らな!」
1~2歳:「目が離せんな!」「見てて飽きんやろ!」
3~4歳:「一番かわいいときやな~!」
5~6歳:「そろそろ横着言いだすぜ!」
7~9歳:「これからですやん!金かかるのは!ためな!(背中ドン)」
10~12歳:「塾代、シャレならんやろ!」
13~15歳:「やっぱ私立でっか?」
16~18歳:「ゆくゆくは後継ぎでっか?」←暗に志望学部を聞き出そうとしている。

19歳以上

・ 医学部の場合:「はよ親に楽させな!」「(父親は)まだまだ当直せないかんで!」

・ 医学部でない場合:「あ~そ~(間)。まあ今はな。医者になんかなるもんちゃうし!」「親の背中見て、なりたくない思ったんちゃいますか?」という厳しい指摘もあり。




東京回診

2010年3月20日 連載
 毎年恒例の内科学会が、今年もまた・・また?東京国際フォーラムで。今年はトホホなラインナップで、是非聞きたい内容があまりなし。だんだん現実逃避的なものになってきている。

 ひょっとしたらもう単位だけもらって、東京を巡回するかもしれない。しかし、会場かホテルで知り合いの1人には出くわす。

「いてっ!」(横からチョップ)
「おお~!」
「お?おお~!」

 僕らの年にもなると、リーダーらしき立場の会話。

「あきませんわ」
「こっちもどす」

「奥で楽ばっかしとる連中ばっかりですわ」
「そりゃいけませんな。首切らな」

「それがいかんのですわ。頭数が必要なんですわ」
「もう先生。そんな病院やめときんさい」
「どっか紹介してえな(愛想のつもり)」
「いいとこあるよ。紹介しょっか(本気)?先生ケータイは?」

 こうして近づいてくる人間もいる。実に計画的。気をつけるように!数日後、こういった電話がかかる。

『先生のいまいる病院ね。ここだけの話やけどぶっちゃけ。もうすぐヤバいみたいやね。今はいいよ。でも医療法が改正されたら・・・』

 甘い話の前に、必ずやってくる不安な話。






深い溝

2010年3月20日 連載

 世の中は厳しいと思う。病院でもそれを感じる。医療側と患者側の間に深い溝を見つけたときだ。委員会をよく開くが、そこの情報はフィルターを通ったもの。現場=患者視点で見るとよくあることだが、実に冷たい対応というのをいろいろ見てきた。これは大病院・小病院に限らずだ。

 受付、医師患者間、医師間、医師ナース間など。お互いが割り切られれば見せかけの平和は作れるが、その陰には多大な犠牲がある。

 泣き寝入りの撲滅運動を、ひそかに実行中。

守り

2010年3月20日 連載

 独身時代と全く違うのは、姿勢が<攻め>から<守り>になったこと。明らかに保守的になった。上層部に立ったのも理由の1つ。それとこれはあまり良くないことだが、女性に甘くなった。これは周囲からも驚かれた。

「先生。あいつら図に乗りますよ!」という指摘。しまった。自分が軽蔑していた人間になるところだった。

 ま、それに気付いただけで今日は良しとするか。

 
 
 ・・・こうもブランクがあると、ついつい人見知りしてしまう。人がいなくてもだ。こういう自分もいつの間にか家庭を築き、プライベートは皆無と化していた。恐ろしいもので。環境がガラリと変わっても、本能がそれに適応していく。多忙でも、それが多忙でなくなり慣れていく。

 しかしまあ。超多忙を極めていた仕事場もやっと落ち着き、やっとパソコンを開け・・というのはウソで、<BUNちゃん日記http://bunchan.cocolog-nifty.com/>に信仰を求めていたのだ。

 では今度こそ連載を約束し、いろいろ学んだことを皆の衆に伝えよう。

 <第2部>(?)の始まりだ!

 WOWOWで、いま松本清張の特集を毎日やっている。アメリカではジョン・グリシャムに相当しそうな(政治も含めた)サスペンス作家。グリシャムはアメリカの民族的な背景をよく出しているが、松本清張では<男女のもつれ>をも描く。この<もつれ>は今も同様、通じるものがある。そしてそれは、なんとも一途なのだ(いい結果であろうとその逆でも)。

 病院へ見舞いに来る家族。そのあとやってくる内縁の妻。内縁は年をとってもどこか失ってないものがある。病歴を聞けば聞くほどその不自然さがあり、その裏に彼らのドラマを垣間見る(突然の引っ越しなど)。

 そして、その内縁の息子までが現れ・・・。入院が長いほど、それは複雑怪奇になっていくのだ。
 正月早々、妙なCMだった。何かの冗談で、艦長が「セコムしてますか?」というような内容かと思ったが。

「古代!目標戦闘機1機!波動砲発射!」「やりすぎなんじゃねえかな・・・」

 それにしても、この冬の劇場版の収入が絶望的な上に・・・さらに追い打ちをかけるのか?それとも(盛り上げるまでの)最初からの計算か?佐渡先生のポストは、今回もサドっぽいのが出るようだが。

 ヤマトで無理やり盛り上がろうとする日本メディア界。果たしてこれに便乗して、(二次的に)何が売れるのだろうか・・・?

 札幌の雪まつりで作ってくれたら、大歓迎だ!
 

謹賀新年

2010年1月2日 連載
 大阪の街は鎮まっており、ふだんと違った穏やかな表情を見せている。

 年末の集計では、インフルエンザは明らかに激減した。その反面、気管支炎や軽度の胃腸炎が目立ってきた。特に乳児の細気管支炎は誤診が多く、注意。腹痛が単なる便秘のこともある。

 それにしても、メディアでは医療クレーマー的なニュースがかなり減った。根本的なことは何も変わってないわけだが、これも政権交代に際して仕組まれていた工作なんだろうか・・・?

 今日は、年賀状の返事を書き書き・・・。意外な内容には、電話。病院への問い合わせ。詰所につながったとき、<おめでとうございます>と言われる違和感は、毎年のこと。

 今年も<情報>の年。情報を握る者が優位に立つ。それは金で買えないが、金より高いものがある。今の僕の周囲は、それをローコストで手に入れようとする者だらけだ。正義のため、今年も戦う。



大晦日

2009年12月31日 連載 コメント (2)

 紅白を鑑賞中。毎年、この時間帯だけは仕事にならないよう努力している。大晦日のラスト数時間は、人生の中で密度の濃い有意義な時間の1つだ。

 有名人の貴重な時間が過剰に取り沙汰されるが、その背景には商売がある。そのため「引退」「追悼」の企画がある。流行りものということだ。注意。

 大阪でも今年はあちこちの病院が・・もう危ないとこまで来ている。来年は金融機関が容赦なく攻撃してくる。その気配(があればそれを)を感じよう。引っ越しの準備だ!コネ作りをねりねり(←Perfumeです!)。

 そのためにはまずは明日。予期せぬ相手からの年賀状への・・・返事だ!


ヤマトの感想

2009年12月26日 連載
 第一艦橋のメンバーが、まるで<大学医局>。実に他人同士的な距離感が持続する。背後に控える医局長、古代の存在。そこに教授のような威厳はない。いやいや、教授にあたる沖田の像が見下ろしている。そこもまた、大学医局。

 コスモタイガーのメンツは我がゆく道といった感じで、チームワークがないながらも1人1人が淡々と仕事をこなす。まるで大学院生たち。

 そしてアマール星との関係。ヤマトが介入したところ波紋を呼び、敵から様々な嫌がらせを受けることになる。これもまた、大学医局どうしの確執のようだ。

 で、ヤマトに群がる艦隊、とりまく避難船団。こんな声が聞こえてくる。

「ヤマト先生。ついていけば間違いないですよね?」
「いい病院、見つかりますよね?」
「見つかった折はそのポストは是非わたくしに!」「いや私を!」「私が!」

 まるで大学統合で行く先を失った、医局員たち。隣の県にも、その隣にも合併を断られた・・・。

 有名なせりふを、あえて言い換える。

「守るべきは病院ではない!患者だ!」


この1年

2009年12月26日 連載

 今年は・・・特に政権交代して以来、医療のほうは置き去り状態にあったような気がする。医師会の力が弱まったことも関係していると思われる。

 大阪の病院はどうかというと・・・今年もやはり、いっそうの資金繰りに喘いでいた。来年はもっと厳しい。銀行の貸しはがしなどが、当たり前になる。病院も企業と同じ洗礼を受け始めるだろうと、ここで予言する。

 自分は、少なくとも長年付き合いのある患者さんらを守るのに必死。これ以上増えたらどうなるのかという心配もあるが、外来での<勇気づけられる前提での奉仕>によってバランスが保たれている。 
 で、とうとう「ヤマト」を見た。クレジットで驚いたが、あの「国友やすゆき」が参加していたのか?週刊誌での連載ものではお馴染だが・・・。

 それでか。それで、あの絵なのか。

 人物の顔が、どうもその・・・「スピリッツ」「モーニング」っぽいというか・・・。

 つまりみな顔が、サラリーマンくさい・・・そういういうことである。「給料もらって家庭を守る」といったような顔なのだ。波動エンジンのスタッフは「ジャンク・ボーイ」!

 そしてそのとき・・・第一艦橋が<オフィス>と化した!

 

 TOHOシネマズ梅田で観ようと思っている。ここの最終上映時間は8時半すぎ頃。終わったら11時台。帰ったらクタクタのはずだ。次の日がカテ日でないことが自分の勝手な条件である。

 異国への委託の雰囲気がする<セル絵>を見る限り、以前のものの続きというより同窓会的な気持ちで観ようと思っている。最近のアニメは人件費の関係で、日本で作画を行わないことが多いらしい。

 特に東南アジアでは仕事と給料の分がかなり悪い。だが最近、そんな(人件費の安い)地域の仕事に仕事の委託が各国より流入、活性化し賃金も上がってきているという。するとますます頑張るその国民性。もちろん、日本の給与水準そのものが高すぎるという背景も手伝っている。

 こういう言葉があった。追う者は、追われる者より強い。日本は追われてる・・?それとも、追いつめられてる?
 待望の原点。挑戦的なタイトルに、金をつぎ込むよりも・・・やはりこれだ。うちの医局の当直室では欠かせない1枚。知り合いの家庭用にお歳暮で贈りたいところだが、欲しそうなところは既に持っているだろう。

 しかしこれ、複数プレイだと喧嘩になりそうな要素がいくつかある。ストップした者が押されたり、味方の蹴ったカメが飛んできたり。これはゲームだ。しかし真剣になっている自分がいる。自分より明らかに上手な人間とやると、けっこうつらういかもしれない。ヘタな上司と組むと、それもつらい。

 以前(6年ほど前)、忘年会でやったのが懐かしい。研修医はみな<ヨッシー>をやらされ、次の日は腰痛で苦しんだ。

 

 この数カ月で、顧客(VIP的患者)が大きく減ったことがあった。不動産、大企業関係者。彼らは医師や病院が都合いいと、親族や子会社、友人まで引き連れてやってくる。ものすごい数だ。口コミを聞いた仲間は使命を帯びたかのようにやってくる。

 ところが、その不動産や企業が破綻。直前に当たる日、彼らから本音が出た。近いうち開業して欲しい、というような内容。それと同時に患者数がまた溢れた。

 もちろん断った。すると・・・次の日から、嵐が過ぎ去ったように彼らは来なくなった。パッタリと。で、破綻の噂。

 ああ、これも今の社会の特徴だなあ・・・。

引き受けの罠

2009年12月13日 連載

 時間は待ったなしだ。いい意味でも悪い意味でも。北新地もひどい有様だった。この1年で潰れた店は多く、景観のためとりあえず電気だけ点けて、周囲の雰囲気を暗くしない、つまり客足を遠ざけないようにしているのだという。余談だが、仕方なくついていったキャバクラの質も著しく低下していた(オーマイ?)。

 いま病院で非常に責任ある職務についているが、かろうじてナンバーワンは引き受けなかった。病院はあちこち資金繰りに苦労している状態であり、経営存続のために常に<借入れ>が必要な状態。よって借金が積み重なる。もし、この借入れを断ったら?その負債はナンバーワンに来る。その代償として外車や経費は自在だが、次の長が決まるまでに破産しないようヒヤヒヤしないといけない。

 ほとんどの民間病院が、このような状態だ(大阪)。

 このため、ナンバーワンには責任感だけでなく精神的に大きな器も求められる。

 でもまあ、こういうことだ。いまの日本の不景気の正体は。知っておけば役に立つし、いろいろ応用できる。

今秋発売の雑誌で、おやっという記事があった。「SPA」という雑誌で、賃貸物件借りてる人へのアドバイスが載っていたその記事・・・(写真の表紙ではない)。

「更新料」を払う義務がなくなった、というもの。自分はアチャー、先日払ったばっかりだった。これに関しては以前から議論はあったが、ある判決を機会に正当化された。

 こういうのを払っているのは日本ぐらいらしい。日本のこれまで徹底していた鎖国ぶりが窺われる。そういう意味では、ネットのグローバル化の恩恵でもあるか。

 ただ、家主との直接交渉が必要である。やりにくいが、来年は対戦を申し込む。

 

 http://www.fami-geki.com/recommendnext/index.html

 来年は、「1」シリーズのリメイクがテレビで放映されるという噂。果たして今の世間にとって、ヤマトはどう受け取られるのだろうか。実写化が決まっているだけに、その責任は大きい。

 もし病院が、ヤマトみたいに移動出来たらどうだろう?と空想するのは私だけではあるまい。患者の受け入れ先を探して・・・。

 小学校の時のギャク「全○門、開け!」が、地元の僻地にむなしくコダマする・・・。

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